平成26年10月度 『景況判断指数からみた傾向』

  • 平成26年10月度 『景況判断指数からみた傾向』
  • 総計
  • -実績-
    平成26年度第2四半期(平成26年7~9月)実績の景況判断指数は前年同期比で、総受注戸数マイナス81ポイント・総受注金額マイナス75ポイントと、受注戸数・受注金額ともに前回(7月度)の見通し以上にマイナスが拡大した(前7月度総受注戸数マイナス65・総受注金額マイナス59)。
     この実績に対するコメントでは、「消費税駆け込み受注の反動により、全体的に受注減。前年は消費税の駆け込みピークで、昨年比で大幅にマイナス。」、「前年同期のハードルが非常に高かったこともあり、大幅な減少となった」、「第1四半期と比べると、第2四半期に入ってから市場環境は一段回復している。しかし、慎重に検討し決断を急がない顧客も依然として多く、市場回復のペースは想定していたよりやや鈍い」、「消費税増税の影響で減少」、「新築・建て替え受注は消費税増税に係る経過措置前受注の反動減によりマイナス。リフォームも戸建住宅の比ではないにしてもマイナスとなる。賃貸住宅は相続税増税による駆け込みもあり、消費税増税による反動減からの回復が見られる」、「戸建注文の活性化策が急務。悪化をリフォームで補えず」、「状況は第1四半期と変化なし。昨年駆け込みの時期にあたり、昨年対比のポイント落とす」など、特に、戸建て注文住宅部門の反動減が継続し、顧客が決断を先延ばしする傾向もあり、好調だった前年比では大幅マイナスとのコメントが多く見られた。
  • -見通し-
    平成26年度第3四半期(平成26年10~12月)見通しの景況判断指数は、総受注戸数プラス69ポイント・総受注金額プラス66ポイントと、戸数・金額ともにプラスに回復する見通しとなった(前7月度総受注戸数マイナス50・総受注金額マイナス56)。
     この見通しについてのコメントでは、「前年は、消費税駆け込みの余波を受け、例年より受注が多かった3か月。全体的に緩やかな持ち直し傾向があるものの、いまだ厳しい受注環境は続く」、「住宅展示場への来場者数は戻りつつあり、今後の受注に期待が持てる。但し、12月の消費増税時期決定までは様子見の状況が続くと見られ、本格的な回復は来年以降になるのではないか」、「集客については回復してきており、市場環境は緩やかに回復傾向が続くものと見ている」、「昨年反動減との比較となりプラス予想」、「消費税増税後、受注状況は悪くなっているが、前年比で見ると昨年は反動減が大きいため回復する。しかし、消費税再増税や贈与税の優遇策が決まっていないため、住宅購入の意思決定が先送りとなり、前年比プラスとまでにはならない見込み」、「昨年反動減時期との比較のため良化して見えるが苦戦」、「消費税増税の駆け込みも見込めず、引き続き停滞が見込まれる。但し、昨年比ではポイントを上げる見込み」など、前年の駆け込みの反動減との比較からプラスに回復するとの声が多く聞かれる。
  • (戸建注文住宅)
  • -実績-
    平成26年度第2四半期(平成26年7~9月)実績の景況判断指数は、受注戸数マイナス91ポイント・受注金額マイナス84ポイントと、受注戸数・金額ともに前期のマイナス幅がさらに拡大した(前7月度受注戸数マイナス84・受注金額マイナス81)。
     コメントでは、「消費税増税の影響で減少」、「消費税の反動減が続き、厳しい受注環境となっている」、「昨年10月からの反動減が継続、減少幅も縮小せず厳しい状態が続いた」、「前年度の消費税増税に係る経過措置前駆け込み受注が大きく、大幅なマイナス」、「反動減からの回復見通し立たず」、「棟数・金額ともにマイナス」、「折衝長期化が進み歩留まりを落とす」、「消費税8%への増税後の回復が遅れたこと、併せて10%への増税もあり、結論先延ばし、長期化が目立つ」など、回答した16社中15社が10%以上悪いと回答しており戸数・金額ともに前年比大幅な落ち込みが継続した。
  • -見通し-
    平成26年度第3四半期(平成26年10~12月)見通しの景況判断指数は、受注戸数プラス59ポイント・受注金額プラス56ポイントと、戸数・金額ともにプラスに回復するとの見通しとなった(前7月度受注戸数マイナス66・受注金額マイナス69)。
     コメントでは、「緩やかに持ち直すが、引き続き厳しい受注環境は続く」、「消費税率引き上げの反動減が依然として続く見通し」、「折衝長期化が進み歩留まりを落とす」、「10%への二次増税の駆け込み感なし、昨年反動減初期並み」、「今年は消費税増税後の反動減で受注は落ち込んでいるものの、前年度の経過措置後の反動減が大きく前年比は0%となる見込み」といった慎重なコメントもあるが、「昨年反動減との比較となりプラス予想」、「集客等は回復の兆しあり、昨年は駆け込みの反動減があり相対的な要素も強いがプラスの見通し」、「10月以降は前年のハードルが下がるため、前年比ではプラスに転じる可能性が高い。但し、今建てる必要性には相変わらず乏しい」など、前年の反動減との対比でプラスに転じる見通しとのコメントが多く聞かれる。
  • (戸建分譲住宅)
  • -実績-
    平成26年度第2四半期(平成26年7~9月)実績の景況判断指数は、受注戸数・受注金額ともにマイナス18ポイントと、受注戸数・金額ともに前期に続きマイナスが継続した(前7月度受注戸数・受注金額ともにマイナス75)。
     コメントでは、「新規物件数を一定数確保した事が販売に寄与した」、「棟数・金額ともにプラス」という声もあるが、「消費税の反動減が続き、厳しい受注環境となっている」といった増税前の駆け込み需要の反動減の影響でマイナスが継続するという結果になった。
  • -見通し-
    平成26年度第3四半期(平成26年10~12月)見通しの景況判断指数は、受注戸数プラス36ポイント・受注金額プラス41ポイントと、プラスに回復するとの見通しである(前7月度 受注戸数・受注金額ともにマイナス54)。
     コメントでは、「前年、駆け込み後も受注が安定していたため、前年割れ続く」としながらも、「手持ちの物件を計画的に分譲することで、下支えをしていく」といった、前向きな声も聞かれ、全体的な指数としてはプラスに転じるとの見通しである。
  • (低層賃貸住宅)
  • -実績-
    平成26年度第2四半期(平成26年7~9月)実績の景況判断指数は、受注戸数マイナス42ポイント・受注金額マイナス38ポイントと、マイナスが継続という結果となった(前7月度受注戸数・受注金額ともにマイナス25)。
     コメントでは、「棟数・金額ともにプラス」という声もあるが、「消費税増税の影響で減少」、「昨年9月の消費増税の駆け込み受注の影響が今期は無かったため前年を下回った」、「折衝案件は増加しているが競合が厳しく失注も多い」、「前年度の消費税増税に係る経過措置前駆け込み受注があり、前年比マイナスであるが、徐々に回復しつつある」、「前年同期は、前々年に比べ受注が倍増していたことを考慮すれば、想定通りの実績となった」、「相続税対策、低金利等で堅調に維持するが、前年のハードルを越えることができず」など、前年のハードルの高さもあり、受注戸数・受注金額ともにマイナスが継続する結果となった。
  • -見通し-
    平成26年度第3四半期(平成26年10~12月)見通しの景況判断指数は、受注戸数・受注金額ともにプラス54ポイントと、戸数・金額ともにプラスに回復するとの見通しとなった(前7月度受注戸数・受注金額ともにマイナス46)。
     コメントでは、「引き続き堅調に推移するが、前年比維持の水準となる」という声もあるが、「来年1月の相続税改正に加えて、7~9月に比べ前年のハードルが下がることから、前年比ではプラスに転じる可能性が高い」、「昨年反動減との比較となりプラス予想」、「相続税対策として堅調に推移すると予測」、「今年は消費税増税後の反動減で受注は落ち込んでいるが、相続税改正を受けて市場は回復しつつある。前年度の経過措置後の反動減が大きいため、前年比はプラスとなる見込み」、「折衝案件は増加」、「前期10~12月は消費増税の反動減があったため、前期比プラスで推移すると思われる」、など、相続税対策、低金利などの下支え効果、前年の厳しさとの対比ということもあり、プラスに転じるとの見通しである。
  • (リフォーム)
  • -実績-
    平成26年度第2四半期(平成26年7~9月)実績の景況判断指数は受注金額がマイナス31ポイントと、前期に引き続きマイナスが継続した(前7月度受注金額マイナス38)。
     コメントでは、「消費税増税の影響で減少」、「善戦するが、前年のハードル越えられず」、「消費増税の反動減が続いていたことに加えて、太陽光発電の補助金が無くなったことなども影響した」、「築年数10年までのリフォームが減少し、築年数20年超の建物のリフォームは微増。建設資材と、手間賃の上昇により利益率悪化」、「戸建注文住宅ほどではないが、前年の消費税増税に係る経過措置前駆け込み受注が大きく、大幅なマイナス」、「購買意欲低下が見られたが、昨年並み維持」、「大型太陽光が減少し全体に低調」、など、消費増税の影響でトーンの下がったコメントが多く見られ、指数としても2期連続でマイナスとなった。
  • -見通し-
    平成26年度第3四半期(平成26年10~12月)見通しの景況判断指数は受注金額がプラス58ポイントと、プラスに回復するという見通しである(前7月度受注金額マイナス39)。
     コメントでは、「前年、駆け込み後も受注が安定していたため前年並みとなる」、「昨年10~12月は駆け込み需要が発生したためハードルは高い」、「堅調に推移すると見ている。営業人員の増加と単価の見直し、原価の改善により利益拡大を図る」、「昨年の反動減との比較となりプラス予想」、「戸建注文同様に今年は消費税増税後の反動減で受注は落ち込んでいるものの、前年度の経過措置後の反動減もあったため、前年比は0%となる見込み」、「消費マインド回復に期待」、「大型太陽光の受注は減少するが、一般リフォームは堅調」、など、やや控えめな声もあるが、前年の反動減との対比で、プラスに転じるとの見通しとなっている。
  • 新設住宅着工戸数の予測アンケート結果
  • 平成26年度の新設住宅着工戸数の予測については、回答した16社の予測平均値が、総戸数87.0万戸(前7月度88.0万戸)という予測結果となった。
     利用関係別では、持家が29.6万戸(前7月度30.5万戸)、分譲住宅23.7万戸(同24.1万戸)、賃貸住宅33.5万戸(同33.0万戸)となっている。
  • 平成26年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果
―回答数―16社―
【単位:万戸】
  総戸数 持 家 分譲住宅 賃貸住宅
平成24年度実績 89.3 31.7 25.0 32.1
平成25年度実績 98.7 35.3 25.9 37.0
平成26年度予測
A社 88 29.5 23.5 35
B社 89 30 24 34.5
C社 86 30 22.9 32.6
D社 84.5 28 21.5 34
E社 84.6 29.6 25.3 29
F社 89 28 24 37
G社 86 31 24 30.5
H社 85 27 22.5 35
I社 86 29 24 33
J社 86 30 25 30
K社 記載なし 記載なし 記載なし 記載なし
L社 85 31 22 31.5
M社 90 31 24.5 34
N社 90.7 30.5 24.2 35.5
O社 記載なし 記載なし 記載なし 記載なし
P社 87.1 28.1 23.3 35.1
Q社 88.4 28.5 23.3 36
R社 88.5 32 24 32
平 均 87.0 29.6 23.7 33.5


  • 住宅メーカーの経営指標について
  • 向こう6カ月間の住宅メーカーの経営指標となる下記の項目について、各社の経営者にアンケートを行なった。その結果は次の通りである。
  上がる 変わらず 下がる
拠点展開
(展示場含む)
4 (5) 14 (11) 0 (1)
生産設備
(工場を含む)
1 (1) 16 (15) 0 (0)
新商品開発 8 (5) 9 (12) 0 (0)
販売用土地
(分譲住宅用地含む)
8 (9) 6 (5) 0 (1)
新規採用人数
(26年度下半期採用数)
3 (5) 13 (10) 2 (2)
広告宣伝費 3 (5) 13 (12) 2 (0)

( )内は、平成26年4月度調査時の数値である。
  • 指標の動向について
  • 1) 「拠点展開」は、「増やす」は4社と微減し、「変わらず」が14社と前回より増えており、拠点展開は現状維持の姿勢が強い。
  • 2) 「生産設備」は、「増やす」が1社と横ばい、16社が「変わらず」と回答しており、設備投資については、現状維持の姿勢。
  • 3) 「新商品開発」は、「増やす」が8社と増加し、「変わらず」が9社に減り、新商品開発の意欲は前向きの傾向が表れている。
  • 4) 「販売用土地」は、下期に向けて「増やす」が8社と微減、「変わらず」は微増、土地取得意欲は前向きな傾向が続いている。
  • 5) 「新規採用人員」は、18社のうち「増やす」3社、「変わらず」が13社と人員体制は、現状体制維持の傾向が見られる。
  • 6) 「広告宣伝費」については、「増やす」が3社に減り、「変わらず」は13社と微増、販売支援体制は現状維持の傾向が表れている。
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