平成27年10月度 『景況判断指数からみた傾向』

  • 平成27年10月度 『景況判断指数からみた傾向』
  • 総計
  • -実績-
    平成27年度第2四半期(平成27年7~9月)実績の景況判断指数は前年同期比で、総受注戸数±0ポイント、総受注金額もプラス7ポイントと後退した(前7月度総受注戸数プラス47・総受注金額プラス53)。
     この実績に対するコメントでは、「7~9月の累計は全事業で堅調に推移している」、「新築回復傾向、リフォーム安定」、「アベノミクス効果により、投資・活用を主眼に置いた住宅市場は堅調に推移」などの前向きな回答も得られたが「個人消費は回復の兆しを見せながらも完全復調までにはもう暫くかかる」、「不安定な経済情勢や株価の乱高下等の影響もあり、顧客の商談が長期化した。特に注文住宅の受注は厳しかった」、「緩やかな改善基調は継続と認識しているが、想定以上に市場回復のペースが遅い」、「戸建を中心に消費税増税からの回復鈍化によりマイナスとなった」、「昨年比では増加傾向だが増税前には戻らない」など、緩やかな改善、回復基調は認識しながらも、完全復調には時間がかかる考えを示す意見が多かった。
  • -見通し-
    平成27年度第3四半期(平成27年10~12月)見通しの景況判断指数は、総受注戸数プラス37ポイント・総受注金額プラス43ポイントと下降気味ながら戸数・金額ともにプラスが継続する見通しとなった(前7月度総受注戸数プラス57・総受注金額プラス60)。
     この見通しについてのコメントでは、「個人部門の消費増税反動減からの回復は足踏み状態が続いているが、住宅市場は全体として改善に向かう」、「昨年の10月以降は反動減からの回復期であった為、9月までと比べるとハードルは高くなるが、新商品やソリューションの訴求により受注獲得を目指す」、「緩やかな改善基調は継続すると想定」、「好調な集客、低金利、リフォーム部門の回復もあり、プラスを予想」、「消費税増税以降の反動減の底打ち感があり、市況は徐々に回復している模様」、「仕掛けづくりで受注増を期待」、「昨年比では増加傾向だが増税前には戻らない」、「特別な増減はないように思う」など緩やかながら回復基調が継続しているとのコメントが多く寄せられた。 ただし、経済対策として実施された「省エネ住宅ポイント制度」が10月21日をもって終了したことにより、今後の住宅市場の見通しについてはコメント以上に厳しい状況が予想される。
  • (戸建注文住宅)
  • -実績-
    平成27年度第2四半期(平成27年7~9月)実績の景況判断指数は、受注戸数マイナス13ポイント・受注金額マイナス10ポイントと、受注戸数・金額ともに4四半期ぶりにマイナスに転じた(前7月度受注戸数プラス28・受注金額プラス38)。
     コメントでは、「9月単月、累計とも前年比プラス。展示場来場数が堅調で受注実績は前年同月比プラスを維持できている」、「昨年の状況からは回復傾向」、「変化無し、引き合い多数」という声もあるなか「消費税増税後の消費者マインド低下は緩やかな回復基調だが、個人消費の財布の紐はいまだ固い」、「住宅取得支援策は顧客に浸透しつつあるが、海外経済の先行き不透明感もあり商談時間が長期化している」、「消費税増税からの回復鈍化でマイナスとなった」、「東京圏が苦戦、エリア差が出てきている」、「折衝長期化続き、決め手に欠ける」など各社の反応には ばらつきがある。大手の対前年比受注金額も約一年ぶりにマイナスに転じており予断を許さない状況である。
  • -見通し-
    平成27年度第3四半期(平成27年10~12月)見通しの景況判断指数は、受注戸数プラス41ポイント・受注金額プラス40ポイントと、戸数・金額ともにプラスが継続するとの見通しとなった(前7月度受注戸数プラス56・受注金額プラス59)。
     コメントでは、「市場の急転回復は望めないが、消費者マインドは引き続き緩やかに回復していく」、「10月以降は前年のハードルが高くなるが新商品やキャンペーンなどで販促に努める」「消費税率引き上げに伴う経過措置の適用期限に向けて契約数は上向いていく」、「好調の集客及び金利政策等を受けプラスを予想」、「展示場の来場も好調であり引き続き前年比プラスの見込み」、「キャンペーン等で回復傾向を維持」など前向きなコメントが多い中、「消費税引き上げの反動減の影響は大きく、負担軽減策は全体に浸透しきれていない」、「消費税引き上げ前と比べ回復しておらず、市場は依然として厳しい状況にある」とみるコメントもあり、回復基調にあるかどうかの判断はもう暫く受注の動向を見守る必要があるとしている。
  • (戸建分譲住宅)
  • -実績-
    平成27年度第2四半期(平成27年7~9月)実績の景況判断指数は、受注戸数プラス20ポイント・受注金額プラス20ポイントと、受注戸数・金額ともにプラスが継続となった(前7月度受注戸数プラス50・受注金額プラス59)。
     コメントでは、「棟数・金額ともマイナス」との回答もあったが、「分譲物件数を確保していたこともあり、計画通り推移した」、「住宅地価の下落感がなくなり、横ばい→上昇局面に備えて一次取得者層が徐々に動きだしている」と全体的に前向きな声が聞かれた。
  • -見通し-
    平成27年度第3四半期(平成27年10~12月)見通しの景況判断指数は、受注戸数、プラス40ポイント・受注金額はプラス35ポイントでプラスが継続するとの見通しである(前4月度 受注戸数プラス50・受注金額プラス59)。
     コメントでは、「分譲マンションの価格高止まりに比べて、分譲住宅土地価格は比較的安定し、購買意欲は、高まる」、「引き続き、安定的に分譲物件を確保し販売に努める」など、受注拡大に向けた各社の取り組みが見られ、全体的な指数としてもプラスが継続するとの見通しである。
  • (低層賃貸住宅)
  • -実績-
    平成27年度第2四半期(平成27年7~9月)実績の景況判断指数は受注戸数プラス17ポイント・受注金額プラス29ポイントと、受注戸数・受注金額ともに、プラスが継続するという結果となった(前7月度受注戸数プラス54・受注金額プラス63)。
     コメントでは、「値上げの影響、営業人員の不足により一時的に受注が落ち込んでいる」、とのコメントがあるが「低金利・相続対策・高水準での株価の安定等、外部要因が下支えとなり、投資意欲は底堅い」、「棟数、金額ともにプラス」、「株価の乱高下等のリスク要因の影響から一時的に伸び悩んだが集客は引き続き堅調だった」、「相続税対策が一部落ち着くも、続く低金利などを背景に微増となった」、「9月累計では、前期に対し2割増で推移している」、「案件が増えるが、大型の施設は少ない」といずれも集客や、案件の増加基調のコメントで、全体的には受注戸数・金額ともプラスが継続している。
  • -見通し-
    平成27年度第3四半期(平成27年10~12月)見通しの景況判断指数は、受注戸数・受注金額ともにプラス27ポイントと、戸数・金額ともに好調にプラスが継続するとの見通しである(前7月度受注戸数・金額ともプラス54)。
     コメントでは、「低金利の状況が持続し、消費者にとっての景況感は良く、投資意欲が高水準で推移する」、「集客は堅調で需要は見込める。ただし前年度ハードルは高い」、「相続税対策の需要が依然底堅く、今後も堅調に推移する見込み」、「引き続き低金利を背景にプラスを予想」、「今後も価格メリットだけの提案でなく、エリアに適した提案や独自の強みを活かし受注に注力」、「案件は、増加傾向」など、低金利の継続などを背景とした景況感が良く、相続税対策としての投資需要も引き続き堅調に推移する見込みで、プラスが継続するとの見通しである。
  • (リフォーム)
  • -実績-
    平成27年度第2四半期(平成27年7~9月)実績の景況判断指数は受注金額が、プラス20ポイントと、前四半期に続きプラスが継続となった(前7月度受注金額プラス63)。
     コメントでは、「空家対策・ストック活用等市場の動きに呼応して個人住宅のリフォームも、動き始めている」、「受注安定」、「大型物件多数」「築年数の古いビルなど大規模リフォームが出てきた」、「南関東、中部、近畿の伸びが大きかった」などの引き続き前向きなコメントも聞かれたが「節約志向が強く伸びが低下した」、「東北地方が前年比ダウン」などの意見もありプラス継続ではあるものの下降傾向となった。
  • -見通し-
    平成27年度第3四半期(平成27年10~12月)見通しの景況判断指数は受注金額がプラス57ポイントと、プラスが継続するという見通しである(前7月度受注金額プラス60)。
     コメントでは、「特別な増減はない」との意見もあるが「太陽光発電バブルからの対前年落ち込みが落ち着き、個人住宅リフォーム・大型リノベーション等が受注を牽引する」、「イベント等で受注安定を維持」、「上期同様 伸びは少ないが、築25年以上の建物のリフォーム、高齢者の安心居住の為のリフォーム等により5~6%の伸びが考えられる」、「省エネ住宅ポイントを中心に引き続き顧客へ訴求し、前年比プラスを目指す」などと前向きなコメントが多く寄せられプラスが継続する見通しとなった。
  • 新設住宅着工戸数の予測アンケート結果
  • 平成27年度の新設住宅着工戸数の予測については、回答した16社の予測平均値が、総戸数89.8万戸(前7月度89.6万戸)という予測結果となった。
     利用関係別では、持家が29.2万戸(前7月度29.0万戸)、分譲住宅24.3万戸(同24.3万戸)、賃貸住宅35.7万戸(同35.3万戸)となっている。
  • 平成27年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果
―回答数―16社―
【単位:万戸】
  総戸数 持 家 分譲住宅 賃貸住宅
平成25年度実績 98.7 35.3 25.9 37.0
平成26年度実績 88.0 27.8 23.6 35.8
平成27年度予測
A社 93 30 25 37
B社 91 28.5 26 36
C社 89 31 23.8 33.5
D社 85 28 21 36
E社 92.5 31.4 28.4 34.7
F社 93 28 24.8 39.5
G社 89 29 23.5 36
H社 92 31.5 23.5 36.5
I社 93 34 25 34
J社 89 28 24 36.5
K社 80 30 20 29.5
L社 91 28 25 37
M社 88.2 28 23.7 35.7
N社 90 30 25 34.5
O社 記載なし 記載なし 記載なし 記載なし
P社 89.8 27.8 24.7 36.7
Q社 85 24 25 35
R社 記載なし 記載なし 記載なし 記載なし
平 均 89.8 29.2 24.3 35.7


  • 住宅メーカーの経営指標について
  • 向こう6カ月間の住宅メーカーの経営指標となる下記の項目について、各社の経営者にアンケートを行なった。その結果は次の通りである。
  上がる 変わらず 下がる
拠点展開
(展示場含む)
1 (1) 16 (14) 1 (3)
生産設備
(工場を含む)
1 (4) 17 (13) 0 (1)
新商品開発 6 (7) 12 (11) 0 (0)
販売用土地
(分譲住宅用地含む)
6 (7) 8 (8) 1 (1)
新規採用人数
(27年度下半期採用数)
7 (8) 8 (8) 2 (2)
広告宣伝費 1 (0) 16 (14) 1 (4)

( )内は、平成27年4月度調査時の数値である。
  • 指標の動向について
  • 1) 「拠点展開」は、「増やす」は前回同様1社にとどまり、「変わらず」が16社と増加した。拠点展開は現状維持の姿勢が強い。
  • 2) 「生産設備」は、「増やす」が1社に減り、17社が「変わらず」と回答しており、設備投資については、現状維持の姿勢が強まった。
  • 3) 「新商品開発」は、「増やす」が6社と減少傾向にあり、「変わらず」が12社に増加した。各社の新商品開発意欲にも大きな変化は見られない。
  • 4) 「販売用土地」は、「増やす」が6社とやや減少した。「変わらず」は8社と横ばいで 土地取得意欲は徐々に減少している。
  • 5) 「新規採用人員」は、18社のうち「増やす」が7社と微減、「変わらず」が8社と横ばい。人員体制も、横ばいの傾向が見られる。
  • 6) 「広告宣伝費」については、「減らす」が1社に減少したものの、「変わらず」が16社に増加し販売支援体制は現状維持の傾向が強い。
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