平成28年7月度 『景況判断指数からみた傾向』

  • 平成28年7月度 『景況判断指数からみた傾向』
  • 総計
  • -実績-
    平成28年度第1四半期(平成28年4~6月)実績の景況判断指数は前年同期比で、
    総受注戸数は △4ポイント、総受注金額も △4ポイントで4月度のプラスから一転、再度マイナスとなった。
    (前4月度 総受注戸数+10、総受注金額+18)
    コメントでは、
    「景気の先行き不安、6月は消費税増税延期も影響し、思うように受注が伸びなかった。」
    「低金利の効果で、展示場来場者は堅調だが、購入の決め手にはならなかった。」
    との回答が多い中、
    「戸数、金額共に前年比プラスとなった。」との回答もあった。
    ※景気不透明感の中、低金利が購買意欲の下支えとなったが、戸建受注は回復しきれず、賃貸住宅やリフォームで数字を補った会社がかろうじてプラスを維持した。
  • -見通し-
    平成28年度第2四半期(平成28年7~9月)見通しの景況判断指数は、
    総受注戸数は +25ポイント、総受注金額 +35ポイントと5%成長を予測する回答が多い。
    (前4月度 総受注戸数+37、総受注金額+32)。
    コメントでは、
    「個人消費の回復は厳しいが市場は復調の傾向。ただし、増税先送りにより商談が長期化する可能性から、緩やかな上昇に留まる。」
    「低金利、ZEH補助金等の良い材料はある。」
    「大型物件・富裕層の需要を想定している。」
    等、プラス予測をする回答が半数近くを占めた。
    ※増税延期に伴う停滞感を不安視しつつも、低金利などの条件、賃貸住宅の好調を軸にプラスを予測する回答が多い。
  • (戸建注文住宅)
  • -実績-
    平成28年度第1四半期(平成28年4~6月)実績の景況判断指数は、
    受注戸数 △9ポイント、受注金額 △7ポイントと全体ではマイナスとなったが、大手メーカーにおいては前年比で+5%の回答も多い。
    (前4月度 受注戸数+3、受注金額+17)。
    コメントでは、
    「景気の先行き不安、6月は消費税増税延期による様子見で思うように受注が伸びなかった」という回答がある中、
    「住宅ローン金利の効果は出てきている、受注は前年を上回り回復傾向にある」
    という回答もあった。
    ※商品力、ZEH対応力などに秀でたメーカーがプラス実績となっている。
  • -見通し-
    平成28年度第2四半期(平成28年7~9月)見通しの景況判断指数は、
    受注戸数 +25ポイント、受注金額 +30ポイントと、+5%成長の回答が目立つ。
    (前4月度 受注戸数+34、受注金額+27)。
    コメントでは、
    「低金利による消費者の住宅購入意欲はあり、緩やかに回復していく」
    「駈込み受注は無くなったが、低金利やZEH補助金など買い時であることに変わりはない」などのプラス予測がある反面、
    「景気の不透明感から前年並み」もしくは「厳しい状況が続く」
    との予測も同数程度あった。
    ※増税延期以外の政策的後押しは少ないが、低金利やZEH補助金による購入意識の高揚を予測している。
  • (戸建分譲住宅)
  • -実績-
    平成28年度第1四半期(平成28年4~6月)実績の景況判断指数は、
    受注戸数 △18ポイント、受注金額も △18ポイントと、対前年比マイナスとなった。
    (前4月度 受注戸数+20、受注金額+5)。
    コメントでは、
    「物件を一定数確保していたため、比較的堅調に推移」
    というコメントもあったが、ほとんどが「前年並み、もしくは以下」との回答だった。
  • -見通し-
    平成28年度第2四半期(平成28年7~9月)見通しの景況判断指数は、
    受注戸数 +14ポイント、受注金額 +5ポイントと、前年並み、もしくは若干の成長を見込む回答が多い。
    (前4月度 受注戸数+5、受注金額+5)。
    コメントでは、
    「大幅な物件数の増加は予定していないため、昨年並みを見込んでいる」との回答が多い。
    ※戸建注文住宅と同様の判断をしている。
  • (低層賃貸住宅)
  • -実績-
    平成28年度第1四半期(平成28年4~6月)実績の景況判断指数は、
    受注戸数 +31ポイント、受注金額 +25ポイントと連続で増加しているが数字は割れた。
    (前4月度 受注戸数+8、受注金額は+31)。
    コメントでは、
    「大型物件の受注が伸びた」と回答する大手メーカーが多かった。
    ※中高層、大型化に対する販売力を有するメーカーが強みを発揮している。
  • -見通し-
    平成28年度第2四半期(平成28年7~9月)見通しの景況判断指数は、
    受注戸数 +42ポイント、受注金額 +31ポイントと、更なる伸びを見込んでいる。
    (前4月度 受注戸数+25、受注金額+29)。
    コメントでは、
    「相続にからむ資産活用ニーズ等を見込んでいる」
    「低金利による不動産投資意欲は高い」
    など引き続き堅調に推移することを見込む回答が多かった。
    ※今後も新築受注の柱として力を入れるメーカーが多いと思われる。
  • (リフォーム)
  • -実績-
    平成28年度第1四半期(平成28年4~6月)実績の景況判断指数は
    受注金額が +21ポイントと、前4月度同ポイントを維持した。
    (前4月度 受注金額+21)。
    コメントでは、
    「大型物件の受注が増加した」
    「オーナーとのリレーションを密にし、受注を拡大した」
    「補助金を活用した提案ができた」
    などの回答があった。
    ※現状はオーナーとのリレーションシステムの構築ができている会社が伸びている。
  • -見通し-
    平成28年度第2四半期(平成28年7~9月)見通しの景況判断指数は
    受注金額が +36ポイントと、大きな成長を予測している。
    (前4月度 受注金額+43)。
    「大型リノベーション、熊本地震に伴う耐震リフォーム、補助金利用、リレーション強化」を武器に受注拡大を見込む回答が多いが、
    「消費マインドは冷え込み、必要な部分のリフォームなど小規模化する」
    との見方もあった。
    ※既存住宅流通市場の拡大よりも現状は自社のオーナーリフォームに焦点を絞っている。
  • 新設住宅着工戸数の予測アンケート結果
  • 平成28年度の新設住宅着工戸数の予測については、回答した16社の予測平均値が、
    総戸数91.1万戸(前4月度91.3万戸)という予測結果となった。
    利用関係別では、
    持家が 28.4万戸(前4月度29.1万戸)
    分譲住宅24.4万戸(    同25.8万戸)
    賃貸住宅38.0万戸(    同35.7万戸)
    と賃貸住宅の予測値が、前回の予測を上回っている。
  • 平成28年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果
―回答数―16社―
【単位:万戸】
  総戸数 持 家 分譲住宅 賃貸住宅
平成26年度実績 88.0 27.8 23.6 35.8
平成27年度実績
(H27.4~H28.3)
92.1 28.4 24.6 38.3
平成28年度予測
A社 95 28.5 25 40.5
B社 87 27 24 35.5
C社 90 30 23.6 36
D社 86.1 27.5 21 37
E社 89.9 28.2 23.6 38.1
F社 94 31 23 39.5
G社 92.1 28.4 24.7 38.4
H社 92 27.5 25 39
I社 90 30 24 36
J社 91 30 25 35.5
K社 95 29.5 26 39
L社 90 28 24 40
M社 97 29 25 42.5
N社 89 27 24 37.5
O社 記載なし 記載なし 記載なし 記載なし
P社 90.6 26.5 26.1 37.4
Q社 90 26.8 24 38.5
R社 記載なし 記載なし 記載なし 記載なし
平 均 91.1 28.4 24.4 38.0


  • 住宅市場について
  • 向こう6カ月の住宅市場に関する指標について、各社の経営者にアンケートを行なった。
    その結果は次のとおりである。
  上がる 変わらず 下がる
所得の伸び 1 ( 5 ) 17 ( 12 ) 0 ( 1 )
家賃の動向 1 ( 1 ) 16 ( 17 ) 1 ( 0 )
金利の動向(市中金利) 0 ( 2 ) 14 ( 16 ) 4 ( 0 )
資材価格の動き 3 ( 6 ) 14 ( 11 ) 1 ( 0 )
建築の手間賃 8 ( 6 ) 10 ( 12 ) 0 ( 0 )

  上がる 変わらず 下がる
地価の動向(住宅地) 7 ( 6 ) 11 ( 11 ) 0 ( 1 )

  増える 変わらず 減る
展示場来場者数 2 ( 12 ) 12 ( 3 ) 3 ( 2 )

  過剰 充足 不足
技能職人数(大工) 0 ( 0 ) 5 ( 6 ) 13 ( 12 )

( )内は、平成28年1月度調査時の数値である。
  • 指標の動向について
  • 1) 「所得の伸び」では、「上がる」が1社に減り、残る全経営者が「変わらず」と回答している。
  • 2) 「家賃の動向」では、16社が「変わらず」と回答し、現状維持の傾向を継続している。
  • 3) 「金利の動向」では、4社が「下がる」と回答し、金利下落の状況が更に進むと予測している。
  • 4) 「資材価格の動き」では、「上がる」が減少し、その分「変わらず」が増加するという安定化の予測をしている。
  • 5) 「建築の手間賃」に関しては「上がる」が上昇し、その分「変わらず」が減少した。職人不足を危惧する予測にある。
  • 6) 「地価の動向」では、「上がる」と見る回答が7社に増えた。人口は減る傾向にあっても、特に3大首都圏では需要は十分見込まれると予測している。
  • 7) 「展示場来場数」は「増える」が激減し、消費税増税延期に伴う停滞感を反映している。
  • 8) 「技能職人数(大工)」では、前回調査同様「不足」の状況が加速すると予測している。
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