その他の調査報告

「低層住宅解体作業時のアスベスト(石綿)気中濃度測定結果」について

社団法人 住宅生産団体連合会 (会長:和田 勇 積水ハウス株式会社代表取締役社長)の石綿対策特別委員会では、平成17年10月より低層住宅解体作業時のアスベスト気中濃度測定を実施してまいりましたが、測定データならびに測定データについての評価を公表いたします。

1.目的

  • 平成16年以前に建築された低層住宅においては、屋根、外壁、天井等の部材にアスベスト含有建材 (成形板等) が使用されている場合が多く、今後、住宅の解体・改修に当り、これらを適切に取扱うことが必要とされている。
    住団連では、アスベスト含有建材 (成形板等)が使用されている住宅の解体等の作業を適切に行うよう、「石綿障害予防規則」の周知を図るとともに、「低層住宅石綿取扱ガイド」を発行し、より具体的な取扱いを示してきたところである。「石綿障害予防規則」等ならびに「低層住宅石綿取扱ガイド」に示されている適切な作業手順・方法による効果の確認をする為、解体の際のアスベスト気中濃度測定を実施した。

2.測定の実施概要

  • アスベスト含有建材 (成形板等) を、「低層住宅石綿取扱ガイド」に示している適切な作業手順・方法で解体した場合に、気中にどの程度飛散するのかを測定したものである。
    測定は、室内、屋外において、アスベスト含有建材 (成形板等) を解体した場合の、作業場所および隣地境界に相当する場所において、解体前、解体中、解体後に行った。
    測定結果の分析は計数法 (位相差顕微鏡による分析) で行い、アスベストが測定された測定点では位相差分散染色法 (位相差顕微鏡+分散染色法による分析) での分析も併せて行った。また、アスベスト含有建材については、解体工事時に試料を採取し、石綿含有率の測定も行った。

3.実施体制

  • 本調査は、住団連 (石綿対策特別委員会) が主体となり実施し取りまとめたものである。第1段階として解体現場にて気中濃度測定を行い、データを取得した。第2段階として測定データの客観的な判断をおこなう為に、東京大学新領域創成科学研究科 清家 剛 研究室に評価を委託した。清家研究室は評価委員会を設置して測定データについての評価を行なった。

4.評価結果等

  • 1) 測定結果については、解体作業中の隣地境界において、アスベストは0.3本/L未満 (定量下限値未満) であった。
    したがって、適切な作業手順・方法により解体作業を行う場合には、隣地に対する影響はないといえる。
  • 2) 作業場所においてアスベストが検出されているが、最も大きな値でも計数法による測定結果は4.63本/Lであった(位相差分散染色法による分析にての最高値は1.2本/Lであった。なお、計数法は、繊維形状が近似しているアスベスト以外の繊維との識別が難しく、位相差分散染色法はアスベスト繊維のみを特定可能)
    したがって、適切な作業手順・方法により解体作業を行う場合には、「石綿障害予防規則」等に定められるとおりの作業衣および防じんマスク (RS2またはRL2) の着用で十分安全であるといえる。
    測定現場より採取したアスベスト含有建材 (成形板等) の石綿含有率は、各建材メーカーが公表している含有率範囲内のものであった。
    本調査で測定を行った住宅については、解体前・後において、住宅の内外ともアスベストは検出されなかった。
    以上の結果に鑑み、[石綿障害予防規則]の周知ならびに「低層住宅石綿取扱ガイド」に示している適切な解体作業手順・方法のよりいっそうの普及啓発を図って行く。
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