調査結果の公表
- 平成20年1月度 『景況判断指数からみた傾向』
- (戸建注文・分譲住宅と低層賃貸住宅の総計)
- -実績-
平成19年度第3四半期(平成19年10~12月)実績の景況判断指数は前年同期比で、総受注戸数マイナス17ポイント、総受注金額マイナス13ポイントとなった。総受注戸数・金額ともにプラスに浮上せず、前10月期よりマイナス幅は縮小したが、プラス回復への期待を裏切る結果となった(前10月度総受注戸数マイナス40・金額マイナス47)。
総受注戸数では、主力の戸建注文住宅がマイナス幅は縮小したが、賃貸住宅もマイナスに転落となり、全部門がマイナスポイントとなった。総受注金額でも、全部門がマイナスとなり、総受注戸数・金額共に、5四半期連続してのマイナスという結果になった。
この実績に対するコメントは、「軒天材耐火性能問題の影響が懸念されたが、受注増となった」、「底打ち感が出てきた」との声もあるが、「建築基準法改正の影響による、市況の冷え込み」、「受注拡大に注力するも、前年実績比マイナス」、「やや苦戦している」、と、マイナス基調の企業が多く、厳しい状況であるとの判断である。
個人の家計所得の伸び悩みによる、消費者マインドの低下の中、住宅着工件数の大幅減、原油高、株価の下落などで、さらに購買意欲が低下し、冷え込み状態であることが推察される。 - -見通し-
平成19年度第4四半期(平成20年1~3月)見通しの景況判断指数は、総受注戸数・金額共にプラス20と、プラス回復を見込んでいる(前10月度総受注戸数・金額共にプラス13)。
この見通しについてのコメントは、「回復には時間がかかる」との声もあるが、「前年比5%増を見込む」、「引き続き危機感を持って、営業力強化を図っていく」、「最低、前年3月末受注残をクリアしたい」、「前年が低すぎる」と、各社とも、受注増に向けての期待を見せており、前年実績があまり高くないため、前年比プラスは、確保できるとの見通しである。 - (戸建注文住宅)
- -実績-
平成19年度第3四半期実績の景況判断指数は、前年同期比で受注戸数マイナス22ポイント受注金額マイナス25ポイントと、マイナス幅は前期よりも改善したが、5四半期連続してマイナス基調から浮上しなかった。(前10月度受注戸数・金額共にマイナス56)
コメントでは、「厳しい状況ながら、対前年比で増加傾向を維持」、「12月単月では、10%アップ」との声もあるが、「市場の冷え込みの影響もあり、やや苦戦した」、「前年同期比・前期比は、受注戸数・金額共に減少」、「見込み客発掘が厳しくなっている」、「景気後退懸念が広がる中、住宅購入意欲の盛り上がりに欠ける」、「国内の消費・投資マインドはともに低い、金利安、消費税論議先送りで、刺激材料が無い」などのマイナス基調の企業が調査票データからも大半を占めており、全体的に市場がより厳しくなっているとの判断である。また、受注戸数と受注金額のバランスから見ると、昨年度からの受注単価の減少傾向が継続していると推察できる。 - -見通し-
平成19年度第4四半期の見通しは、受注戸数プラス13、受注金額プラス9と、受注戸数・金額とも、プラス回復を目指す(前10月度受注戸数・金額共にプラス13)。
戸建注文住宅の見通しでは、「営業体制の強化により前年比並みの受注を見込む」、「新春キャンペーンで、新規顧客獲得、来場者数が前年比増加、2月にキャンペーンを実施予定」、「前年水準が高くないので、対前年比増加傾向は維持できると期待」、「新商品の投入により、ボリュームゾーンでの受注拡大を図る」、「前年が低すぎる。建て替えが動く」、「商品アピール強化により、前年並みは確保の見込み」といった新商品、キャンペーン等、受注の増大に向けた積極的な販売戦術と、強い意欲・期待が感じられる。 - (戸建分譲住宅)
- -実績-
平成19年度第3四半期実績の景況判断指数は、受注戸数マイナス11・受注金額マイナス7であった。受注戸数は、3四半期連続のマイナス、受注金額も、マイナス幅は大幅に改善するも、マイナス基調からの回復は出来なかった(前10月度受注戸数マイナス21・受注金額マイナス36)。
コメントでは、「市場の冷え込みの影響もあり、やや苦戦した」、「前年同期比・前期比は、受注戸数・金額共に減少」、「売れ行きがやや鈍ってきた」、「在庫物件の処分が中心」や、「戸数の絶対数が少ない」と、企業により取り組みにばらつきもあるが、全体として好調だった18年度からの反動もあり、マイナス基調が顕著にあらわれている。 - -見通し-
平成19年度第4四半期の見通しは、受注戸数・金額共にプラス11と、プラス基調での回復を見込んでいる(前10月度受注戸数・金額共にプラス18)。
コメントでは、「営業体制の強化により前年比増を見込む」、「2月に全国一斉の分譲フェアを行い、集客力と販売拡大につなげる」、との積極的な意欲・期待を見せる企業もあるが、「積極的に展開していない」、「在庫物件の処分が中心」との声もあり、全体的には「変わらず」との見通しの企業が多く、やや、弱含みの見通しである。 - (低層賃貸住宅)
- -実績-
平成19年度第3四半期実績の景況判断指数は、受注戸数・受注金額共にマイナス5となった。受注戸数は、前10月期にプラスに回復したが、今回マイナスに転落した。受注金額は、回復基調はあるものの、4四半期続いてのマイナスとなった(前10月度受注戸数プラス5、金額マイナス5)。
この実績に対するコメントは、「月別ではバラツキあるも、トータルでは増加傾向を維持」との声もあるが、「戸数・金額ともに現状維持」、「変わらない」、「戸数・金額ともに横ばい」「結論先延ばしが目立つ」など、若干足踏み感が出ており、年度末の動向が注目される。 - -見通し-
平成19年度第4四半期の見通しの景況判断指数は受注戸数・金額共にプラス27と、回復基調での大幅プラスを見込む(前10月度受注戸数・金額共にプラス30)。
コメントでは、「変わらない」、「横ばいで推移する見通し」との声もあるが、「新商品の投入、営業体制の強化により、前年比増を見込む」、「前年水準が高くないので、対前年比増加傾向が維持できると考える」と、全体的には、プラス基調に回復するという意欲・期待感が表れている。
- 平成19年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果(表2)
―回答数―16社―
【単位:万戸】
【単位:万戸】
総戸数 | 持 家 | 分譲住宅 | 賃貸住宅 | |
平成16年度実績 | 119 | 37 | 35 | 47 |
平成17年度実績 | 125 | 35 | 37 | 52 |
平成18年度実績 | 129 | 36 | 38 | 54 |
平成19年度予測 | ||||
A社 | 105 | 31 | 28 | 45 |
B社 | --- | --- | --- | --- |
C社 | 110 | 32 | 31 | 46 |
D社 | 104.5 | 31.5 | 27 | 45 |
E社 | 100 | 31 | 26 | 42 |
F社 | 105 | 32 | 29 | 43 |
G社 | 105 | 31.5 | 30.4 | 42.1 |
H社 | 102 | 31 | 28 | 42 |
I社 | 109 | 31 | 32 | 45 |
J社 | 105 | 30 | 31 | 43 |
K社 | 95 | 29 | 22 | 43 |
L社 | 104 | 29 | 31 | 43 |
M社 | 107 | 30 | 31 | 45 |
N社 | 105 | 31 | 28 | 45 |
O社 | 113 | 34 | 34 | 44 |
P社 | --- | --- | --- | --- |
平 均 | 105.1 | 31.1 | 29.4 | 43.9 |
- 平成20年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果(表3)
―回答数―16社―
【単位:万戸】
【単位:万戸】
総戸数 | 持 家 | 分譲住宅 | 賃貸住宅 | |
平成17年度実績 | 125 | 35 | 37 | 52 |
平成18年度実績 | 129 | 36 | 38 | 54 |
平成19年度実績 |
69.4 | 21.7 | 18.2 | 28.8 |
平成20年度予測 | ||||
A社 | 110 | 33 | 29 | 47 |
B社 | --- | --- | --- | --- |
C社 | 125 | 36 | 36 | 51 |
D社 | 107.5 | 31.5 | 25 | 50 |
E社 | 110 | 33 | 31 | 45 |
F社 | 115 | 35 | 32 | 47 |
G社 | 122 | 35 | 36 | 50 |
H社 | 108 | 32 | 30 | 45 |
I社 | 115 | 33 | 34 | 47 |
J社 | 110 | 32 | 32 | 45 |
K社 | 105 | 31 | 28 | 45 |
L社 | 116 | 32 | 35 | 48 |
M社 | 116 | 33 | 33 | 49 |
N社 | 118 | 34 | 33 | 50 |
O社 | 125 | 33 | 38 | 53 |
P社 | --- | --- | --- | --- |
平 均 | 113.4 | 33.0 | 32.4 | 48.8 |
- 住宅市場について
- 向こう6ケ月間の住宅メーカーの経営指標となる下記の項目について、各社の経営者にアンケートを行った。その結果は次の通りである。
上がる | 変わらず | 下がる | |
所得の伸び | 0 ( 3 ) | 15 ( 13 ) | 1 ( 0 ) |
家賃の動向 | 0 ( 4 ) | 16 ( 12 ) | 0 ( 0 ) |
金利の動向(市中金利) | 3 ( 16 ) | 13 ( 0 ) | 0 ( 0 ) |
資材価格の動き | 14 ( 13 ) | 2 ( 2 ) | 0 ( 1 ) |
建築の手間賃 | 2 ( 1 ) | 14 ( 15 ) | 0 ( 0 ) |
上がる | 安定化 | 下がる | |
地価の動向(住宅地) | 3 ( 7 ) | 10 ( 9 ) | 3 ( 1 ) |
増える | 変わらず | 減る | |
展示場来場者数 | 0 ( 0 ) | 6 ( 11 ) | 10 ( 5 ) |
過剰 | 充足 | 不足 | |
技能職人数(大工) | 1 ( 0 ) | 12 ( 12 ) | 3 ( 4 ) |
( )内は、平成19年7月度調査時の数値。
- 指標の動向について
- 1)「所得の伸び」では、「上がる」が0社に減り、15社が「変わらず」との判断で、ほぼ横ばいの傾向が表れている。
- 2)「家賃の動向」は、回答16社の全社が「変わらず」と回答、家賃は上昇傾向が上げ止ったと見られる。
- 3)「金利の動向」では、「上がる」が3社と急減し、13社が「変わらず」判断しており、金利上げは当面無いとの見方である。
- 4)「資材価格の動き」では、回答16社中14社が「上がる」と前回よりも増え、資材価格の上昇傾向を予測している。
- 5)「建築の手間賃」は、「変わらず」が14社と大勢を占め、「上がる」との判断も2社あるが、ほぼ横ばい傾向が表れている。
- 6)「地価の動向」では、「上がる」の回答が3社と前回調査から減少、「安定化」は10社と微増、「下がる」が増え、下落傾向が表れてきた。
- 7)「展示場来場者数」は、「変わらず」が6社と減り、「減る」が10社に増えており、全国的に減少傾向が表れている。
- 8)「技能者人数(大工)」では、多くの企業は「充足」(12社)であり、「不足」の回答は3社と微減である。