平成26年7月度 『景況判断指数からみた傾向』

  • 平成26年7月度 『景況判断指数からみた傾向』
  • 総計
  • -実績-
    平成26年度第1四半期(平成26年4~6月)実績の景況判断指数は前年同期比で、総受注戸数マイナス65ポイント・総受注金額マイナス59ポイントと、受注戸数・受注金額ともに前回(4月度)の見通し以上にマイナスが拡大した(前4月度総受注戸数マイナス82・総受注金額マイナス71)。
    この実績に対するコメントでは、「20%向上」、「反動減が続き厳しいが、上向き状況がみられる」、と言う声もあるが、「新築・建て替え受注は消費税増税に係る経過措置前受注の反動減によりマイナス。リフォームも戸建住宅ほどではないにしてもマイナスとなる。賃貸住宅は相続税増税による駆け込みもあり、消費税増税による反動減からの回復が見られる」、「消費税駆け込み受注の反動により、全体的に受注減。前年4~6月は駆け込み本番ではなかったものの、駆け込み気配により伸びていたため、前年比ではマイナス幅が大きく見える傾向」、「引き続き反動減が続いた。また、前年同期は受注が好調だったため前年と比べるとマイナスが大きい」、「住宅取得を検討している顧客は大きく減少していないが、慎重に検討し決断を急がない顧客が多い。また、8%から10%への消費税増税を睨んだ駆け込みの動きはまだ見られない」、「消費増税の影響で減少」、「戸建事業において、増税後の反動が顕著に表れる」、「戸建注文の活性化策が急務」など、特に、戸建て注文住宅部門の反動減が継続し、顧客が決断を先延ばしする傾向もあり、好調だった前年比では大幅マイナスとのコメントが多く見られた。
  • -見通し-
    平成26年度第2四半期(平成26年7~9月)見通しの景況判断指数は、総受注戸数マイナス50ポイント・総受注金額マイナス56ポイントと、マイナス基調が継続する見通しとなった(前4月度総受注戸数・総受注金額ともにマイナス37)。
    この見通しについてのコメントでは、「15%程度上向き」、「高級層へのアプローチによる客単価UPを狙う」との強気の声もあるが、「各セグメントにおいて緩やかに持ち直す傾向ではあるが、前年同期が駆け込み本番のためマイナス幅拡大は不可避」、「徐々に回復に向かうと見られるが、慎重に検討する顧客が多いと想定される」、「4~6月以上に前年のハードルが高い。また、今、建てる必要性に乏しいことから前年比での受注落ち込みは続く可能性がある」、「引き続き消費増税の影響で減少を予想」、「消費税増税の反動減は引き続き、前期第2四半期が消費税駆け込みのピークであったため、その分前期比マイナスは大きくなる」、「駆け込み時期との対比のため、大幅減の見通し」、「昨年駆け込み増があったため、昨年対比は厳しい見込み」、「消費税の反動減からは回復するも、需要の拡大は期待できない」、など、前年の駆け込みによる受注増との比較からもマイナスが継続するとの声が多く聞かれる。
  • (戸建注文住宅)
  • -実績-
    平成26年度第1四半期(平成26年4~6月)実績の景況判断指数は、受注戸数マイナス84ポイント・受注金額マイナス81ポイントと、受注戸数・金額ともに前期のマイナス幅がさらに拡大した(前4月度受注戸数マイナス83・受注金額マイナス73)。
    コメントでは、「4月の立ち上がりに比べ5~6月は回復傾向」という声もあるが、「消費税の反動減が続き、厳しい受注環境となっている」、「予想よりも反動減が長く続いている」、「消費税増税に係る経過措置前駆け込み受注の反動減で大幅なマイナス」、「棟数・金額ともにマイナス」、「消費増税の影響で減少」、「反動減からの回復見られず」、「増税後の反動が影響、決定までの期間が延びる」、「消費税の反動減収まらず」など、駆け込み受注の反動減が継続しているとの声が多く、回答した16社中14社が10%以上悪いと回答しており戸数・金額ともに前年比大幅な落ち込みとなった。
  • -見通し-
    平成26年度第2四半期(平成26年7~9月)見通しの景況判断指数は、受注戸数マイナス66ポイント・受注金額マイナス69ポイントと、戸数・金額ともにマイナス基調が継続するとの見通しとなった(前4月度受注戸数マイナス43・受注金額マイナス47)。
    コメントでは、「消費税の反動減からようやく回復」、「メリットが十分に伝われば取り込み可能、若干上向く」といった前向きのコメントもあるが、「反動減から緩やかに持ち直すが、前年駆け込みは超えられず」、「4~6月以上に前年のハードルが高い。また、今、建てる必要性に乏しいことから前年比での受注落ち込みは続く可能性がある」、「消費税率引き上げの反動減が依然として続く見通し」、「引き続き消費税増税の影響で減少を予想」、「消費税増税前の駆け込み受注のあった前期と比較して大幅マイナス」、「昨年は駆け込み増があったため、昨年対比は厳しい見込み」、「回復のきっかけが見えず」など、ほとんどの企業でマイナス基調が続くとのコメントが多く聞かれる。
  • (戸建分譲住宅)
  • -実績-
    平成26年度第1四半期(平成26年4~6月)実績の景況判断指数は、受注戸数・受注金額ともにマイナス75ポイントと、受注戸数・金額ともに10期ぶりにマイナスに転落した(前4月度受注戸数・受注金額ともにプラス14)。
    コメントでは、「手持ちの物件を計画的に分譲した事で、比較的落ち込みが小さかった」という声もあるが、「増税後の反動が影響、決定までの期間が延びる」、「消費税の反動減が続き、厳しい受注環境となっている」、「棟数・金額ともにマイナス」など、増税前の駆け込み需要の反動減の影響もあり、指数としても大幅なマイナスに転落するという結果になった。
  • -見通し-
    平成26年度第2四半期(平成26年7~9月)見通しの景況判断指数は、受注戸数・受注金額ともにマイナス54ポイントと、マイナスが継続するとの見通しである(前4月度受注戸数・受注金額ともにマイナス27)。
    コメントでは、「手持ちの物件を計画的に分譲することで、下支えをしていく」としながらも、「反動減から緩やかに持ち直すが、前年駆け込みは超えられず」、「消費税率引き上げの反動減が依然として続く見通し」など、戸建て注文住宅と同様に反動減からの回復は見込めず、指数としてもマイナスが継続するとの見通しである。
  • (低層賃貸住宅)
  • -実績-
    平成26年度第1四半期(平成26年4~6月)実績の景況判断指数は、受注戸数・受注金額ともにマイナス25ポイントと、前期のマイナスが継続という結果となった(前4月度受注戸数プラス5・受注金額マイナス10)。
    コメントでは、「3階建ての受注が前年比微減となり、全体的に前年並み」、「消費税増税に係る経過措置前駆け込み受注の反動減で大幅にマイナスしていたが、徐々に回復しつつある」、「相続税対策、低金利等で堅調に維持」、「サービス付き高齢者住宅が順調」、「増税後の反動が影響し、決定までの期間が延びる」、「消費増税の影響で減少」、「相続増税対策として需要は堅調。上期は前年のハードルが高いためマイナスとなった」など、各社のコメントにはバラツキが見られる。受注戸数・受注金額ともに前年の好調な実績との比較でもあり、指数としてはマイナスに転落する結果となった。
  • -見通し-
    平成26年度第2四半期(平成26年7~9月)見通しの景況判断指数は、受注戸数・受注金額ともにマイナス46ポイントと、戸数・金額ともにマイナス幅が拡大するとの見通しとなった(前4月度受注戸数・受注金額ともにマイナス20)。
    コメントでは、「相続税対策の動きが堅調で、対前年比横ばいで推移すると予想する」、「投資機運の上昇」、「サービス付き高齢者住宅が引き続き順調」という声もあるが、「引き続き堅調に推移するが、前年駆け込みは超えられず」、「4~6月に比べて前年のハードルがより高くなるため、前年比ではマイナスが続くと見ている」、「消費税増税前の駆け込み受注のあった前期と比してマイナスだが、相続税増税の機運から前四半期よりは回復」、「引き続き消費税増税の影響で減少を予想」、など、相続税対策、低金利などの下支え効果はあるものの、消費税増税の影響や、前年の好調さとの対比ということもあり、マイナス基調が続くとの見通しである。
  • (リフォーム)
  • -実績-
    平成26年度第1四半期(平成26年4~6月)実績の景況判断指数は受注金額がマイナス38ポイントと、マイナスに転落した(前4月度受注金額プラス4)。
    コメントでは、「平成26年1~3月期より、消費税増税による消費者マインドの冷え込みからメンテナンス工事が減少、築20年以上の建物のリフォーム工事の掘り起こしにより前年比5%程度の伸びを確保」、「金額は下がったが、件数は伸ばした」、「堅調に推移」、「大容量太陽光発電のニーズ高い」、「反動減あるが、回復基調」としながらも、「年明け以降、増税の反動減の影響が続いている。太陽光の補助金も無くなり、PV設置件数も若干減少傾向」、「戸建ほど消費税増税に伴う反動減はないにしても、前年比マイナス」、「消費増税の影響で減少」、など、以前と比べてトーンの下がったコメントが多く見られ、指数としても平成22年度の調査開始以来、初めてマイナスに転落した。
  • -見通し-
    平成26年度第2四半期(平成26年7~9月)見通しの景況判断指数は受注金額がマイナス39ポイントと、マイナスが継続するという見通しである(前4月度受注金額プラス15)。
    コメントでは、「消費者の冷え込んだマインドを急速に回復させる外的要因が乏しい。持ち家のリフォーム・メンテナンスは不可欠な部分もあり、それらを着実にこなしていくことで、前年同期並みの業績を確保する」、「昨年並みに回復」、「堅調に推移」、「大容量太陽光発電のニーズ引き続き高い」、「増税の反動減からある程度回復できると考えている」といった前向きな声もあるが、「引き続き消費増税の影響で減少を予想」、「引き続き消費税増税前の駆け込み受注の影響で前期比マイナスとなる」、「件数・金額ともに回復傾向に移るが、前年駆け込みは超えられず」、など、駆け込み受注の反動減を懸念してマイナスの見通しとなっている。
  • 新設住宅着工戸数の予測アンケート結果
  • 平成26年度の新設住宅着工戸数の予測については、回答した16社の予測平均値が、総戸数88.0万戸(前4月度88.4万戸)という予測結果となった。
    利用関係別では、持家が30.5万戸(前4月度30.4万戸)、分譲住宅24.1万戸(同24.6万戸)、賃貸住宅33.0万戸(同32.6万戸)となっている。
  • 平成26年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果
―回答数―16社―
【単位:万戸】
  総戸数 持 家 分譲住宅 賃貸住宅
平成24年度実績 89.3 31.7 25.0 32.1
平成25年度実績 98.7 35.3 25.9 37.0
平成27年度予測
A社 95 33 26 35
B社 89 30.5 24 34
C社 86 30 22.9 32.6
D社 86.5 28 23.5 34
E社 84.6 29.6 25.3 29
F社 89 29.5 22 37
G社 86 31 24 30.5
H社 87 30 25.5 31
I社 90 32 24 34
J社 86 30 25 30
K社 記載なし 記載なし 記載なし 記載なし
L社 85 31 22 31.5
M社 90 30 24 35
N社 90 31    
O社 記載なし 記載なし 記載なし 記載なし
P社 86.4 27.7 23.2 34.9
Q社 92.5 31 25 36
R社 88.5 33 25 30
平 均 88.0 30.5 24.1 33.0


  • 住宅市場について
  • 向こう6ヶ月の住宅市場に関する指標について、各社の経営者にアンケートを行なった。
    その結果は次のとおりである。
  上がる 変わらず 下がる
所得の伸び 6 ( 7 ) 12 ( 11 ) 0 ( 0 )
家賃の動向 2 ( 4 ) 15 ( 14 ) 1 ( 0 )
金利の動向(市中金利) 1 ( 7 ) 16 ( 10 ) 1 ( 1 )
資材価格の動き 11 ( 16 ) 6 ( 2 ) 1 ( 0 )
建築の手間賃 11 ( 16 ) 7 ( 2 ) 0 ( 0 )

  上がる 安定化 下がる
地価の動向(住宅地) 11 ( 9 ) 6 ( 8 ) 1 ( 1 )

  増える 変わらず 減る
展示場来場者数 6 ( 4 ) 8 ( 6 ) 3 ( 7 )

  過剰 充足 不足
技能職人数(大工) 0 ( 0 ) 0 ( 0 ) 18 ( 18 )

( )内は、平成26年1月度調査時の数値である。
  • 指標の動向について
  • 1) 「所得の伸び」では、12社が「変わらず」と回答し、現状維持の傾向が表れている。
  • 2) 「家賃の動向」では、15社が「変わらず」と回答し、現状維持の傾向が表れている。
  • 3) 「金利の動向」では、「上がる」が1社と激減し、「変わらず」が16社に増加、金利は現状維持の傾向が顕著に表れている。
  • 4) 「資材価格の動き」では、「上がる」が11社と減り、「変わらず」は6社に増加、資材価格は若干落ち着いてきたとの傾向が見られる。
  • 5) 「建築の手間賃」は、「上がる」が11社と減り、「変わらず」は7社に増加した。手間賃は上昇傾向に若干歯止めがかかってきたと見られる。
  • 6) 「地価の動向」では、「上がる」11社と増加し、「安定化」は6社と減少した。地価は上昇傾向が表れている。
  • 7) 「展示場来場者数」は、「増える」が6社と増加し、「減る」が3社と減少した。若干増加傾向が表れてきた。
  • 8) 「技能者人数(大工)」では、「不足」が18社と全社が回答し、「不足」は0社と減っており、職人数不足の傾向が続いている。
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