平成29年1月度 『景況判断指数からみた傾向』

  • 平成29年1月度 『景況判断指数からみた傾向』
  • 総数
  • -実績-
    平成28年度第3四半期(平成28年10~12月)実績の景況判断指数は、対前年同期比で、 前10月度予測(総受注戸数 +29ポイント、総受注金額 +42ポイント)に対し、
    総受注戸数は △15ポイント、総受注金額は +4ポイント となり、戸数においては、
    3四半期連続のマイナスとなったが、金額においてはプラスを継続した。

    (前7~9月度実績 総受注戸数 △11、総受注金額 +15)
    コメントでは、
    「戸数は増えなかったが、単価は伸びた。」
    「市場・景気の不透明感が続き、決断が先延ばしになる傾向があった。第3Q後半からは大型物件の受注が伸びた。」
    「工務店により受注の大小に大きな差が出ている。自己PRの多寡によるのか。」
    「前年超えならず。」
    「景気先行き不安や消費税引き上げ延期によって、時間をかけて購入を検討する顧客が増えており、商談が長期化した。」
    「9、10月の来展集客減少やお客様の決断までの長期化傾向も見られ、想像よりも市場基調は弱かった。」
    「賃貸住宅以外は低調な市場傾向が続いている。」
    ※低金利の効果もコメントに上らず、戸数の減少に歯止めがかからなかった。
  • -見通し-
    平成28年度第4四半期(平成29年1~3月)見通しの景況判断指数は、
    総受注戸数は +19ポイント、総受注金額 +29ポイント となっている。
    コメントでは、
    「昨年の1~3月は、消費税引き上げを見据えた受注が好調でハードルは高く、かつ商談の長期化も続くと見られる。ただ、歴史的低金利の住宅ローンが住宅購入の好材料であることあることに変わりはない。」
    「集客は11、12月と対前年比プラスを確保。市場環境に少なくとも悪くなる兆しはない。」
    「昨年の好調な集客によりプラスを予測。」
    「株価上昇に伴い、高所得者層の需要増が予想され、単価の上昇・大型物件が牽引する見通し。」
    「企業側には持ち直しの動きが見られるが、個人消費の回復は弱めの動き。市場には底堅い潜在需要はあるものの、緩やかな上昇にとどまる。国際情勢の影響で不透明感は残る。」
    「米国新政権の動きもあり、見通し不安定。」
    「好調も消費税増税まで、以降は急激な下降に。」
    「大きな市場変化はなく、低調な市場環境が続く。」
    ※昨年同四半期は、消費税増税延期発表前の受注が安定した時期であったため、ポイント数は前回ほど高くないが各社更なるプラスの見通しとなっている。ただ予測ポイント数を裏付ける程の好材料はなかなか見えてこない。
  • (戸建注文住宅)
  • -実績-
    平成28年度第3四半期(平成28年10~12月)実績の景況判断指数は、対前年同期比で、 前10月度予測(受注戸数 +28ポイント、受注金額 +37ポイント)に対し、
    受注戸数 △25ポイント、受注金額 +3ポイント となり戸数においては【総数】同様、3四半期連続のマイナスとなり、金額においてはプラスを維持したものの予測を下回った。
    (前7~9月度実績 受注戸数 △3、受注金額 +20)。
    コメントでは、
    「棟数は前年を下回るものの金額は前年並みを維持し、引き続き高額商品が受注を牽引している。展示場来場数は前年を上回る。」
    「秋以降、急激に受注が増した。」
    「好調な集客を背景に順調に推移。」
    「高額物件受注により金額は伸びている。」
    「金額は、坪数がやや大きくなり対前年比プラス。」
    「悪天候により8,9月は展示場来場が減少し、受注にマイナスの影響が出た。商談の長期化も引き続き見られた。」
    「棟数、金額共にマイナス。」
    「不透明感の続く国内景気の状況で、住宅取得の先延ばし傾向が見受けられる。」
    「「商談が長引く傾向が続く。」
    ※以上の幅広いコメントであったが、8、9月の展示場来場数減の影響もあり、戸数は前年から大きく減少し、金額もポイントを下げた企業が増加した。
  • -見通し-
    平成28年度第4四半期(平成29年1~3月)見通しの景況判断指数は、
    受注戸数 +13ポイント、受注金額 +20ポイント となっている。
    コメントでは、
    「低金利が続く間は比較的堅調な受注が続く。加えて、住宅ストック循環支援事業の補助金により建替え需要が後押しとなる。」
    「昨年の1~3月は消費税引き上げを見据えた受注が好調であったためハードルは高い。キャンペーンや正月の展示場来場からの受注を促進していきたい。」
    「住宅ローンは低金利で推移しているが、円高や株価の不安定な動きなど、景気の先行き不安定感が増しており、当面様子見の状況が続くと思われる。アメリカ・中国・EU等の動向によっては、今後市場が冷え込む可能性があることから、しばらく動向を見守る必要がある。」
    「住宅ローン金利が上昇し始め、第3Qの様子見ムードの顧客の購入意欲が上がると見通す。」
    「戸数増は見込めないが高額物件を確実に受注していく。」
    「来春くらいまでは今の好調が持続するだろう。」
    「受注金額は対前年比プラスで安定してきている。販売状況は12月に単月でプラスに転じ、敷地調査も前年並みに戻ったことで1月受注のプラス要因となりそう。」
    「大きく伸張できる要素がなく、低調な市場が続く。」
    ※期末商戦時期ではあるが、各社前回に比べれば慎重な予測となっている。金利の動きがどれほど受注を刺激するかも注視すべき項目となる。
  • (戸建分譲住宅)
  • -実績-
    平成28年度第3四半期(平成28年10~12月)実績の景況判断指数は、対前年同期比で、 前10月度予測(受注戸数 +30ポイント、受注金額 +30ポイント)に対し、
    受注戸数 +28ポイント、受注金額も +11ポイント となり3四半期ぶりにプラスに転じた。
    (前7~9月度実績 受注戸数△25、受注金額△10)
    コメントでは、
    「土地在庫の回転がよく、前年を大きく上回る。」
    「大規模分譲地を販売開始したことが受注を押し上げた。」
    「棟数・金額ともにマイナス。」
    ※母数が小さく、ばらつきの出やすいセグメントではあるが、今回の回答では販売在庫の安定していたメーカーが多かった。
  • -見通し-
    平成28年度第4四半期(平成29年1~3月)見通しの景況判断指数は、
    受注戸数 +17ポイント、受注金額 +17ポイント となっている。
    コメントでは、
    「仕入在庫の回転が引き続き順調に推移と予測。」
    「大規模分譲地を中心に受注の押し上げを図る。」
    ※±0と回答するメーカーが大半を占め、保有在庫の販売を継続する動きとなっている。
  • (低層賃貸住宅)
  • -実績-
    平成28年度第3四半期(平成28年10~12月)実績の景況判断指数は、対前年同期比で、 前10月度予測(受注戸数 +29ポイント、受注金額 +33ポイント)に対し
    受注戸数 △21ポイント、受注金額 △17ポイント と予測を大きく下回った。
    一昨年は反動減から大きく持ち直し、昨年は、好調であるものの前年のハードルが高く減少、今年は、そこから更に減少となった。

    (前7~9月度実績 受注戸数 ±0、受注金額は +17)。
    コメントでは、
    「相続税対策、低金利等で堅調を維持するが、前年のハードルは超えることができず。」
    「相続税法改正前後の建設需要は一巡したと考えるが、引き続き根強い受注が見られた。」
    「戸数は横ばい、金額はプラス。」
    「好調な集客を背景に順調に推移」
    「大都市部の需要は堅調であるが、地方・郊外エリアの需要は低い。」
    「前年比は悪いものの、好調を維持。」
    「新規顧客開拓に時間を要している。」
    ※主要銀行貸出動向アンケート(1/23発表)において、個人向け住宅ローンは「相続税対策の貸家建設向け貸し出し需要が鈍化している」との見方をしている。都市部と郊外の格差も指摘され始めた。
  • -見通し-
    平成28年度第4四半期(平成29年1~3月)見通しの景況判断指数は、
    受注戸数 +4ポイント、受注金額 +4ポイント とプラスながら、ここ2年では最も低い予測となっている。
    コメントでは、
    「国際情勢の影響による株価・為替の動きが懸念材料だが、人口流入が続く都市部では需要の増加と相続税対策への高いニーズがあり、堅調に推移する。」
    「集客は依然として堅調に推移しており、今後も一定程度の需要が続くとみている。」
    「第3Q同様、大都市部需要増、地方・郊外エリアの低迷と予想。」
    「前期比同水準まで回復する見通し。」
    ※堅調だった昨年との比較であるためポイントは高くないが、都市部における需要は高水準に推移するとみている。
  • (リフォーム)
  • -実績-
    平成28年度第3四半期(平成28年10~12月)実績の景況判断指数は、対前年同期比で、 前10月度予測(受注金額 +25ポイント)に対し、
    受注金額 +4ポイント となり予測を下回るものの再度プラスに転じた。
    (前7~9月度実績 受注金額 △11)
    コメントでは、
    「国のリフォーム補助政策に基づく長期優良住宅化リフォームの推進により需要の喚起が図れ、受注が拡大した。高効率給湯器の需要が旺盛。」
    「10月は不調であったが、11、12月に大型物件の受注が増加した。」
    「契約内容の精度を上げて金額を延ばした。」
    「景気先行き不安や消費税増税延期の影響で、大型案件を中心に商談の長期化が見られた。」
    「増税延期による顧客の様子見が続き、マイナス。」
    「補助金はあるも、大きな伸張が出来ていない。」
  • -見通し-
    平成28年度第4四半期(平成29年1月~3月)見通しの景況判断指数は、
    受注金額が +43ポイントと、高い成長を予測している。
    コメントでは、
    「生活提案型リフォーム、大型リノベーションで受注を牽引していく。」
    「住宅ストック循環支援事業による補助金などを活用して需要を喚起していきたい。」
    「1~3月期は寒冷地、多雪地域での需要は毎年落ち込むが、耐久性向上・省エネリフォームなどの需要は底堅いと考える。」
    「改装商品への注力効果でプラスを予測。」
    「補助金の活用や受注の精度を上げて対前年比増の見通し。」
    「補助金の延長があり、前年を大きく上まわると期待している。」
    「変動は無いと思われる。」
    ※前回同様、補助金を武器に受注を伸ばすとの予測をたてる企業が目立つ。
  •  
  • 新設住宅着工戸数の予測
  • 平成28年度の新設住宅着工戸数の予測については、回答した16社の予測平均値が、
    総戸数95.5万戸(前10月度92.0万戸)という予測である。
    利用関係別では、
    持家が 29.2万戸(前10月度28.6万戸)
    分譲住宅24.8万戸(    同24.5万戸)
    賃貸住宅41.2万戸(    同39.0万戸)
    ※全項目において、前回(10月度)の予測よりもプラスとなった。
    賃貸住宅については、平成28年4月発表時から連続して上方修正となった。

    平成29年度の新設住宅着工戸数の予測については、回答した14社の予測平均値が、
    総戸数91.8万戸という予測である。
    利用関係別では、
    持家が 28.2万戸
    分譲住宅24.2万戸
    賃貸住宅39.3万戸
  • 平成28年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果
―回答数―16社―
【単位:万戸】
  総戸数 持 家 分譲住宅 賃貸住宅
平成26年度実績 88.0 27.8 23.6 35.8
平成27年度実績
(H27.4~H28.3)
92.1 28.4 24.6 38.3
平成28年度予測
A社 97 30 25 41.5
B社 98 29.5 25 43
C社 94.9 28.9 24.3 41.4
D社 95 29 25.5 40
E社 96.2 28.9 24.7 42.6
F社 94 29.5 23.5 40.5
G社 96 29 25 41.5
H社 95 27 25.5 42
I社 93 29 24 40
J社 91 30 25 35.5
K社 98 30.7 27.5 39
L社 93 29 24 40
M社 98 29 25 43.4
N社 95 28 25 41.5
O社 記載なし 記載なし 記載なし 記載なし
P社 97 29.3 25.3 41.8
Q社 95 30 22.5 42
R社 記載なし 記載なし 記載なし 記載なし
平 均 95.5 29.2 24.8 41.2

  • 平成29年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果
―回答数―14社―
【単位:万戸】
  総戸数 持 家 分譲住宅 賃貸住宅
平成27年度実績 92.1 28.4 24.6 38.3
平成28年度実績
(H28.4~H29.3)
95.4 29.2 24.7 41.2
平成29年度予測
A社 92 28 25 38
B社 91 27.5 24 39
C社 93 29 24.5 39
D社 91 28.5 23 39
E社 89.1 26.9 22.6 39.7
F社 92 29 23.5 39
G社 92 28 24 39.5
H社 93 27 25.5 40
I社 90 27 25 38
J社 91 30 20.5 40
K社 93 29.5 25 38
L社 92 28 24 40
M社 記載なし 記載なし 記載なし 記載なし
N社 91.5 27 24 40
O社 記載なし 記載なし 記載なし 記載なし
P社 94.2 28.8 24.9 40
Q社 記載なし 記載なし 記載なし 記載なし
R社 記載なし 記載なし 記載なし 記載なし
平 均 91.8 28.2 24.2 39.3

  • 住宅市場について
  • 向こう6カ月の住宅市場に関する指標について、各社の経営者にアンケートを行なった。
    その結果は次のとおりである。
  上がる 変わらず 下がる
所得の伸び 5 ( 1 ) 13 ( 17 ) 0 ( 0 )
家賃の動向 0 ( 1 ) 18 ( 16 ) 0 ( 1 )
金利の動向(市中金利) 7 ( 0 ) 11 ( 14 ) 0 ( 4 )
資材価格の動き 11 ( 3 ) 7 ( 14 ) 0 ( 1 )
建築の手間賃 8 ( 8 ) 10 ( 10 ) 0 ( 0 )

  上がる 安定化 下がる
地価の動向(住宅地) 10 ( 7 ) 7 ( 11 ) 1 ( 0 )

  増える 変わらず 減る
展示場来場者数 0 ( 2 ) 15 ( 12 ) 3 ( 3 )

  過剰 充足 不足
技能職人数(大工) 0 ( 0 ) 3 ( 5 ) 15 ( 13 )

( )内は、平成28年7月度調査時の数値である。

  • 指標の動向について
  • 1) 「所得の伸び」では、「上がる」が1→5社に増加した。
  • 2) 「家賃の動向」では、全社が「変わらず」と回答している。
  • 3) 「金利の動向」では、「上がる」が0→7社へと増加し、「下がる」は4→0社になった。
  • 4) 「資材価格の動き」では、「上がる」が3→11社に増加し「変わらず」は14→7社に半減した。
  • 5) 「建築の手間賃」では変化はなかった。
  • 6) 「地価の動向」では、「上がる」が7→10社に増加した。
  • 7) 「展示場来場数」は「増える」が0となった。
  • 8) 「技能職人数(大工)」では、前回調査同様、職人不足の状況が加速すると予測している。
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