平成28年10月度 『景況判断指数からみた傾向』

  • 平成28年10月度 『景況判断指数からみた傾向』
  • 総計
  • -実績-
    平成28年度第2四半期(平成28年7~9月)実績の景況判断指数は、対前年同期比で、前7月度予測(総受注戸数 +25ポイント、総受注金額 +35ポイント)に対し、
    総受注戸数は △11ポイント、総受注金額は +15ポイントとなり、戸数においては予測を下回り、2期連続の減少となったが、金額においては再度プラスに転じた。
    (前4~6月度実績 総受注戸数 △4、総受注金額 △4)
    コメントでは、
    『景気の先行き不安に加えて、住宅ローン金利の引き上げの可能性が少ない(マイナス金利の深堀)と感じている顧客が多く、決断に至らないケースが見られた。』
    『集客も、8~9月に相次いだ台風などの天候の影響もあり、プラス幅が縮小した。』
    『一戸あたりの金額は伸びている。』など。
    ※展示場来場組数に関して、8、9月はほぼ全国的に減少(8月は全国平均で対前年同月比△5.6%、9月は△15.6%)となり、少なからぬ影響があったと思われる。
  • -見通し-
    平成28年度第3四半期(平成28年10~12月)見通しの景況判断指数は、
    総受注戸数は +29ポイント、総受注金額 +42ポイント となっている。
    コメントでは、
    『個人消費の回復は厳しいが、住宅市場において底堅い潜在需要はあり回復の傾向。特に高価格帯は引き続き好調に推移。ただし、経済の不透明感により、顧客の決断までの時間が長期化する可能性もある、全体としては緩やかな上昇に留まる。』
    『景気の先行き不安感が強く、引き続き商談の長期化は続くと見ている。しかし、歴史的な程低金利の住宅ローンは住宅検討において好材料であることに変わりはない。』
    『商品力強化で受注増の見通し。』
    『賃貸住宅の好調な受注を受け、金額面で対前年比大幅UP。』
    『住宅ローン金利低下などの追い風の一方、消費税増税延期や景気の先行き不透明感の影響で前年同期と同等と予測。』など。
    ※大型物件や富裕層の需要、賃貸住宅の好調を軸に、といったコメントは今回なかった。予測ポイント数を裏付ける程の好材料はなかなか見えてこない。
  • (戸建注文住宅)
  • -実績-
    平成28年度第2四半期(平成28年7~9月)実績の景況判断指数は、対前年同期比で、前7月度予測(受注戸数 +25ポイント、受注金額 +30ポイント)に対し、
    受注戸数 △3ポイント、受注金額 +20ポイント となり戸数においては【総数】同様、予測を下回り、2期連続の減少となったが、金額においては再度プラスに転じた。
    (前4~6月度実績 受注戸数 △9、受注金額 △7)。
    コメントでは、
    『高額商品の受注が堅調なため、1棟あたりの金額は増加している。回復傾向にある。』
    『棟数・金額ともにプラスとなった。』
    『緩やかではあるが受注は延びている。』
    『受注単価はZEH促進効果もあり、上昇傾向。』
    『高額商品が受注をけん引し、受注金額は前年を上回ったが、戸数はマイナス。』
    『契約決断の後押しとなる理由がなく、検討期間の長期化傾向が続いた結果、戸数は前年比マイナスとなった。』
    『住宅購入に関する先延ばし傾向が強い。』
    『円高、株安、消費税増税延期もありマイナスとなった。』
    『低調な受注状態。』など。
    ※以上の幅広いコメントであったが、戸数においては、前7月度集計時になかった「10%程度・以上良い」との回答もあり、歩留まりの感が見えた。
  • -見通し-
    平成28年度第3四半期(平成28年10~12月)見通しの景況判断指数は、
    受注戸数 +28ポイント、受注金額 +37ポイント となっている。
    コメントでは、
    『低金利が続く間は比較的堅調な受注が続く。』
    『10月以降の集客促進と商談歩留まり向上で前年以上の受注を目指す。』
    『低金利、商品力強化で受注増。』
    『現在の低受注の流れを引きずりそうだが、単価は前年比プラスを維持。』
    『住宅ローンは低金利で推移しているが、円高、株価の不安定な動きなど、景気の不透明感がましており、当面様子見の状況が続くと思われる。』
    『一時取得者の受注は一定数見込めるが、建て替え層の受注は減少の見通し。』
    『年内の受注は見込めるが、年明けは冷え込むと思われる。』
    『低調な市場が続くものと予測している。』など。
    ※年末、年始の商戦時期にあたり、これまでの商談中顧客の取り込み意欲が伺える。前7月度集計時に見られた「5%程度悪くなりそう」の予測が今回は減った。ZEH補助金100億円などは、主に大手メーカーにとって今期の武器となるはずである。
  • (戸建分譲住宅)
  • -実績-
    平成28年度第2四半期(平成28年7~9月)実績の景況判断指数は、対前年同期比で、前7月度予測(受注戸数 +14ポイント、受注金額 +5ポイント)に対し、
    受注戸数 △25ポイント、受注金額も △10ポイント となり2期連続マイナスとなった。
    (前4~6月度実績 受注戸数△18、受注金額△18)
    コメントでは、
    『仙台の災害復興住宅の受注により前年を大きく上回った。』
    『棟数・金額共にマイナス』など。
    ※前年同期の好業績の反動でポイントが上がらない個社もある。『母数が小さく、ばらつきが出やすいセグメント』とのコメントもあり、個社によってポイントが分かれた。
  • -見通し-
    平成28年度第3四半期(平成28年10~12月)見通しの景況判断指数は、
    受注戸数 +30ポイント、受注金額 +30ポイント となっている。
    コメントでは、
    『低金利が続く間は比較的堅調な受注が続く予想。』
    『在庫数は現状維持、この秋オープンの新規分譲地で受注上積みの予定。』
    『円高や株価の動きなど景気の先行きには不透明感が増しており、様子見の状態が続く。』
    など。
    ※前7月度集計時に見られた「10%程度・以上悪くなりそう」との予測がなくなり、前向きな見通しとなっている。
  • (低層賃貸住宅)
  • -実績-
    平成28年度第2四半期(平成28年7~9月)実績の景況判断指数は、対前年同期比で、前7月度予測(受注戸数 +42ポイント、受注金額 +31ポイント)に対し
    受注戸数 ±0ポイント、受注金額 +17ポイント と予測を大きく下回った。
    しかし、ここ2年近くの堅調な数字が自らのハードルを上げた感もあり、依然としてプラスを維持する個社が多い。

    (前4~6月度実績 受注戸数 +31、受注金額は +25)。
    コメントでは、
    『受注は3、4階建の大型物件がけん引し、引き続き堅調を維持。』
    『相続税法改正前後の建設需要は一巡したが、一定の受注は継続している。』
    『大型物件を強化したことで、受注単価は上昇した。』
    『戸数あたりの受注金額がアップし、前期比大幅増となった。』
    『営業人員の充実や土地活用ニーズの高まり、低金利を追い風に手堅く受注を継続。』など。
    ※今回の調査でも、「大型物件の受注が伸びた」とするメーカーが多く、3、4階建ての商品力を有するメーカーが強みを発揮している。
    *コメント内の「大型化」は、階数が主には3階建てまでで、床面積(規模)の大型化を意味する。
  • -見通し-
    平成28年度第3四半期(平成28年10~12月)見通しの景況判断指数は、
    受注戸数 +29ポイント、受注金額 +33ポイント と継続して高い予測となっている。
    コメントでは、
    『相続税対策、低金利により、顧客の不動産投資意欲は高く、都市部を中心に引き続き堅調に推移。3、4階建ての大型物件が受注をけん引する。』
    『資産活用系セミナーの集客が引き続き堅調なため、ここからの受注促進を図っていく。』
    『相続税対策や建て替えにより、当面堅調に推移する予想。』
    『戸数あたりの金額が大きくなり、金額のみ前年同期比増となる見込み。』
    『好調を維持するものと予想。』
    『東京オリンピックのインフラ工事本格化を控え、不透明感を払拭できず。』など。
    ※今後も受注の柱として数字を読み込んでいるメーカーが多い。
    「サブリース契約のトラブル」/「実需に基づかない、節税ニーズがけん引する低層賃貸住宅の増加」などが取りざたされているが、実態としての数字には現在出てこない。
  • (リフォーム)
  • -実績-
    平成28年度第2四半期(平成28年7~9月)実績の景況判断指数は、対前年同期比で、前7月度予測(受注金額 +36ポイント)に対し、
    受注金額 △11ポイント と予測を大きく下回り、6期連続したプラスから減少に転じた。
    (前4~6月度実績 受注金額 +21)
    コメントでは、
    『増税延期による様子見傾向が強かった事が響きマイナスとなった。』
    『営繕工事程度の規模が多い。』
    『大型案件は、商談の長期化が見られ、小型案件数が増加している。』
    『顧客にとって、急いでリフォームする理由が見当たらず、商談の長期化や延期が増えた。ただし、受注は前年を上回って推移しており、受注はあるとみている。』
    『案件あたりの受注金額は増。』
    『戸建住宅においては、築20年以上経過した案件からの需要、賃貸住宅においては、外装工事と同時に足場を利用した太陽光発電システム設置工事が増加。首都圏での700万円を超えるリフォームの引き合いも増加している。』
    『リフォーム市場全体に事業展開できる体制を構築し、前年を上回る。』など。
    ※増税延期の停滞感が伺えた。
  • -見通し-
    平成28年度第3四半期(平成28年10~12月)見通しの景況判断指数は、
    受注金額が +25ポイントと、継続して成長を予測している。
    コメントでは、
    『引き続き商談長期化の傾向は続くとみており、各種イベントにより需要喚起を図る。』
    『年度内は好調を維持する見通し。(H28年度第2次補正予算の成立と、それに伴う補助事業による受注が見込める。)』
    『補助金の延長もあり、昨年よりは良いと予想』
    『大型案件は少なくなるが、小型案件は増加する為、前年同期程度の受注金額となる見込み。』
    『耐震リフォーム等商品力を強化していく。』
    『年末を控え大規模リフォームは減少するだろう。来春まで期待はできず。』など。
    ※補助金を武器に受注を伸ばすとの予測をたてる個社が目立った。
  • 新設住宅着工戸数の予測アンケート結果
  • 平成28年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果
―回答数―16社―
【単位:万戸】
  総戸数 持 家 分譲住宅 賃貸住宅
平成26年度実績 88.0 27.8 23.6 35.8
平成27年度実績
(H27.4~H28.3)
92.1 28.4 24.6 38.3
平成28年度予測
A社 95 28.5 25 40.5
B社 90 28 24 37.5
C社 94 30 24.6 39
D社 88.1 28.5 20 39
E社 91.7 28.1 24.7 38.9
F社 93.5 29 24 39.9
G社 92.1 28.4 24.7 38.4
H社 92 27.5 25 39
I社 90 29 24 37
J社 91 30 25 35.5
K社 95 30 24.5 40
L社 90 28 24 40
M社 97.5 29.3 25 42.6
N社 89 27 24 37.5
O社 記載なし 記載なし 記載なし 記載なし
P社 94.6 28.6 25.3 40.1
Q社 90.5 26.8 24 39
R社 記載なし 記載なし 記載なし 記載なし
平 均 92.0 28.6 24.5 39.0


  • 住宅メーカーの経営指標について
  • 向こう6カ月の住宅市場に関する指標について、各社の経営者にアンケートを行なった。
    その結果は次のとおりである。
  増やす 変わらず 減らす
拠点展開
(展示場含む)
1 (3) 15 (13) 2 (2)
生産設備
(工場を含む)
1 (3) 17 (15) 0 (0)
新商品開発 3 (5) 14 (12) 1 (1)
販売用土地
(分譲住宅用地含む)
8 (7) 8 (7) 0 (1)
新規採用人数 6 (10) 11 (6) 1 (2)
広告宣伝費 2 (5) 15 (13) 1 (0)

( )内は、平成28年4月度調査時の数値である。
  • 指標の動向について
  • 1) 「拠点展開」は、「増やす」が前回の3社から1社に減少し、その分が「変わらず」に移行した。平成27年度からは低調である。
  • 2) 「生産設備」は、「増やす」が3社から1社に減少し、その分が「変わらず」に移行した。
  • 3) 「新商品開発」は、「増やす」が5社から3社に減少し、その分が「変わらず」に移行した。調査をスタートした平成24年度以降、「増やす」は5~8社で推移しており、今回は大きく減少した。
  • 4) 「販売用土地」のみ、「増やす」が1社増加し、「減らす」がなくなり、土地の仕入れ意欲が若干見える。
  • 5) 「新規採用人員」は、「増やす」が6社に減少し、今回の調査中で最大の変動項目となった。
  • 6) 「広告宣伝費」については、「増やす」が2社に減少した。(下期の調査では、減少傾向が強い。)
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