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機関紙「住団連」
  • 『建築における物質循環利用』
  • 大阪大学 先端科学技術共同研センター客員教授  酒井 寛二
  • 筆者は、建設業の立場で、地球環境問題を担当して10年近くなる。この間活動の内容が、初期の理念追求から、次第に実務直結で具体的成果を定量把握出来るテーマに移りつつある。
    その一つに、建設廃棄物への対応がある。不法投棄の防止から始まり、排出量の削減、ゼロエミッション(廃棄物の100%再資源化)、そして物質循環ループの完結に向けて、確実に対応技術や社会的対応が進歩してきていると実感される。
    大型建物の使用資材の最たるものは、鉄とコンクリートである。鉄鋼は、スクラップから電気炉で鉄筋等に加工されるのは、既に確立したループであり、さらなるリサイクル市場拡大に向けて、高品質電炉鋼の開発がなされつつある。一方コンクリートについて、解体建物のコンクリート塊は、破砕されて路盤材に再利用されることが普及してきた。しかし近い将来、道路整備は頭打ちとなり、今後発生するビルの大量解体との需給不均衡が見込まれている。そこで、コンクリート塊からコンクリート用骨材や砂を再生する技術が開発され、一部で再生生コンとして市販され始めている。
    住宅分野では、木造が多いだけに、何と言っても廃棄木材の処理が重要課題となっていよう。今回の法律制定に伴って、木材の再利用が促進されようが、利用用途が狭いことが心配である。木質資源の循環利用策としては、廃木材をチップ化して合板原料としたり、製紙原料化の努力は為されているし、最後の手段として燃料としての利用がある。しかし、廃棄された構造用木材から、新築の構造用木材を製造できない限り、需給不均衡は解消できないのではなかろうか。
    現在このような方向で幾つか技術開発がなされているようである。たとえば、廃プラと廃木材粉を混合して、建材を作る動きが見られる。しかし、プラスチックの含有比率が高く、木材と言うよりプラスチック建材と見えるものが少なくない。
    一方、廃木材をあまり細かく粉砕せず、集成材の原料として利用することが考えられるが、あまり事業として展開していないのが残念である。住宅の柱材であれば、廃木材断面を10分割程度し、良質部分のみ接着剤で張り合わせ、表面のみ新鮮素材で構成すれば、立派な再生材柱となろう。さらに、ここで使えない端材は、割り箸大に破砕して、加圧化で接着することで、隠蔽部の梁材等に成形可能である。もっとも、接着剤の量が多くなるので、室内空気汚染原因とならぬ物質選択が重要であろうが、合成樹脂の重量比を10%以下とすることは困難ではなかろう。
    このような再生木材は、現状では輸入木材に比較してコスト面でハードルが高い。しかし、木材輸入による世界的環境破壊と、国内森林の保全と有効利用をにらめば、適切な助成や指導、規制等でハードルを乗り越えられるものと期待している。

 

 

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