平成29年4月度 『景況判断指数からみた傾向』
- 平成29年4月度 『景況判断指数からみた傾向』
- 総計
- -実績-
平成28年度第4四半期(平成29年1~3月)実績の景況判断指数は、対前年同期比で、 前1月度予測(総受注戸数 +19ポイント、総受注金額 +29ポイント)に対し、
総受注戸数は △21ポイント、総受注金額は △12ポイント となり、戸数においては、 4四半期連続のマイナスとなり、金額においても、平成28年度第1四半期以来のマイナスとなった。
(前10~12月度実績 総受注戸数 △15、総受注金額 +4)
コメントでは、
「顧客が住宅購入およびリフォームに踏み切る決め手に欠け、引き続き商談が長期化傾向にある。」
「市場環境や顧客の動向に大きな変化はないと認識している。検討水準の高いお客様は比較的多いが、商談中のお客様が決断に至るまでの時間は長期化する傾向が続いている。」
「各部門で商談の長期化が見受けられる。」
以上のとおり、商談の長期化にともなう受注の減少コメントが多く、戸数は4四半期連続で、 対前年比マイナスとなった。一方、金額に関しては、
「戸数は増えないが、受注金額は伸びた。」
「注文住宅における個人消費の回復は弱めの動きだが、賃貸住宅が牽引し、全体としては戸数・金額ともに前年比プラスとなった。」
など、金額に関しては、「5%良い」が回答13社の内、最大数の5社であった。 - -見通し-
平成29年度第1四半期(平成29年4~6月)見通しの景況判断指数は、
総受注戸数は +11ポイント、総受注金額 +12ポイント となっている。
コメントでは、
「今年に入って、住宅展示場の来場者が戻りつつあり、今後の受注増につなげられるよう努力したい。また、住宅ストック循環支援事業など各種政策による需要喚起にも取り組む。」
「イベント・セミナー等の引き合いが受注につながる。低金利や政府の住宅支援策により、住宅取得に対する関心は底堅いものの、先行き不透明感は否めず、全体としては緩やかな上昇にとどまる。」
「当面、市場環境や顧客動向に大きな変化は無いとみている。」
「アメリカの政策等市場不確実、不安定なため、様子見ムードになると思われる。」
「数量の伸張は期待できず、金額ベースで前年並み。」
指数としてはプラスとなったが、戸数、金額共に「変わらず」と回答する会社が大半を占めて いる。他、GWのイベント等で受注を延ばすとの回答があった。
比較対象となっている昨年4~6月には、6月1日に消費税増税延期の発表があった。 - (戸建注文住宅)
- -実績-
平成28年度第4四半期(平成29年1~3月)実績の景況判断指数は、対前年同期比で、 前1月度予測(受注戸数 +13ポイント、受注金額 +20ポイント)に対し、
受注戸数 △19ポイント、受注金額 +3ポイント となり、戸数においては【総数】同様、4四半期連続のマイナスとなり、金額においては、前回調査と同数となりプラスを維持した。
(前10~12月度実績 受注戸数 △25、受注金額 +3)。
コメントでは、
「市場環境の変化は感じられず、引き続き商談の長期化傾向も続いている。」
「受注数は3月に少し山が出来たが、前年には至らず。金額面は上昇傾向にある。」
「戸数は減少だが、戸あたりの受注金額は伸びている。」
「全体的に低調だが、一次取得者層は比較的堅調にみられる。」
「高額商品の受注は堅調であり、戸数は前年を下回ったものの金額は前年並みとなった。」
「金額については、受注の商品構成比(併用住宅等)から5%程度プラスとなった。」
「地域性もあろうが、順調に推移している。」
戸数に関しては、4四半期連続でマイナスとなったが、金額に関しては、「5~10%良い」
が回答15社の内、8社であった。 - -見通し-
平成29年度第1四半期(平成29年4~6月)見通しの景況判断指数は、
受注戸数 +13ポイント、受注金額 +27ポイント となっている。
コメントでは、
「4月は前年並みの見込みで、5、6月にどれだけ上積みできるかがポイント。」
「歴史的低金利の住宅ローンなど、住宅購入のための好材料はそろっている。今年度のZEH補助金の減額が顧客の動きにどの程度影響するか注視していく。」
「依然として低金利にあるが、住宅ローン金利が日銀のマイナス金利政策以前の水準に戻っている点や、円高や株価の不安定な動きなど、景気の先行き不透明感が増していることから、今後、市場が冷え込む可能性も十分に考えられる。しばらく市場動向を慎重に見守る必要があると考える。」
「市況が不安定で様子見ムードになると思われる。」
「ローン金利が上昇傾向にあり、好材料が見当たらない。」
「消費税増税前の駆け込み受注や反動が怖い。」
戸数に関しては、回答16社の内、11社が「変わらず」と回答した。
他、コメントでは、毎年5月が展示場来場数のピークに当たることもあり、ここで受注回復を目指す声も多い。 - (戸建分譲住宅)
- -実績-
平成28年度第4四半期(平成29年1~3月)実績の景況判断指数は、対前年同期比で、 前1月度予測(受注戸数 +17ポイント、受注金額 +17ポイント)に対し、
受注戸数 △11ポイント、 受注金額も △6ポイント となり再度マイナスに転じた。
(前10~12月度実績 受注戸数+28、受注金額+11)
コメントでは、
「顧客の動きは悪くないが、決断までの時間がかかり、商談の長期化が続いている。」
「棟数は微減、金額もマイナス。」
「積極的な土地の仕入れを行うと共に、土地在庫の回転がよく、前年を上回る。」
今回の回答結果は「10%良い」から「10%悪い」まで、回答数が平均化しており、傾向が 見えにくかったが、戸建分譲住宅の着工数は、平成27年11月より16ケ月連続で増加(対 前年同月比)を継続している。 - -見通し-
平成29年度第1四半期(平成29年4~6月)見通しの景況判断指数は、
受注戸数 +11ポイント、受注金額 +11ポイント となっている。
コメントでは、
「仕入在庫の回転が引き続き順調に推移。」
「前期同様に商談の長期化が続くとみている。」 - (低層賃貸住宅)
- -実績-
平成28年度第4四半期(平成29年1~3月)実績の景況判断指数は、対前年同期比で、
前1月度予測(受注戸数 +4ポイント、受注金額 +4ポイント)に対し
受注戸数 △21ポイント、受注金額 △8ポイント と2四半期連続でマイナスとなった。
(前10~12月度実績 受注戸数 △21ポイント、受注金額は △17)。
コメントでは、
「新規顧客開拓に時間を要している。」
「相続税対策や低金利の影響の一服感があった。」
「棟数は微減、金額は微増。」
「相続税法改正前後の建設需要は一巡したものの、引き続き根強い需要がみられた。セミナー集客も引き続き好調を維持している。」
「好調なトレンドが続いている。特に都市部の3、4階建てが賃貸住宅全体の受注を牽引している。」
「広告、イベント集客効果などでプラスとなった。」
主に大手メーカーにおいては、コメントにもあるように、絶対数としての受注量、は引き続き 十分あったと回答する会社もあった。
一方、貸家の着工戸数は、平成23年度からほぼ毎年増加傾向にあるが、直近は4か月連続で減少(対前年同月比)している。 - -見通し-
平成29年度第1四半期(平成29年4~6月)見通しの景況判断指数は、
受注戸数 +17ポイント、受注金額 +17ポイント と、戸数に関しても高い成長を見込んでいる。
コメントでは、
「アパートバブル、空室リスクに警鐘を鳴らす動きが散見されるが、引き続き高い入居率を維持しており、経営者と入居者双方の高いニーズに応え、堅調に推移する。」
「空室率や家賃保証問題等で賃貸市場の逆風が吹いており、建築に慎重な動きも見られる。一方、税務対策から建築を検討する方も一定数いるため、当面は低位で堅調に推移する見通し。」
「周年イベント効果などでプラスを予想。」
「大都市圏の需要増を見込む。」
「状況はよいが、経済情勢の変化がリスク。」
「アパートローン急増に対し、金融機関が融資引き締めに動くとの報道があり、今後の報道の動きに注目していく。」
「顧客への接点を増やし、受注回復を見込む。」
回答12社の内、大手メーカーにおいては、戸数プラスを見込む会社が4社あった。今後は、 サブリースと家賃保証の信頼性、更には商品力等で受注量の差が広がる可能性もある。 - (リフォーム)
- -実績-
平成28年度第4四半期(平成29年1~3月)実績の景況判断指数は、対前年同期比で、
前1月度予測(受注金額 +43ポイント)に対し、
受注金額 △13ポイント となり、予測を大きく下回り、再度マイナスに転じた。
(前7~9月度実績 受注金額 +4)
コメントでは、
「増税延期による様子見が続くなどが影響し、マイナスとなった。」
「景気先行き不安や消費税増税延期の影響で、大型案件を中心に商談の長期化がみられた。」
「大型物件の受注が減少した。」
「政策に見合う期待感が無い。」
「長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助金活用の提案で契約件数が増大した。他、太陽光発電設備の受注も堅調。」
「高額物件を確実に受注できている。」
回答13社の内、約半分の6社が「5~10%以上悪い」と回答した。消費税増税後の反動減 から持ち直し以後、1年半程は安定したプラス成長が続いていたが、ここ3四半期は安定して いない。 - -見通し-
平成29年度第1四半期(平成29年4月~6月)見通しの景況判断指数は、
受注金額が +23ポイント と予測している。
コメントでは、
「長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助金等を活用した需要喚起が見込まれる。」他1社。
「昨年と同等の補助金等で、順調さを維持できる見通し。」
「大型リノベーションが受注を牽引。」
「大規模イベント開催で集客を見込む。」
「自社オーナー改装受注への注力効果でプラスを予想。」
「大型リフォームに期待できない様子。中小規模のリフォームの受注は一定件数を保つ。」
「補助金に対するPRがもっと必要と思われる。」 - 新設住宅着工戸数の予測
- 平成29年度の新設住宅着工戸数の予測については、回答した15社の予測平均値が、
総戸数92.3万戸(前1月度91.8万戸)という上方修正予測である。
利用関係別では、
持家が 28.3万戸(前1月度28.2万戸)
分譲住宅24.6万戸( 同24.2万戸)
賃貸住宅39.4万戸( 同39.3万戸)
※セグメント別の予測平均値は、総戸数と分譲住宅が若干増加し、持家と賃貸住宅は前回(平成29年1月度)予測とほぼ同数となっている。
- 平成29年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果
―回答数―15社―
【単位:万戸】
【単位:万戸】
総戸数 | 持 家 | 分譲住宅 | 賃貸住宅 | |
平成27年度実績 | 92 | 28.4 | 24.6 | 38.3 |
参考(平成28年暦年) | 96.7 | 29.2 | 25 | 41.8 |
平成29年度予測 | ||||
A社 | 92 | 28 | 25 | 38 |
B社 | 91 | 28 | 24 | 39 |
C社 | 94 | 29 | 25 | 40 |
D社 | 89.5 | 28.5 | 22 | 39 |
E社 | 89.1 | 26.6 | 23.4 | 39.1 |
F社 | 94.5 | 29.5 | 24.5 | 40.5 |
G社 | 92 | 28 | 24 | 39.5 |
H社 | 93 | 28 | 25 | 40 |
I社 | 91 | 28 | 25 | 38 |
J社 | 94.7 | 29.5 | 24.6 | 40 |
K社 | 93 | 28 | 25 | 40 |
L社 | 93 | 28 | 25 | 40 |
M社 | 90 | 28 | 24 | 38 |
N社 | 93.5 | 27.5 | 25.5 | 40 |
O社 | - | - | - | - |
P社 | - | - | - | - |
Q社 | 93 | 29 | 25 | 39 |
R社 | - | - | - | - |
平 均 | 92.26 | 28.26 | 24.57 | 39.35 |
- 住宅メーカーの経営指標について
- 向こう6ケ月間の住宅メーカーの経営指標となる下記の項目について、各社の経営者にアンケートを行った。その結果は次の通りである。
- 詳細グラフはこちら
増やす | 変わらず | 減らす | |
拠点展開 (展示場含む) |
3 (1) | 11 (15) | 2 (2) |
生産設備 (工場を含む) |
1 (1) | 15 (17) | 0 (0) |
新商品開発 | 8 (3) | 9 (14) | 0 (1) |
販売用土地 (分譲住宅用地含む) |
6 (8) | 8 (8) | 0 (0) |
新規採用人員 | 10 (6) | 7 (11) | 0 (1) |
広告宣伝費 | 4 (2) | 13 (15) | 0 (1) |
( )内は、平成28年10月度調査時の数値。
- 指標の動向について
- 1) 「拠点展開」は、「増やす」が前回の1社から3社に増加した。
- 2) 「生産設備」は、大きな変化はなかった。
- 3) 「新商品開発」は、「増やす」が、前回の3社から8社に大幅に増加した。
- 4) 「販売用土地」は、大きな変化はなかった。
- 5) 「新規採用人員」は、「増やす」が、6社から10社に増加し、「変わらず」が11社から7社に減少した。
- 6) 「広告宣伝費」は、「増やす」が前回の2社から4社へと増加した。