人の気配を感じるまち─まちの個性の定量化
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6つのカテゴリーの評価を見える化したレーダーチャートによって、対象地の強みや弱みが浮き彫りになってきます。「強みを知ってより強化する」方法と、「弱みの部分に光を当ててより細かく探りだしていく」方法など、様々な対処法を考えることができます。ある意味では、強みも弱みも個性であるととらえ、その個性をどのように伸ばしていくか、あるいは新たな視点から補っていくかを議論していく材料としていきます。[展開例1]他地域の評価結果と比較する対象地が参考や模範にしたい、評価が実施済みの他の地域と比較することで、強みと弱みがより具体化します。その地域に追い付き追い越せ、という目標設定もしやすくなり、「何を強化し、どんな将来像を描くか」を、ディスカッションを通して具体化していきましょう。[展開例2]「伸ばす/補う」かたちで計画地のコンセプトを立案するレーダーチャートスコアの低い項目に着目し、その原因を調べると問題点が浮き彫りになるかもしれません。また逆にスコアの高い項目も、また違った視点から強化することで、より個性がはっきりしたまちづくりができるのではないでしょうか。まちの個性の定量化 『人の気配を感じるまち』計画地概要物件名称稲毛海岸プロジェクト所在地千葉市美浜区高州地域・地区第1種中高層住居専用地域(60/200)第1種高度地区(31m)評価の実施日2016.12.02 13:00~評価者上井・高橋・吉澤・安達・井野大項目の評価(レーダーチャート)歴史・伝統9876543210あいまいさ居場所みどり小項目の評価(バーチャート)歴史・伝統32.521.510.5032.521.510.50保存する受け継ぐ伝えるみどり32.521.510.5032.521.510.50見せる連なる残す評価コメント歴史・伝統1980年代から開発され、1986年に稲毛海岸駅の旅客営業が開始された新しいエリア。その当時に建設された団地群がエリアの歴史を作り出している。管理の行き届いた植栽が印象的なエリアである。にぎわい(色)「にぎわい」としてもっとも特徴的な風景は、人の気配が感じられる公共公園内の花壇である。そこに人たちの姿が無くとも、人の手が加わり、見る人をもてなそうとする姿勢がはっきりとうかがわれる要素が、他にも多く見られた。安全・安心■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■埋立地につくられた街のため、道路はゆったりとした幅員で歩道も整備され見通しもよく、安全に歩くことができる。人の手が入った緑や注意喚起の手作り看板など、人の気配が感じられる要素が随所にあり、安心できる。■■■■■■■■■みどり■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■30年を経ても官民により手入が行き届いている。年月とともに町と緑が一体化。さらに彩や華やかさを加える意識がある。一方で無残に伐採された緑も多い。松や柑橘系など海岸部に合う樹木が特徴的。■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■×■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■にぎわい(色)■■■■■居場所■ ■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■駅前広場と団地を中心に「くつろげるベンチ」や「個人経営の喫茶店」等「ホッとする場所」が頻繁に存在する。一方、戸建エリアにはそれらが少なかった。「学べる場所」としては「稲毛海浜公園教養施設」や「高齢者スポーツ広場」等の施設が用意されている。平坦な街並みの為「眺める場」は少ないが「稲毛海岸」はあいまいさ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■±■■ ■■■■■■■■■■戸建住宅地では海寄りという地域柄から、柑橘系の植栽が道路側にたわわにはみ出しており、湾岸地域の特徴的な風景をつくっている。また官民の境界をぼかそうとする、道路側にはみ出した鉢物の緑も多く見られた。■■■■■■■■ff■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■×■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■‣■■■■■■■■■■■■■×■■■■■ff■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■安全・安心総評■■■■■■1980年代に開発され、計画的にインフラが整備されたニュータウンの一つ。現在、多くのニュータウンは住民の高齢化に伴い街の衰退が危惧されているが、本地区はこどもの人口も多く多様な世代が暮らしている印象がある。強いインフラを住民が手を加えて使いこなしている場所が多く見られ、まさに人の気配を感じるニュータウンである。9876543210■■■■■■■■■■■■■■■■■■±■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■×■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■にぎわい(色)安全・安心■■■■■■■■■■fi■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■×■■■■■■■■■■■fi■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■32.5■■■■21.510.50■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ff■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■集えるもてなす(飾る)ときめく歩ける育める守られる■■■■居場所■■±■■ ■■■■■■■■あいまいさ■■■■■32.521.510.50■■■■■■■■■■■■32.521.510.50学べる眺める32.521.510.5はみだすまねくぼかす032.521.510.50ホッとする■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■32.521.510.5032.521.510.5032.521.510.50■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■▮評価結果▮■■ ■■■まちの中に様々なカタチで人の「居場所」がなければ、「人の気配」を感じることもできません。そのまちにはどんな形の「居場所」が相応しいのかを議論してみましょう。レーダーチャートを重ねたことで見られる違いに着目して、自分たちのまちを今後どうしていくか方向性を考えましょう。スコアが高く出ているにぎわいは、そのまちの強みです。そのにぎわいは「人の気配」としてのにぎわいとなっているか、どんな時間帯でもにぎわいはあるのか。より深く掘り下げることで、強みを強化していきましょう。「安全・安心」は日常暮らす上で要求水準の高いものです。3つの動詞の中で、何が弱いのか。その原因は何か、どういう対策が可能か、を様々な立場から議論できると良いでしょう。■比較の方法(一例)大項目の評価結果(レーダーチャート)を重ねて考察してみる。→18Phase 6評価結果の展開他の地域と比較・考察し、まちづくりに生かす

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