調査結果の公表
- 令和5年度 第1四半期の受注実績と令和5年度 第2四半期の受注見通し
- 総数
- -実績-
令和5年度第1四半期の受注実績は、受注戸数で▲77ポイント、受注金額で▲55ポイントとなり見通しどおりのマイナスとなり、マイナス幅も大幅に増加した。戸数のマイナスは8期連続、受注金額のマイナスは5期連続となった。
コメントは「前年同月が値上げ前の駆け込みでバーが高く、前年比でマイナスとなった」、「住宅展示場への来場減で苦戦している」、「住宅展示場来場数減少への代替施策の効果が出ていない」、「資材高騰・景況感悪化などによりマイナス」、「戸建注文住宅のマイナス分を、好調な賃貸住宅や非専用住宅・施設系案件で補えなかった」などのコメントが見られた。また、「光熱費の高騰により、ZEHや断熱リフォーム提案に対する顧客の関心が高まっている」、「営業努力により踏み止まっている状況」などのコメントも見られた。
- -見通し-
令和5年度第2四半期の受注見通しは、受注戸数+5ポイント、受注金額+23ポイントとなり、令和4年4-6月以来5期ぶりにプラスの見通しとなった。
コメントは、「引き続きZEH、断熱リフォームの提案に加え、災害に対しての提案力を強化し、前年越えの受注を目指す」、「コアターゲット(中高級層)へ注力し、大型・高単価化を促進」、「先行きの不透明感から慎重な動きが続くと予想するが、エリアにより底打ちし回復トレンドに入る可能性がある」、「徐々に大規模工場見学会を再開しており、商談のランクアップ等に契約効率向上を図る」といった前向きなコメントがある一方で、「物価高騰の懸念があり、潜在顧客に様子見の動きが見られることから、今後の見通しは不確実性が高い」、「資材価格の高止まり、生活全般での物価上昇、今後の経済情勢の不透明感などから、専用住宅を中心に当面予断を許さない状況が続くものと認識している」などの慎重なコメントも見られた。 - (戸建注文住宅)
- -実績-
令和5年度第1半期の受注実績は、受注戸数▲75ポイント、受注金額▲46ポイントとなり、金額・戸数ともに7期連続のマイナスとなった。
コメントは、「棟当たり単価は引き続き増加傾向にあるが、新規集客の落ち込み継続により受注棟数が増えず、対前年マイナスとなった」、「物価上昇による消費マインドの低下が受注を押し下げた」、「用地価格とともに建築価格が上昇傾向にあり、特に一次取得者が慎重になっている」、「国の補助金によるプラス要因はあるものの、物価高、建築資材高騰などによる顧客マインドの低下から、住宅展示場の来場者は、コロナ禍以前を下回った状況が続いている」、「住宅展示場来場数減少の代替施策の効果がまだ出ない」、「当社がメインターゲットとしている価格帯の市場で苦戦」のようなマイナス面も多かったが、「ZEH、蓄電池の搭載率は引き続き高水準」、「1棟当たりの単価アップ、金利上昇傾向による前倒し需要もある」、「高齢者、富裕層は比較的堅調」、「低価格帯の新商品が下支えとなり前年並みを維持」といったような前向きのコメントもあった。 - -見通し-
令和5年度第2四半期の受注見通しは、受注戸数±0ポイント、受注金額+19ポイントとなり、金額は5期ぶりにプラスの見通しとなった。
コメントは、「受注戸数は前年並み。中大型化で金額増を予測」、「前期に顕在化していたウッドショックによる高値感が今期は薄らいでおり、コロナ禍からの回復もあって前期比増の見通し」、「自然災害が増加する季節となるので、災害に強い家を訴求し前年並みを確保したい」、「展示場集客に代わる対策を行っている」、「体感型施設を活用して、スマート、レジリエンスをしっかりと訴求し、契約効率向上を図る」といった前向きな内容のコメントが多くみられた。
一方で「『こどもエコみらい支援事業』がこの先新規顧客に提案できずに苦戦が予想される。切れ目ない次の支援策に期待したい」などのコメントも見られた。(その後、7月28日に追加209億円の増額が公表された。) - (戸建分譲住宅)
- -実績-
令和5年度第1四半期の実績は、受注戸数▲44ポイント、受注金額▲6ポイントとなり、受注戸数は8期連続のマイナス、受注金額は2期ぶりにマイナスとなった。
コメントは、「販売価格の上昇により、一次取得層について購買意欲の低下がみられる」、「土地仕入れの激化とこれまでの販売好調による需要の先食いで、首都圏を中心に前期を下回った」など厳しい内容が多かった一方で、「棟数は前年割れだが、棟当たり単価が上昇し、金額は前年を上回った」、「安定的な供給、受注が続いている」、「土地無のお客様の動きはあり分譲実績は前年比増」とのコメントもあり、明暗が分かれている。 - -見通し-
令和5年度第2四半期の受注見通しは、受注戸数±0ポイント、受注金額+17ポイントとなり、金額は4期ぶりにプラスの見通しとなった。
コメントは、「高付加価値分譲地ブランドの拡販に傾注し、高回転率を継続していく」、「一定数の棟数確保により、受注棟数及び金額の増加を見込む」、「棟数は首都圏を中心に前期を若干下回るが、受注金額は首都圏を中心に高単価の物件が多く前期を上回る」など1棟当たりの単価増を目指すコメントが多く見られた。 - (低層賃貸住宅)
- -実績-
令和5年度第1半期の受注実績は、受注戸数▲38ポイント、受注金額▲21ポイントとなった。
前回調査時の見通しは戸数±0ポイント、金額+32ポイントであったが、いずれも見通しを大きく下回りマイナスの実績となった。
コメントは、「前年の大型案件受注に対して、受注実績が伸びず、前年比で下落」、「昨年は価格改定の駆け込み受注があり大幅増だったため、前年比マイナスとなった」といった前年と比較したコメントがあった。また、「競合、決断遅延等で商談が長期化し、前年実績を下回った」というコメントもあった。「安定して高い利回りが期待できる首都圏エリアを中心に、需要は回復傾向にある」、「ZEH対応商品の拡販により単価はアップ」、「棟数・金額ともに前年のバーが高かったものの、首都圏での受注が好調で前年並みの実績となった」など、戦略の差が出ている。 - -見通し-
令和5年度第2四半期の受注見通しは、受注戸数+8ポイント、受注金額+25ポイントとなった。金額は4期連続でプラスの見通しとなった。
コメントは、「活況な賃貸住宅市場は継続すると思われ、ZEH-M化などの差別化を推進し、受注拡大を図る」、「高付加価値提案による1棟単価アップ、法人向け営業・収益物件推進も順調に推移していることから受注金額が変わらずと予想」、「引き続き、ZEH、スマート系搭載効果の訴求に注力する」、「中大型案件に注力し金額増を予測」、「首都圏以外の受注確保に取り組み、好調な受注を維持していく」など、プラス志向のコメントが多かった。
一方で、「状況は大きく変わらず、前年より厳しい」、「前年同期実績は大型受注が重なった時期であり、かなりハードルが高い」など、慎重なコメントも見られた。 - (リフォーム)
- -実績-
令和5年度第1四半期の実績は、受注金額+12ポイントとなり、2期連続のプラスとなった。
コメントは、「住宅省エネキャンペーンの補助事業を利用しての受注が増加しており、顧客の認知度も高い」、「当社建物のメンテナンス工事が堅調に推移」、「当社OB顧客からの受注が堅調であり、前年と同水準の受注となった」、「件数はやや減少したが単価アップでカバーしている」、「電力価格高騰などを背景にレジリエンス商材が伸長」などの好調要因を挙げるコメントが多く見られた。一方で「大型改装受注の低迷によりマイナス」、「前年同期社内キャンペーンでバーが高かった」、「コロナ明けで日常の繁忙が戻った影響でアポが流れ、逆に商談がしづらくなった等で」といったマイナス要因を挙げるコメントもあった。 - -見通し-
令和5年度第2四半期の受注見通しは、受注金額+42ポイントとなり、見通しとしては10期連続のプラスとなった。
コメントは、「必要なリフォーム工事を効率よく活用し、オーナー様の賃貸経営サポートを実現」、「定期診断からの商談化で、レジリエンス対応ニーズを確実に捉えていく」、「3省連携によるリフォーム支援策を最大限に活用し受注拡大につなげたい」、「光熱費の高騰がリフォーム提案のきっかけとなり、引き続き補助事業も絡めた受注増加を想定」、「大型改装受注のための集客と提案力を強化し、前年同期比と予測」、「大型リフォーム提案の継続と、積極的なイベントの実施により、前年同期並みの受注を予測」などの前向きなコメントが多くみられた。
一方で、「依然として国の補助金を活用した案件が伸長する見込みだが、窓材料納期の遅れや金利の上昇など懸念事項も存在する」といった懸念をするコメントも見られた。 - 令和5年度 新設住宅着工戸数の予測
R5.4調査 | R5.7調査 | 増減 | |
持 家 | 25.6万戸 | 24.5万戸 | -1.1万戸 |
分譲住宅 | 24.7万戸 | 25.3万戸 | +0.6万戸 |
賃貸住宅 | 33.7万戸 | 34.5万戸 | +0.8万戸 |
給与住宅 | 0.5万戸 | 0.5万戸 | ±0 |
合 計 | 84.6万戸 | 84.9万戸 | +0.3万戸 |
- (参考)令和5年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果
―回答数―15社―
【単位:万戸】
【単位:万戸】
総戸数 | 持 家 | 分譲住宅 | 賃貸住宅 | 給与住宅 | |
令和3年度実績 | 86.5 | 28.1 | 24.8 | 33.0 | 0.5 |
令和4年度実績 | 86.0 | 24.8 | 25.9 | 34.7 | 0.5 |
令和5年度予測 | 84.9 | 24.5 | 25.3 | 34.5 | 0.5 |
令和5年度予測 | |||||
A社 | 83.0 | 23.0 | 24.8 | 34.7 | 0.5 |
B社 | 85.0 | 25.0 | 25.0 | 34.0 | 0.5 |
C社 | 85.0 | 24.0 | 26.0 | 34.5 | 0.5 |
D社 | 85.7 | 25.0 | 25.2 | 35.0 | 0.5 |
E社 | 86.4 | 24.2 | 25.6 | 35.9 | 0.6 |
F社 | 85.0 | 25.0 | 25.5 | 34.0 | 0.5 |
G社 | 84.6 | 24.8 | 24.9 | 34.4 | 0.5 |
H社 | 85.0 | 23.5 | 25.0 | 36.0 | 0.5 |
L社 | 83.0 | 25.0 | 24.0 | 33.5 | 0.5 |
M社 | 82.3 | 21.8 | 25.3 | 34.7 | 0.5 |
N社 | 84.5 | 24.0 | 25.0 | 35.0 | 0.5 |
O社 | 86.0 | 26.2 | 25.8 | 33.5 | 0.5 |
Q社 | 86.5 | 24.1 | 26.8 | 35.0 | 0.5 |
R社 | 86.0 | 26.0 | 26.0 | 33.5 | 0.5 |
S社 | 84.0 | 24.5 | 25.0 | 34.0 | 0.5 |
平 均 | 84.9 | 24.5 | 25.3 | 34.5 | 0.5 |
※ 平均は、各セグメントの最大値、最小値各1つずつを外して算出。
※ - は非回答。
- 住宅市場の動向
- 住宅メーカーの経営指標となる下記の市場項目について、向こう6ヶ月間の動向予測のアンケートを行った。その結果は次の通りである。
- 時系列グラフはこちら
上がる | 変わらず | 下がる | |
所得の伸び | 7( 6 ) | 8 ( 9 ) | 0( 0 ) |
家賃の動向 | 6( 5 ) | 9 ( 10 ) | 0 ( 0 ) |
金利の動向 | 2( 13 ) | 13 ( 2 ) | 0 ( 0 ) |
資材価格 | 9( 12 ) | 6 ( 3 ) | 0 ( 0 ) |
建築の手間賃 | 7( 8 ) | 8 ( 7 ) | 0 ( 0 ) |
上がる | 安定化 | 下がる | |
地価の動向 | 5 ( 6 ) | 10 ( 9 ) | 0 ( 0 ) |
増える | 変わらず | 減る | |
展示場来場者数 | 1 ( 0 ) | 6 ( 5 ) | 8 ( 10 ) |
過剰 | 充足 | 不足 | |
技能職人(大工) | 0 ( 0 ) | 6 ( 7 ) | 9 ( 8 ) |
( )内は、令和5年1月度調査数値である。
- イ)「所得の伸び」では、「上がる」の回答が1社増えたが、「変わらず」の回答も多いままである。。
- ロ)「家賃の動向」では、「上がる」の回答が1社増えたが、「変わらず」の回答も多いままである。
- ハ)「金利の動向」では、「上がる」の回答が大幅に減り、「変わらず」の回答が13社となった。
- ニ)「資材価格」では、「上がる」の回答が9社に減り、「変わらず」の回答が6社に増えた。
- ホ)「建築の手間賃」では、回答に大きな変化は無かった。
- ヘ)「地価の動向」の回答傾向は、前回とほぼ変わらなかった。
- ト)「展示場来場者数」では、「増える」との回答が1社あり、「減る」の回答が8社に減った。
- チ)「技能職人数(大工)」では、「不足」が8社から9社に増えた。