住宅業況調査報告

『令和2年度 第2回 住宅業況調査報告』

B 「低層賃貸住宅」

1. 対前四半期比 総受注戸数・金額の指数動向

【1】実績
 令和2年4~6月の受注実績指数は、令和2年1~3月(以下、前四半期)比で、前四半期の実績は、受注戸数 △10、受注金額 +13だったが、今回新型コロナ感染症の影響により、全国平均では
受注戸数 △45ポイント、受注金額は △10ポイントとなり、受注戸数ベース、受注金額ベース共に大きなマイナスとなった。受注戸数ベースでは消費増税以降5四半期連続でマイナスとなった。1年前の消費税8%→10%の際は棟数△39ポイントであり、また平成20年のリーマンショックの時は棟数△37ポイントであったので戸建て同様に非常に厳しい状況と言える。
  エリア別の受注戸数指数は、全体的に厳しい中、特に都市圏の近畿△81関東△47中部△42が顕著で、東北が△14で比較的ダメージが少ない。
 エリア別の受注金額は、すべてのエリアにおいて『下がった』の回答割合が『上がった』割合以上になっている。ただしエリアの中では東北45%、九州の24%が『上がった』との回答割合が多かった。

【2】見通し
 令和2年7~9月の受注見通し指数は、令和2年4~6月の実績に対し、全国平均では
受注戸数 +15ポイント、受注金額 +7ポイントと、戸建同様、新型コロナ感染症の影響で厳しいながらも緊急事態宣言の解除に伴う経済再開を考慮して見通している。
 エリア別の戸数見通し指数では、近畿+31関東+23九州+21と高く、逆に東北は△5で慎重な見通しとしている

2. 一戸当り床面積(実績)の指数動向

【1】実績
 令和2年4~6月の1戸あたりの床面積指数は前四半期の実績は+5ポイントだったが、今回全国平均で±0ポイントとほぼ変化なし。ただし見通しは△10であったのに対し±0ポイントであったので見通しよりは上がったことになる。
 エリア別の回答割合では、全国的に『変わらない』回答が大勢の中、中部の回答が『狭くなった』が27%となることが目立っている。  

【2】見通し(予測)
 令和2年7~9月の見通し指数は、全国平均で+3ポイントとしている。
 令和2年4~6月見通しレベルで△10ポイントであったが反転し見通しレベルでプラスの指数値である。

総受注金額指数と1戸当り受注床面積指数
3. 低層賃貸住宅経営者の供給意欲

 令和2年4~6月における、住宅供給側から見た顧客の賃貸住宅建築意欲度である。
  全国平均の回答割合では、『強い・かなり強い』の回答割合は7%→8%、『弱い・やや弱い』は64%→60%と若干改善したものの基本的には前回同様、建築意欲度は弱い状況が継続しており市況の厳しさが反映されており、新型コロナ感染症の影響も大きいと見られる。
  エリア別の回答割合では、全国エリア満遍なく建築意欲度が『強い』が後退し『弱い・やや弱い』へシフトしている。

低層賃貸住宅経営者の供給意欲について
4.顧客動向、市場動向について

(1)見学会、イベント等への来場者数

 令和2年4~6月の実績は、前四半期と比べ、新型コロナ感染症の影響により全国平均では『減少』は74%→81%となり、来場者数は前四半期に続き減少した。
  エリア別では、『減少』の回答割合が、全エリアで70%~90%となり、残りは『変わらず』が10~20%程度、『増加』に至っては近畿、中国・四国、九州が前回調査に続き0%であった。

見学会、イベント等への来場者数

(2)引き合い件数

 令和2年4~6月の実績は、前四半期と比べ、全国平均では『減少』は62%→72%となり、来場者数同様、引き合い件数も減少傾向となった。
  エリア別では、関東が『増加』が9%『横ばい』が30%で相対的に『減少』の割合が他のエリアに比較すると低いエリアとなっている。

全体の引き合い件数

(3)低層賃貸住宅市場の空室率

 令和2年4~6月の実績は、前四半期と比べ、全国平均では『増加』の回答割合が2%→7%、『減少』は27%→20%と、空室率は前四半期に比し若干増加傾向になっている。
  エリア別では東北、関東、中国・四国が20%以上減少している一方、九州が前回14%→24%に増加していることが目立つ。

賃貸住宅市場の空室率

(4)金融機関の融資姿勢(積極性)

 令和2年4~6月の実績は、前四半期と比べ、全国平均では『増加』の回答割合が1%→1%、『減少』は60%→62%と、ほぼ前回同様の結果状況であり、厳しい融資姿勢に変化は見られない。
  エリア別の回答割合では、すべてのエリアにおいて、融資積極性は関東の一部を除き、殆どが『減少』『横ばい』の割合にて占められている。

金融期間の融資姿勢(積極性)

以上
令和2年9月1日

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