住宅業況調査報告

『令和元年度 第2回 住宅業況調査報告』

B 「低層賃貸住宅」

1. 対前四半期比 総受注戸数・金額の指数動向

【1】実績
 令和元年4~6月の受注実績指数は、同年1~3月(以下、前四半期)比で、前四半期見通し(受注戸数 △30ポイント、受注金額 △28ポイント)に対し、全国平均では
受注戸数 △39ポイント、受注金額は △31ポイント
となり、2年半ぶりにプラスとなった前四半期から一転、再度マイナスとなった。(前四半期の実績は、受注戸数 +39、受注金額 +32)
  大幅な駆け込みと反動減が発生した消費税率8%導入前後(平成25年度第2→3四半期)の棟数・金額指数の変動は、それぞれ+68ポイント⇒ △39ポイント、+68ポイント⇒ △32ポイントであった。
 エリア別の戸数指数は、関東の△49を筆頭に、九州で△47、近畿で△45、中国・四国で△43と全エリアでマイナスとなった。
 エリア別の受注金額では、『下がった』とする回答割合が、北海道で50%増の50%、東北で24%増の53%、関東が42%増の53%、中部が18%増の35%、近畿が37%増の45%、中国・四国が40%増の53%、九州が52%増の71%と全エリアで大きく増加した。逆に、『上がった』とする回答割合も、北海道で50%、東北、関東で10%、中部で16%、近畿で18%、中国・四国で6%、九州で14%あった。

【2】見通し
 令和元年7~9月の受注見通し指数は、同年4~6月の実績に対し、全国平均では
受注戸数 △4ポイント、受注金額 △2ポイント
と、更にマイナスになるとの厳しい見通しとなっている。
 エリア別の戸数見通し指数では、北海道で△25、東北が△16、中部が△13、近畿が△9、中国・四国が△6としているが、関東と九州では+4と回復見通しである。
 エリア別の金額見通しにおける回答割合は、大半のエリアで概ね30%が『下がりそう』とし、『上がりそう』は20%程度となっている。(残り50%は『変わらず』)

2. 一戸当り床面積(実績)の指数動向

 令和元年4~6月の1戸あたりの床面積指数は、全国平均で前四半期見通し(△3ポイント)に対し △4ポイントと再度マイナスに転じた。(前四半期の実績は+14ポイント)
 エリア別の回答割合では、東北、関東、中部、九州では『狭くなった』の回答数が『広くなった』を上回ったが、北海道、近畿、中国・四国では逆の傾向となった。

総受注金額指数と1戸当り受注床面積指数
3. 低層賃貸住宅経営者の供給意欲

 令和元年4~6月における、住宅供給側から見た顧客の賃貸住宅建築意欲度である。
 全国平均の回答割合では、『強い・かなり強い』の回答割合は17%→8%に減少し、『弱い・やや弱い』は37%→56%に上昇するなど市況への厳しい見立てが継続している。 エリア別でも、近畿の『強い・かなり強い』の回答割合が前四半期の25%→0%へ、九州が 38%→7%へそれぞれ大きく減少した。『弱い・やや弱い』は、関東、中部、近畿の大都市圏では40%台で、他のエリアよりは少ない。

低層賃貸住宅経営者の供給意欲について
4.顧客動向、市場動向について

(1)見学会、イベント等への来場者数

 令和元年4~6月の実績は、前四半期と比べ、全国平均では『増加』の回答割合が24%→5%、『減少』は21%→45%となり来場者数は大きく減少した。
 エリア別では、『減少』の回答割合が、北海道で75%増加の75%、九州が39%増加の64%、中部、近畿でも37%増加の45%となった。『増加』の回答は、近畿、中国・四国、九州で0%となり、他のエリアでも大きく減少するなど厳しい状況となった。

見学会、イベント等への来場者数

(2)引き合い件数

 令和元年4~6月の実績は、前四半期と比べ、全国平均では『増加』の回答割合が27%→4%に、『減少』は26%→52%となり、来場者数と同じく引き合い件数も大きく減少した。
 エリア別では、『減少』の回答割合が、九州で40%増加の71%、近畿が37%増加の45%となるなど全国的に悪化した。近畿では『増加』の回答割合が来場者数に続き0%となり、九州でも31%減少の7%、関東も36%減少の2%に落ち込んだ。

全体の引き合い件数

(3)低層賃貸住宅市場の空室率

 令和元年4~6月の実績は、前四半期と比べ、全国平均では『減少』の回答割合が12%→10%、『増加』は11%→9%と、大きな変化はなかった。
 エリア別では、九州の『減少』が31%→7%、中国・四国も20%→0%などが空室率悪化、反対に東北の『減少』が0%→21%が回復を示す主な変化であった。  

賃貸住宅市場の空室率

(4)金融機関の融資姿勢(積極性)

 令和元年4~6月の実績は、前四半期と比べ、全国平均では『増加』の回答割合が5%→1%、『減少』は50%→58%とほぼ変化は無く、融資姿勢に改善は見られない。
 エリア別では、前四半期に『増加』回答が、微量ながら関東で7%、近畿で8%、九州で6%見られたものの、今回は関東の2%のみ、他の全てのエリアで0%であった。

金融期間の融資姿勢(積極性)

以上
令和元年8月30日

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