平成24年1月度 『景況判断指数からみた傾向』

  • 平成24年1月度 『景況判断指数からみた傾向』
  • (戸建注文・分譲住宅と低層賃貸住宅の総計)
  • -実績-
    平成23年度第3四半期(平成23年10~12月)実績の景況判断指数は前年同期比で、総受注戸数・総受注金額ともにプラス11ポイントと、受注戸数は3期連続、受注金額は8期連続してプラスという結果であった(前10月度総受注戸数プラス20・総受注金額プラス30)。
    前期比で、賃貸住宅の受注戸数以外の部門はマイナス傾向ではあるが、全体的には前年同期比プラスを維持した。
    この実績に対するコメントでは、「全体的に堅調に推移。単価は高水準を維持し、また復興需要による受注増加も継続」、「リフォームの販売が好調であった」という声もあるが、「受注の潮目が変わり停滞気配を払拭し切れない期間となった」、「上期に比べ受注環境は厳しく、受注の伸びは鈍化している」、「10月以降、株価低迷や世界景気減速による先行き不安の高まりや各種住宅取得促進策の延長・復活が正式決定に至らず、検討中のお客様が決断しにくい状況が続いていたが、各種支援策の延長・復活が決まった事により、12月に入り検討中のお客様がスムーズに決断するケースが増えた」、「対前年レベルが高い中、微増で推移」、「それぞれにアップ要因なく、若干の下げ基調」、など、全体的には足踏み感を感じさせるコメントが多く見られた。
  • -見通し-
    平成23年度第4四半期(平成24年1~3月)見通しの景況判断指数は、総受注戸数プラス39ポイント・総受注金額プラス36ポイントと、受注戸数・金額ともに引き続き大幅なプラスの見通しとなった(前10月度総受注戸数プラス50・総受注金額プラス47)。
    この見通しについてのコメントは、「復興支援、住宅エコポイントにより多少追い風だが、消費、投資マインドは慎重で苦戦」、「上期の勢いは無いものの、大幅に悪化する事はなく、前年並みを維持」、「株価低迷や世界景気減速による先行き不安は続くと思われるが、各種支援策の延長・復活により、12月以降の動きがしばらく続くものと思われる」、「上期同様、単価上昇傾向は継続。戸数に関しても、引き続き堅調に推移すると見る」、「注文住宅の集客減が不安材料」、「消費税の増税前の駆け込み需要が始まっている」、「対前年レベルが高いが、増加傾向を維持したい」、「エコポイント復活等による上昇基調を見込む」と、先行き不安を懸念しつつも、復興需要や政策支援策に期待する声が多く聞かれ、全部門でもプラスの見通しのため、全体としてもプラスが継続・拡大する見通しである。
  • (戸建注文住宅)
  • -実績-
    平成23年度第3四半期(平成23年10~12月)実績の景況判断指数は、受注戸数プラス3ポイント・受注金額マイナス6ポイントと、受注戸数は9期連続プラスを維持したが、受注金額は9期ぶりにマイナスに転落した(前10月度受注戸数プラス9・受注金額プラス6)。
    コメントでは、「ローコスト商品の販売が好調であった」、「震災後の需要抑制が戻っている」、「対前年レベルが高い中、微増で推移」、「市場環境に大きな変化無し。環境機器搭載に加え、二世帯住宅、建替えの増加が単価上昇に寄与」、との比較的堅調との声もあるが、「太陽光補助金や電力買い取り価格の低下、住宅エコポイント終了の反動等、補助制度の影響あり」、「秋以降、受注の伸びが鈍化。景気の不透明感、住宅需要刺激策の終了・縮小等の報道により、様子見の顧客が増加」、「前年比、前期比で棟数・金額ともに減少」、「震災以降の停滞ムードまだ続く」、といったマイナス基調の声も聞かれ、戸数・金額ともに2期続けて減少傾向が見られる。
  • -見通し-
    平成23年度第4四半期(平成24年1~3月)見通しは、受注戸数プラス28ポイント・受注金額プラス22ポイントと、戸数・金額ともにプラスの見通しとなった(前10月度受注戸数・受注金額ともにプラス44)。
    コメントでは、「環境型商品への行政施策が薄く、大幅回復は期待できず、自社施策の維持を図る」、「景気の不透明感により、大きな伸びは期待できないが、前年並みを維持する見通し」、「国策延長により、今後も住宅取得の需要は底堅いと見る。一方で、世界的な景気後退による急激な需要の落ち込みリスクも抱える」、「年末から集客が減ってきている」、など、若干弱気な見方もあるが、「太陽光発電、リチウムイオン蓄電池の採用を検討された顧客へのキャンペーンを1月から実施」「営業力強化による拡販の継続」、「外的なアップ要因見込めず。独自の販促を推進」といった、体制強化、イベントの開催等受注の増大に向けた積極的な姿勢が見られ、プラス幅の拡大を目指す見通しを立てている。
  • (戸建分譲住宅)
  • -実績-
    平成23年度第3四半期(平成23年10~12月)実績の景況判断指数は、受注戸数・受注金額ともにプラス4ポイントと、3期続けてプラス実績となった(前10月度受注戸数・受注金額ともにプラス21)。
    コメントでは、「土地購入者の消費マインド低下が続く」、「震災後土地の購入を控えていたため、在庫が不足気味」と、マイナス基調の企業と「前年比・前期比で棟数・金額ともに増加」、「順調」といったプラス基調の企業とが両極端に分かれているが、好調企業が多く見られ全体的な指数としては前年比プラスという結果になった。
  • -見通し-
    平成23年度第4四半期(平成24年1~3月)の見通しは、受注戸数・受注金額ともにプラス17ポイントと、プラスが継続するとの見通しである(前10月度受注戸数プラス21・受注金額プラス13)。
    コメントでは、「回復気配薄く、低下傾向が続く」「景気の不透明感により、大きな伸びは期待できないが、前年並みを維持する見通し」、という声もあるが、「エリア管理を徹底して、ニーズの高いエリアでの土地取得を推進」、「小ロットプロジェクトの増加」といった、積極的に販売拡大を図るコメントの企業も見られ、全体としては、好調企業が牽引し指数としてもプラスの見通しである。
  • (低層賃貸住宅)
  • -実績-
    平成23年度第3四半期(平成23年10~12月)実績の景況判断指数は、受注戸数プラス41ポイント・受注金額プラス23ポイントと、戸数・金額ともに5期連続してプラスという結果となった(前10月度受注戸数プラス18・受注金額プラス41)。
    コメントでは、「秋以降、受注の伸びが鈍化。景気の不透明感、住宅需要刺激策の終了・縮小等の報道により、様子見の顧客が増加」、「戸数低下するも良質物件の供給で金額は前年並みをキープ。注文者の投資意欲は慎重」、「サービス付き高齢者向き住宅の需要高まるが、硬直した補助金制度のために長期化」、という声もあるが、「防犯配慮型が好調、3階建て商品も順調に伸びている」、「土地所有者の資産承継を動機とした土地活用ニーズは底堅い」、「全般的に増加傾向を維持」など、プラス基調を感じさせる声が多く、受注戸数はすべての企業が現状維持以上という実績で、戸数・金額ともにプラスが継続・拡大する結果となった。
  • -見通し-
    平成23年度第4四半期(平成24年1~3月)見通しの景況判断指数は、受注戸数プラス45ポイント・受注金額プラス50ポイントと、戸数・金額ともにプラスが拡大・継続するとの見通しとなった(前10月度受注戸数・受注金額ともにプラス36)。
    コメントでは、「税制改正等によるメリットはなく苦戦するが、各種イベントにより前年比増」、「景気の不透明感により、大きな伸びは期待できないが、前年並みを維持する見通し」、「住宅エコポイント制度の再開により、当面順調に推移すると見込む」、「エリア密着の営業体制を確立し、増加傾向を維持」、「サービス付き高齢者賃貸住宅の需要ますます高まる」といった、前向きなコメントが多く聞かれ、受注拡大にむけた意欲・期待感が表われている。
  • (リフォーム)
  • -実績-
    平成23年度第3四半期(平成23年10~12月)実績の景況判断指数は受注金額がプラス68ポイントと前期に引き続き大幅増という結果であった(前10月度受注金額プラス54)。
    コメントでは、「エコポイント復活の需要喚起の兆しあるも、告知不足で年内の受注に繋がらず」との声もあるが、「全体的に堅調。件数ベースでは続伸」、「耐震関連のリフォームの増加もあり、好調に推移」、「対前年比5%増加。今期は天候不調(降雪等)により、予想以上に伸びが低かった」、「リフォーム市場の拡大を受け、営業増強」、「戸建全館改装型の受注が増加」、「エコポイントの復活が好材料となっている」、「太陽光発電工事が増加し、大きく伸ばす」、と好調に推移しており、回答いただいた14社のうちマイナス基調の企業は0社という状況である。
  • -見通し-
    平成23年度第4四半期(平成24年1~3月)見通しの景況判断指数は受注金額がプラス75ポイントと、更に好調が継続するという見通しである(前10月度受注金額プラス75)。
    コメントでは、「堅調予測、エコポイント復活は後押しの要因」、「耐震関連のリフォームにより、前年を上回って推移」、「住宅エコポイント、太陽光発電装置など、補助金制度の浸透や駆け込みで、前年比10%程度増加すると見込む」、「今後も引き続き好調を見込む」、「戸建全館改装型の受注が増加」、「エコポイントの復活が好材料となっている」、「大型改装工事、設備工事にも注力し、増加傾向を維持」、「エコポイント復活による市場の活性化を見込む」と、住宅エコポイント制度復活の効果を期待する声が多く、プラス基調のコメントがほとんどである。
  • 新設住宅着工戸数の予測アンケート結果
  • 平成23年度の新設住宅着工戸数の予測については、回答した17社の予測平均値が、総戸数84.1万戸(前10月度84.2万戸)という前回とほぼ同じ予測結果となった。
    利用関係別では、持家が31.5万戸(前10月度31.5万戸)、分譲住宅22.9万戸(同21.3万戸)、賃貸住宅28.8万戸(同29.7万戸)となっている。
    平成24年度新設住宅着工戸数の見通しは総戸数86万戸で、持家32万戸、分譲住宅24.6万戸、賃貸住宅28.8万戸と、微増の見通しとなっている。
  • 平成23年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果
―回答数―17社―
【単位:万戸】
  総戸数 持 家 分譲住宅 賃貸住宅
平成21年度実績 77.5 28.7 16.4 31.1
平成22年度実績 81.9 30.9 21.2 29.2
平成24年度予測
A社 85.0 31.0 26.0 27.0
B社 84.0 31.0 24.0 28.0
C社 85.0 31.0 24.1 29.0
D社 83.2 30.6 21.7 30.0
E社 83.0 31.8 20.7 29.8
F社 82.0 31.0 21.0 29.0
G社 85.0 31.0 24.0 29.3
H社 85.0 32.5 21.0 31.0
I社 85.0 32.0 22.0 30.0
J社 83.0 31.0 21.0 30.0
K社 85.0 33.0 27.0 24.0
L社 84.5 34.0 25.0 25.0
M社 83.0 31.0 25.0 26.0
N社 85.0 32.0 22.0 30.0
O社 回答なし 回答なし 回答なし 回答なし
P社 85.9 32.1 23.7 29.2
Q社 82.0 30.0 21.0 30.0
R社 84.5 32.0 22.0 29.5
平 均 84.1 31.5 22.9 28.8


  • 平成24年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果
―回答数―16社―
【単位:万戸】
  総戸数 持 家 分譲住宅 賃貸住宅
平成21年度実績 77.5 28.7 16.4 31.1
平成22年度実績 81.9 30.9 21.2 29.2
平成23年度実績
(H23.4月~11月)
57.3 21.4 15.8 19.5
平成25年度予測
A社 87 32 28 26
B社 85 32 25 28
C社 85 31 24 29
D社 85 31 21 32
E社 回答なし 回答なし 回答なし 回答なし
F社 82 31 21 29
G社 85 31 24 29.3
H社 85 32.5 21 31
I社 86 32 23 30
J社 83 31 21 30
K社 85 33 27 24
L社 90.5 35 30 25
M社 83 31 26 25
N社 90 33.5 24 31
O社 回答なし 回答なし 回答なし 回答なし
P社 90.4 32.5 28.5 28.4
Q社 86 30 22 34
R社 88 34 23 30
平 均 86.0 32.0 24.6 28.8


  • 住宅市場について
  • 向こう6カ月の住宅市場に関する指標について、各社の経営者にアンケートを行なった。
    その結果は次のとおりである。
  上がる 変わらず 下がる
所得の伸び 0 ( 0 ) 18 ( 13 ) 0 ( 5 )
家賃の動向 0 ( 0 ) 15 ( 15 ) 3 ( 2 )
金利の動向(市中金利) 0 ( 0 ) 18 ( 18 ) 0 ( 0 )
資材価格の動き 6 ( 12 ) 12 ( 5 ) 0 ( 1 )
建築の手間賃 8 ( 3 ) 10 ( 13 ) 0 ( 2 )

  上がる 安定化 下がる
地価の動向(住宅地) 1 ( 2 ) 10 ( 10 ) 7 ( 6 )

  増える 変わらず 減る
展示場来場者数 2 ( 4 ) 10 ( 10 ) 5 ( 3 )

  過剰 充足 不足
技能職人数(大工) 0 ( 0 ) 10 ( 14 ) 8 ( 3 )

( )内は、平成23年7月度調査時の数値である。
  • 指標の動向について
  • 1)「所得の伸び」では、18社すべてが「変わらず」と回答し、現状維持の傾向が強まったと見られる。
  • 2)「家賃の動向」は、「変わらず」が15社と大勢を占め、「下がる」が3社と微増しているが、現状維持の傾向は変わらない。
  • 3)「金利の動向」では、「変わらず」と18社すべてが回答しており、金利については、現状維持の傾向が継続している。
  • 4)「資材価格の動き」では、「上がる」が6社に半減し、「変わらず」が12社に大きく増えた。資材価格は落ち着いてきていると見られる。
  • 5)「建築の手間賃」は、「上がる」が8社と増え、「変わらず」が10社と微減し、上昇傾向が表れている。
  • 6)「地価の動向」では、「安定化」は10社と変わらず、「下がる」が7社と微増、若干下落感が表れている。
  • 7)「展示場来場者数」は、「変わらず」が10社と過半数を占めているが、「減る」が5社と増加しており、全国的には、若干減少傾向が見られる。
  • 8)「技能者人数(大工)」では、「充足」が10社と減少し、「不足」が8社と増加しており、職人数が不足気味との傾向が表れてきた。
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