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機関紙「住団連」
  • 『譲渡益税の買い換え特例の「超全面復活」を』
  • 大阪大学教授  八田 達夫
  • 現在の譲渡益税制は、不動産市場の流動性を妨げている。しかし、財政危機の日本で、この税の税率引き下げを唱えるわけにはいかない。しかし、市場の流動性を高めると同時に大幅な増収をもたらす譲渡益税の方法がある。
  • 不動産を買ったときよりも高い値段で売れば、持ち主は明らかに所得を得る。したがって、所得税制が存在するかぎり、譲渡益にも他の資産所得と同様に所得税を課税しなければいけない。元来ならば、譲渡益税率も利子税率と同じ20%にするのが理想である。
  • ところが、不動産の値上がりに対して、利子のように、毎年発生時課税をしようとしても、まず無理である。結局、売ったときに課税するということになる。そうすると、持ち主は売るのを延期しようと考えるから、不動産市場の流動性がなくなってしまう。
  • この問題を解決する方法として、買い換え特例という仕組みがある。不動産を売った後で、次にそれよりも高額の不動産に買い換えたら、譲渡益税の延納を認めてくれるというものである。ところが、買い換え特例のために、前回の景気のいいときには、神田に発生した地価上昇が、全国に波及してしまった。神田の土地を売った地主が、移転先の世田谷ではより高い不動産を買う。世田谷の不動産を売った人は、どこかにそれよりもっと大きな家を買う。こういう図式で、全国の地価が上がってしまった。
  • ジレンマである。流動性を高めるためには、買い換え特例を認めなくてはいけない。しかし買い換え特例を認めると、全国に地価上昇の波及が起きる。
  • このジレンマを解決する方法がある。まず、買い換え特例を全面復活する。さらに、売った資産より安いものに買い換えたときにも延納を認める。これが買い換え特例の「超全面復活」である。ただし永遠に延納を認めるのではなく、死亡時に課税することにする。「死亡時課税」を組み合わすわけである。
  • しかしこうすると、死ぬ時までに財産を全部使い果たした人は、延納された税を永遠に払わなくてすむ。
  • これを防ぐため、買い換え特例の超復活では「延納税額より高額の不動産の買い換え」を延納の条件とする。国が担保を取るわけだ。ただし、従来の買い換え特例では、延納税に対して国がとる担保額が不必要に大きすぎた。2億円の土地を売って譲渡益税を1千万円払うとする。この場合、延納担保は2億円ではなく、1千万円取ればすむ。買い換え特例が超復活されると、神田の土地を売った人は、世田谷の大きい土地に住まなくても、神田の安い分譲マンションに買い換えればすむようになる。
  • 「譲渡益税の死亡時課税」と「買い換え特例の超全面復活」の組み合わせの下では、地価上昇の全国波及はなくなる。しかも不動産市場の流動性は大幅に増す。このため強力な景気刺激策になる。その上、高齢化時代には大きな税収が望めるのである。

 

 

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