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機関紙「住団連」
  • 『Myth をミスミス信じないこと』
  • 東京大学大学院工学系研究科助教授  野城智也
  • どうも最近は景気の悪い話が多い。でも、こういう時こそ元気が大事。数々のMyth(一般に神話的に信じられていること)を打ち破る逆説的楽観論を展開してみたい。
  • Mythその1 住宅が売れないのはマクロな経済状況によるものだ。
  • いまはお金を持っている人でも、買いたい気持ちになるモノがないというのが現状である。しかも「魅力的なドレスが売られていても、それを着ていくところがなければ買うはずがない」という言葉に代表されるように、需要喚起の連鎖チェーンも切れてしまっている。もし、「本当に生活を豊かにする」、しかも需要喚起の連鎖チェーンを繋ぐようなモノが提供されたら、それを購買しようとする人は目立って増えてくる。流行の設備や材料で演出された住宅が、「本当に生活を豊かにする」道具たりえないことを多くの「明日の施主」は見抜きはじめている。ならば、経済的リスクを背負って借金してまで購買行動に走るはずがない。供給者は自分たちが勝手に作り出した価値観と嗜好で明日なき競争をしているのではあるまいか。むしろ、簡素さと、実質的な豊かさをもった住宅が供給されれば積極的購買行動が顕在化してくるであろう。マクロな経済状況だけを売り上げ不振のエクスキューズにするなかれ。
  • Myth その2. 環境への関心はコストアップとなって経営を圧迫する。
  • 5年ほど前に米国で出版された本には、まるっきり別のことが書いてある。
    「環境への関心は新たなビジネス機会の創出だ。」確かにその後、米国ではコンサルタント業も含め環境ビジネスは興隆の一途と側聞する。重要なことは、環境の負荷の低減と、コストが必ずしも正の相関関係にはないことである。技術的経験と知識を駆使すれば、環境負荷の低減とコストダウンを同時に果たすことは可能。但し、その技術的経験と知識に対して直接、報酬などの対価が払わなければ難しいことも確かである。住宅の供給者が建設から廃棄までのライフサイクルプロセス全体にビジネスを広領域展開すること、及びモノの売り買いビジネスからサービスの売り買いビジネスに業態転換を果たせば、環境へ関心の高まりは、新たなビジネス機会の創出と成るはずである。
  • Myth その3. 新築戸数が減れば仕事も売上げも減る。
  • もはや、日本国内の市場が新築志向から、維持保全改修志向になるのは長期的には確かなことである。住宅金融公庫などの金利変動よりも、リフォーム工事費用を税控除にする制度があるかないかのほうが、長期的には、住宅産業の総体規模や売上げに、より鋭敏に影響していくことであろう。リフォームすることで、住生活を豊かにしたいという気持ちは、残業や接待がなくなり住宅にいる時間が長くなればなるほど、潜在的には高まっている。リフォーム工事もまた、物流のマスメリットが得られない領域で、これもまた、サービスやノウハウに直接対価が払われない限りビジネスとしては成立しない。リフォームがプロフィットを生む業域になるかどうかも、業態転換の成否にかかっているといえる。
  • Mythをひたすら信じ込んで多くの活路打開の可能性をミスミス見過ごさず、発想の転換を。辛口失礼。

 

 

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