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機関紙「住団連」
  • 『次世代情報化住宅と高齢化』
  • 青森大学経営学部助教授  柴田 郁夫
  • 住宅に求められる事柄は多様で、また日々変化する。妻が明日から毎日インターネットを使って在宅勤務をすると言い出すかもしれないし、急に別居している老親が足を痛め、心細いのでテレビ電話があればいいという話になるかもしれない。そんな時、わが家や親の家は対応できるのだろうか。どんなリフォームをしなければならないのだろうか。情報化はどこまで必要なのだろうか。
  • 次世代の情報化住宅に関する、建設省が推進するプロジェクトに筆者が関わらせて頂いてから足掛け5年程になる。昨年度は岩手県が行った「マルチメディア住宅リモートケア実験」という実証事業に参加し、そこでは遠野市の高齢者世帯にテレビ電話や健康測定器を置いて、住宅の情報化がどう高齢化社会に役立つかをつぶさに観察できる機会も得た。
    そうした経験を踏まえ、いささか断定的に述べさせて頂けば、今後の10年で住宅のあり方は、情報化と高齢化という2つの要素によって大きく変わらざるを得なくなるだろう。そしてそうした動きに対応できないメーカーや住宅生産システムは早晩消滅していく運命となるに違いない。
  • 「情報化」が住宅にもたらす影響に関しては、大きく2つの方向があると考えている。1つは、住宅生産から廃棄に至るまでのサイクルをより合理化し、また環境にやさしいものとしていくための情報化である。住宅を構成する部品・部材がどのような性能・性質を有しているのか、どのような履歴をもっているのか、またどのような廃棄方法が適切なのか等が、部材自身が情報を持つことやインターネットでの情報検索を前提として明確になる。住宅生産者は多様な要求に即した住宅を提供しやすくなり、また住まい手も家のカルテを所持しているようなもので、安心感が高まるとともにリフォームニーズ等にも適切に対応できる。そうした面での情報化の方向である。
    2つ目は、宅内ネットワーク化により新しい住まい方や利便性の高まりがみられるという面での情報化である。遠野市に住む一人暮らしのあるお年寄は足が弱ってきているが、寝るときにボタンを一つ押せば戸締り(施錠)と火元(電源)を確認してくれ、またそのボタンは緊急通報用としても使えるものだったらいい、と語っている。例えばそうしたニーズに応えるための住宅の情報化が、これからの高齢化社会には必要とされる。
  • 介護保険も今年から導入される。在宅ケアに対する関心の高まりとあいまって住宅に対する実際的な要求も複雑化、多様化することが予想される。
    いったいその住宅でどこまでの生活ニーズに対応できるのかという住宅の性能がいま以上に問われることとなるに違いない。住まい手が真に満足できる性能を提供できない企業や仕組みは21世紀には存続する価値はない。そうした観点からの情報化と住宅性能に関しての研究を今年も継続して行っていきたい。

 

 

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