平成29年10月度 『景況判断指数からみた傾向』
- 平成29年10月度 『景況判断指数からみた傾向』
- 総計
- -実績-
平成29年度第2四半期(平成29年7~9月)実績の景況判断指数は、対前年同期比で、前7月度予測(総受注戸数 +4ポイント、総受注金額 +8ポイント)に対し、
総受注戸数は △32ポイント、総受注金額は △23ポイント となり、戸数においては、 6四半期連続のマイナスとなり、金額においても、3四半期連続のマイナスとなった。
(前4~6月度実績 総受注戸数 △38、総受注金額 △29)
コメントでは、
「前年を下回るが、高額商品は好調に推移し、1棟(戸)単価は上昇している。」
「日経平均の上昇に伴い、高額物件の受注が増えている。」
「エリアを絞った営業で堅調に受注できている。」 「展示場来場は比較的堅調だったが、顧客が住宅購入、リフォームに踏み切る決め手に欠け、商談の長期化が続いた。」
「市場環境は、第一四半期と大きな変化は無かった。お客様の様子見傾向が強く商談に時間がかかる傾向。」
「戸建注文住宅を中心としてマイナスとなった。」
など。
決めての欠如と商談の長期化が、今回の調査でも継続している。戸建注文と低層賃貸双方の落ち込みが、総数を低迷させているが、第2四半期においては、戸建分譲の回復により、ポイントは若干の回復を見せた。 - -見通し-
平成29年度第3四半期(平成29年10~12月)見通しの景況判断指数は、
総受注戸数は +11ポイント、総受注金額 +15ポイント となり、3四半期連続で下がり続けた予測ポイントが若干持ち直している。
コメントでは、
「堅調に受注できる見通し。」
「戸建、賃貸住宅、リフォームを含めプラスを予想。」
「個人消費の回復基調がみられ、住宅市場においても展示場来場者の増加など復調の兆しはあるものの、顧客の決断長期化傾向もあり全体としては緩やかな上昇に留まる。」
「市況改善は見込めない分、積極的な販売促進策によって訴求を続けていく。」
「市場において、大きなプラス要因、マイナス要因が無く、前年同期並みの水準となる見通し。」
「今しばらく様子見傾向が続くと見ている。」
「注文住宅全体の受注は10~15%低下する感がする。」
など - (戸建注文住宅)
- -実績-
平成29年度第2四半期(平成29年7~9月)実績の景況判断指数は、対前年同期比で、 前7月度予測(受注戸数 ±0ポイント、受注金額 +11ポイント)に対し、
受注戸数 △31ポイント、受注金額 △27ポイント となり、戸数においては【総数】同様、6四半期連続のマイナスとなり、金額においても、2四半期連続のマイナスとなった。
(前4~6月度実績 受注戸数 △38、受注金額 △18)
コメントでは、
「戸数はマイナスだが、受注金額は前年並みを維持。引き続き高額商品が受注を牽引。」
「一次取得者の受注が増加した。」
「堅調な受注が出来ている。」
「7,8月は前年比マイナスだったが、9月は前年が不調だった事もありプラスに転じた。」
「受注環境に変化は感じられず、商談の長期化傾向も続いている。」
「受注に波があり、ちょうど谷間に入った感があった。」
「顧客の検討長期化などによりマイナスとなった。」
「棟数、金額共にマイナス。」
など。
戸数の減少をカバーきた単価も2四半期連続で大きくマイナスとなり、ピークアウトした感がある。 - -見通し-
平成29年度第3四半期(平成29年10~12月)見通しの景況判断指数は、
受注戸数 +22ポイント、受注金額 +27ポイント と大きく改善している。
コメントでは、
「新商品営業政策効果でプラスを予想。」
「引き続き、一次取得者層が伸びる見込み。」
「9月実施の販促イベントからの受注増を見込む。」
「長期化するが、堅調に受注できる見通し。」
「市場が好転せず、厳しさが続くと見ているが、ZEHの普及促進や新商品の訴求などで巻き返しを図る。」
「依然より折衝中の物件が順次契約に向かっている。年末から来春にかけ多忙になりそう。」
「厳しい状況に変わりはないが、前年のハードルが低く、プラスで推移したい。」
「戸建注文住宅は昨年後期から悪くなっているので、前年比でみれば昨年並みの見通し。」
「顧客を後押しする材料に乏しい。」
など。
一年前は、増税延期発表後の商談の長期化によって受注減少傾向が始まった時期。第3四半期は、新商品、イベント、一次取得者層の伸びなどでV字回復を見込んでいる。 - (戸建分譲住宅)
- -実績-
平成29年度第2四半期(平成29年7~9月)実績の景況判断指数は、対前年同期比で、 前7月度予測(受注戸数 +6ポイント、受注金額 +6ポイント)に対し、 、
受注戸数 +6ポイント、受注金額は △6ポイント となった。
(前4~6月度実績 受注戸数 △6、受注金額 +6)
「前年に大型物件の受注があった為、前年比を下回ったものの、一次取得者からの需要が継続。」
「首都圏郊外で手がけた分譲住宅などが比較的堅調に推移した。」
「棟数はプラス、金額はマイナス。」
など。
コメントを寄せた会社は、業績が比較的好調であったところで、各社の球数の保有状況に
より回答にバラつきの出るセグメント。国交省の「建築着工統計報告」では、全国的には、平成27年11月から対前年同月比でマイナスとなった月は2回しかなく、総じて安定している。 - -見通し-
平成29年度第3四半期(平成29年10~12月)見通しの景況判断指数は、
受注戸数 +11ポイント、受注金額 +11ポイント となり、3四半期連続で下がり続けた予測ポイントが若干持ち直している。
コメントでは、
「一時取得者層からの受注が順調に推移。」
「商談の長期化傾向は変わっておらず、先行きは不透明だが、仕掛かり中の分譲でプラス確保。」
「10~12月の短期間では、市場に影響を与える要因が少ない事から、変化はあまり無いと考えている。」
など。
第3四半期も微増ながら、プラスの予測となっている。 - (低層賃貸住宅)
- -実績-
平成29年度第2四半期(平成29年7~9月)実績の景況判断指数は、対前年同期比で、 前7月度予測(受注戸数 △13ポイント、受注金額 △5ポイント)に対し
受注戸数 △58ポイント、 受注金額 △25ポイント とどちらも4四半期連続でマイナスとなった。
(前4~6月度実績 受注戸数 △50ポイント、受注金額は △41)。
コメントでは、
「相続税対策や低金利で堅調に推移するが、前年のハードルは超えられず。」
「受注金額の大きい共同建ての受注が伸びており、棟数減をカバーしている。」
「戸数は横ばい、金額はプラス。」
「付加価値型賃貸住宅の受注増でプラスとなった。」 「東京、横浜エリア以外の受注が伸びなかった。」
「昨年は低額案件(平屋賃貸)を多く受注できた経緯があり、今年は前年比ダウン。」
「新規顧客開拓に継続注力中。」
など。
各種節税対策として好調を続けてきた低層賃貸だが、対前年同期比マイナスが4四半期(1年)続き、各社に販売手法の変化が求められている。 - -見通し-
平成29年度第3四半期(平成29年10~12月)見通しの景況判断指数は、
受注戸数 △13ポイント、受注金額 △13ポイント と前期以上のマイナスを予測する結果となっている。
コメントでは、
「重点エリアである都市部の堅調な建築需要は継続する見込み。」
「引き続き付加価値型を中心にプラスを予想。」
「都市部では好調を維持できる環境にある。」
「前年比で回復見込み。」 「市況に大きな変化はないとみている。」
「賃貸経営リスクのニュースや新聞記事の影響により、伸び悩むと予想。」
など。
単なる高級賃貸ではなく、エリアを見定め、付加価値を持たせた賃貸住宅の販売に活路を見出す大手メーカーが多い。 - (リフォーム)
- -実績-
平成29年度第2四半期(平成29年7~9月)実績の景況判断指数は、対前年同期比で、
前7月度予測(受注金額 +25ポイント)に対し、 、
受注金額 +40ポイント となり、予測を大きく上回る結果となった。
(前1~3月度実績 受注金額 +14)
コメントでは、
「全国5か所の住まいづくりに関する体験型施設「住まいの夢工場」にリノベーションの体験ゾーンを開設。前年を上回る。」
「長期優良住宅化リフォーム推進事業の利用者は底堅い。首都圏を中心に、大型リフォーム(住宅・マンション)の引き合いが旺盛。」
「大型リフォーム(2.000~2.500万)の複数受注で、金額的には伸びた。」
「エリアを絞り、高額物件を受注。」
「改装系受注増を受け、プラスとなった。」
「中、大型の受注が伸びなかったが、GWイベントで好調だった集客からの受注が徐々に出始めた。」
「単価は上昇傾向、棟数は下降傾向にある。」
など。
「受注金額が下がった」との回答は今回ゼロ。各社が、リフォーム事業の改革を試み、成果が出始めたと言える。
- -見通し-
平成29年度第3四半期(平成29年10月~12月)見通しの景況判断指数は、
受注金額 +23ポイントと、前回(+25)同様に高い成長を予測している。
コメントでは、
「大規模リフォーム(リノベーション)の提案により受注を見込む。」
「長期優良住宅化リフォーム推進事業の利用者は、10‐12月期も堅調と予想。また、首都圏では、ゼネコンが大型物件に技術者を配置する関係で、中規模以下の工事については、リフォーム会社の受注機会が多くなると考えられる。」
「改装系を中心に、引き続きプラスを予想。」
「集客が若干ではあるが、上向いている。」
「市況に大きな変化はないとみている。」
「市場において、大きなプラス要因、マイナス要因が無く、前年同期並みの水準となる見通し。」
「営繕工事はともかく、リフォーム工事は冬を迎えると予想。春待ちの感がする。」
など。 - 新設住宅着工戸数の予測
- 平成29年度の新設住宅着工戸数の予測については、回答した15社の予測平均値が、
総戸数93.95万戸(7月度92.7万戸、4月度92.3万戸、1月度91.8万戸)という上方修正予測である。
利用関係別では、
持家が 28.40万戸(前7月度28.30万戸)
分譲住宅24.51万戸( 同24.20万戸)
賃貸住宅40.49万戸( 同39.60万戸)
総数のほか、賃貸住宅も1月、4.月、10月と上方修正している。
- 平成29年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果
―回答数―16社―
【単位:万戸】
【単位:万戸】
総戸数 | 持 家 | 分譲住宅 | 賃貸住宅 | |
平成27年度実績 | 92.1 | 28.4 | 24.7 | 38.4 |
参考(平成28年暦年) | 97.4 | 29.2 | 24.9 | 42.7 |
平成29年度予測 | ||||
A社 | 94 | 28 | 26 | 39 |
B社 | 91 | 27.5 | 24 | 39 |
C社 | 93 | 29 | 24.4 | 39 |
D社 | 91.5 | 28.5 | 24 | 39 |
E社 | 95.7 | 28.6 | 25.3 | 41.8 |
F社 | 96 | 28.8 | 24.9 | 41.7 |
G社 | 92 | 28 | 24 | 39.5 |
H社 | 93 | 28 | 24.5 | 40 |
I社 | 91 | 28 | 25 | 38 |
J社 | 96.1 | 29.4 | 24.7 | 41.4 |
K社 | 93.5 | 27 | 23 | 43 |
L社 | 97 | 29 | 24 | 43 |
M社 | 93.6 | 28 | 25 | 40 |
N社 | 95 | 28.6 | 24 | 41.8 |
O社 | 97.4 | 29.2 | 24.9 | 42.7 |
P社 | - | - | - | - |
Q社 | - | - | - | 39 |
R社 | - | - | - | - |
平 均 | 93.95 | 28.40 | 24.51 | 40.49 |
- 住宅メーカーの経営指標について
- 向こう6ケ月間の住宅メーカーの経営指標となる下記の項目について、各社の経営者にアンケートを行った。その結果は次の通りである。
- 詳細グラフはこちら
増やす | 変わらず | 減らす | |
拠点展開 (展示場含む) |
1 (3) | 14 (11) | 1 (2) |
生産設備 (工場を含む) |
0 (1) | 15 (17) | 1 (0) |
新商品開発 | 3 (8) | 13 (9) | 1 (0) |
販売用土地 (分譲住宅用地含む) |
5(6) | 9 (8) | 0 (0) |
新規採用人員 | 7 (10) | 8 (7) | 2 (0) |
広告宣伝費 | 2 (4) | 15(13) | 0 (1) |
( )内は、平成29年4月度調査時の数値。
- 指標の動向について
- 1) 「拠点展開」は、「増やす」が前回の11社から14社に増加した。
- 2) 「生産設備」は、1社ではあるが「減らす」と回答があった。
- 3) 「新商品開発」は、「増やす」が、前回の8社から3社に減少した。
- 4) 「販売用土地」は、大きな変化はなかった。
- 5) 「新規採用人員」は、「減らす」が前回の0社から2社に増加した。
- 6) 「広告宣伝費」は、「増やす」が2社減少した。