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住宅と消費税

アメリカの視点と日米住宅不動産事情 住宅不動産と消費税

  • 7月の参院総選挙では自民党が大敗してしまったために、9月から予想されていた「消費税」を含む税制の見直しが先送りされた感じがする。しかし、見方によって今回は業界や消費者に取っては日本の不動産に於ける税制を見直し、誰のための税金なのかをはっきりとさせるまたとないチャンスの時でもある。
  • 「消費税」はアメリカでは地方税であり、各州や各地方自治体の収入源であるが不動産の物件売買には一切つかない。
    アメリカで消費税が不動産売買に付くときは家具などがついている場合のみで、その査定金額に対して各地方で施行している税率がつくだけであるが、不動産物件自体にはつかない。自分が記憶している限りでは、日本ではごく一部の場合を除いて売買物件自体に消費税が掛かると聞いている。
  • アメリカでは不動産物件売買の際に掛かる税金は基本的に不動産移転税(不動産譲渡税)と固定資産税の2つである。購入した物件はあくまでも「財産」であり「耐久消費財」ではない。
    一時、国土交通省の方からアメリカでも土地と物件の査定を公表しているという間違った情報が出ていたときがあった。
    アメリカでは各州によって不動産法が異なりその免許の許認可も各州独自になっている。それゆえ税金の査定基準などの相違もあるがどの州でも査定上の一つの基準として土地と建物を評価している。
  • だが物件の評価金額はあくまでも建物と土地が一体としたものとして判断されている。物件購入価格はあくまでも登録された時点では公の情報という概念があり登記所へ行けば消費者は閲覧可能である。登記は日本のように地番でなく名前での登録になっているので、当然氏名と住所が分からないと検索は不可能に近い。もちろん当事者(売主と買主)が公表を好まなければ書面でエスクロー会社に要請すれば非公表として処理される。
  • アメリカでの不動産市場の多様化や不動産流通関連商品は別としても、アメリカの消費者は恒久的な住宅ローン利子控除、キャピタルゲイン減税、ノンリコース型のローン、年齢、性別や人種などの区別ではなくクレジット (返済能力という観点での信用度) 評価によるローン審査、自宅として2件まで所有できることなどと、どれだけ住宅に (マイホーム) を所有する事によって恩恵を受けているかが理解頂けると思う。それに伴いその周辺である不動産流通、モーゲッジ、タイトル・インシュランス (権限保険)、ホームインスペクションや金融機関等多くの業態が利益を得ている構造になっている。
  • 例えば日本では「消費税」、購入する物件、つまり一般消費者が一生でする最大の投資案件に税金を課している。国や制度は違えどもアメリカの消費者はこれを絶対に黙ってはいないし、これを容認する政治家は存在しない。日本では何にでもそれが平等の精神なのか、それとも一昔前のお上が税を徴収するという姿勢が継続されているのかは判断しかねるが一律に5%の消費税を掛けている。
  • アメリカでこの消費税は地方税で各州や地方自治体の収入源の一つである。それゆえ各州や州内でも地域や都市によってその税率には差がある。しかしどこでも共通していることは生活に必要な最低必需品であるパン、牛乳、卵や野菜などに関して消費税は付いていない。これでわかるように最低必要限の生活レベルは守られているのである。
  • この時こそ一般の消費者が声を上げられない分、住宅/不動産業界が先頭に立ち「消費者の声」を代弁して誰のための政策かをしっかり議論する必要がある。
    これから日本もさらなる構造改革や自由化を推し進めていく上で、消費者の利益を置き去りにはできないのではないか。官僚や政治家のための税制ではなく、「消費者の、消費者による、消費者のための」税制を考える時期に来ているのではないだろうか。以前の様に政治主導の暫定的な処置ではなく、消費者、地元や地方自治体のためになる地域の経済が活性化できるような税制政策が急務である。
  • そのためには、アメリカのように2件まで自宅として所有でき、かつ消費者が前述のように税制面での恩恵を得られる仕組みを作れば、自ずと国内に眠っている資本は動きだすものである。その際、需要が一極に集中しないよう、各都道府県の人口や経済に見合った恩恵を与えるなどの工夫も必要である。
  • ここ数年東京を中心に日本では不動産バブルがまた起こっている。かといってサラリーマンの懐が豊かになったとは云えず、どの家庭の台所も相変わらず厳しい状況であることには変わりはない。そろそろ住宅ローンの形態も商業/投資の融資で現在ポピュラーになってきているノンリコース型のように、従来のリコース型からアメリカ式のノンリコース型へと移動し消費者の負担を軽減させる時期に来ているのではないだろうか。
    と同時に金融機関の査定能力を高める必要性が急務である。また、中古 (既存) 物件評価も20年過ぎれば土地だけとするのではなく、建物と土地との総合評価で判断できるようなシステムと物の供給、とその評価を行える人間の育成等、本来官僚が行動を起さなければならない案件は山ほどあるのではないだろうか。
  • 三澤 剛史【全米リアルター協会(NAR)日本担当前アジア・太平洋地区統括責任者】

 

 

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