平成21年1月度 『景況判断指数からみた傾向』

  • 平成21年1月度 『景況判断指数からみた傾向』
  • (戸建注文・分譲住宅と低層賃貸住宅の総計)
  • -実績-
    平成20年度第3四半期(平成20年10~12月)実績の景況判断指数は前年同期比で、総受注戸数マイナス75ポイント・総受注金額マイナス75ポイントと、ともに前期に比べ、さらにマイナス幅が大きく拡大する結果となった(前10月度総受注戸数マイナス14・総受注金額マイナス11)。
    総受注戸数・金額ともにすべての部門がマイナスで、四半期ごとにマイナス幅が拡大し、平成19年度第4四半期までの回復基調にブレーキがかかり、平成9年度の消費税の引き上げ時以来の大幅な落ち込みという結果になった。
    この実績に対するコメントは、「分譲不振なるも、受注全体に占める分譲比率が僅かであり、全体では昨年並みの見通し」との声もあるが、「10~12月全般的に対前年を下回った」、「景気の不透明感による消費者マインドの低下、住宅ローン減税拡充の決定を様子見状態」、「下期に入り、第一次取得者層の結論先送りが目立つ(特に地方部)」、「金融不安、雇用不安等による住宅の買い控え、投資控えにより全般的に低迷」、「10月からの市場環境悪化の波を受け、9月までの増加傾向が一転、減少傾向が続いた」、「第2四半期に引き続き、米国の景気悪化が日本国内の景気不安に繋がっており、住宅購入層の心理も冷え込んでいる。また、棟数の落ち込み以上に単価の下落が大きく、前年比大きくマイナスとなる」、「先行き不透明感が継続しており、お客様の反応もあまり良くない」、「市場の低迷に連動」、「景気後退の影響が大きい」といったマイナス基調の声が多く聞かれ、世界的な金融不安の実体経済への影響など、日本の景気の先行き不安が増大している。消費者マインドの低下により購買意欲が低下し、住宅市場の低迷に連動していることが推察される。
  • -見通し-
    平成20年度第4四半期(平成21年1~3月)見通しの景況判断指数は、総受注戸数マイナス25ポイント・金額マイナス29ポイントと、受注戸数・金額ともに、前期に引き続きマイナスの見通しとなった(前10月度総受注戸数マイナス18・総受注金額マイナス14)。
    この見通しについてのコメントは、「前年並みの受注を見込む」、「住宅ローン減税、補助金制度によりやや回復」、「ローン減税の拡充と合わせて、建替層の活性化につながる投資減税の効果に期待したい」、「住宅の内需拡大策によって上向く」との声もあるが、「下期後半も、当面現状の傾向が続くと考えられる」「現在の状況は大きく変わらないものと判断している」、「今後も引き続き景気状況の悪化による購入控えが懸念される。一方で、住宅ローン減税や当社新商品により、需要を喚起していく」、「前年実績は確保の見通しであるが、解約も含め不確定要素が多く読めない」、「今後についても、引き続き低迷が予想される」、「景況感の回復は望めず、苦戦が続こう」という声もあり、各社とも、大型のローン減税など、減税制度拡大の効果に期待を持ちつつも、市場の認識を踏まえて厳しい受注見通しを立てている。
  • (戸建注文住宅)
  • -実績-
    平成20年度第3四半期(平成20年10~12月)実績の景況判断指数は、前年同期比で受注戸数・受注金額ともにマイナス72ポイントと、大幅なマイナスポイントとなった(前10月度受注戸数マイナス3・受注金額マイナス13)。
    コメントでは、「11月中旬以降悪化するも、第3四半期累計では前年並み確保の見通し」、「2 000万円台の建物が多いが、数が増えている」との声もあるが、「市場が冷え込み苦戦」、「建替え層の動きが鈍化」、「前年同期比、前期比で受注戸数・金額ともに減少」、「10月より、減少傾向が大きい」、「総集客数(展示場以外も含め)対前年比80%水準で、受注も大幅悪化」、「市場の低迷に連動」、「10月より落ち込み度が進化する傾向。展示場集客は10%前後の減が続いている。実体経済悪化が企業の収益減少、雇用不安などで消費マインドを更に冷やし、状況見極め、先延ばしが増大」など、10月以降の現状の厳しさを感じさせるコメントが多く見られ、マイナス幅が拡大している。
  • -見通し-
    平成20年度第4四半期(平成21年1~3月)の見通しは、受注戸数・受注金額ともにマイナス25ポイントと、受注戸数・受注金額ともに前期に引き続きマイナスの見通しとなった(前10月度受注戸数・受注金額ともにマイナス3)。
    コメントでは、「新商品投入により、前年並みの受注を見込む」、「1月より販売拡大策を3月まで期間限定実施」、「引き続き営業提案力の強化を図り、建替需要の掘り起こしに注力したい」、「200年住宅を軸に3000万円台の建物を受注」、「ローン減税等や、補助金拡充施策にて期待できる」、「住宅ローン減税に対する前倒し販売促進策実施。 創客活動倍増強化キャンペーン等による顧客確保」といった新商品、キャンペーン等、受注の増大に向けた積極的な販売戦術と販売体制の強化などの前向きな姿勢も見えるが、「景気回復感が出てこないと厳しい」、「前年実績は確保の見通しであるが、解約も含め不確定要素が多く読めない」、「厳しい状況が続く」、「原油価格の下落も円高、株安で消費マインド後退が続いており、第4四半期も盛上りは厳しい」など、市場の先行き不安から、厳しい見通しを立てている。
  • (戸建分譲住宅)
  • -実績-
    平成20年度第3四半期(平成20年10~12月)実績の景況判断指数は、受注戸数マイナス81ポイント・受注金額マイナス77ポイントであった。今期に入っても、回復基調を継続して健闘していたが、受注戸数・金額とも大幅なマイナスに転落した(前10月度受注戸数プラス8・受注金額プラス4)。
    コメントでは、「前年同期比は棟数減少で、金額ほぼ横ばい、前期比は受注戸数・金額共に減少」、「市場が冷え込み苦戦」、「住宅ローン減税、地価の動向など様子見状態」、「集客数が対前年50%水準、大苦戦」、「新たな土地仕入れ抑制のため、前年対比大幅減」と、企業によって取り組みにばらつきはあるが、全体として非常に厳しい環境で、平成19年度第2四半期からの回復基調から、大幅なマイナスに転落した。
  • -見通し-
    平成20年度第4四半期の見通しは、受注戸数マイナス42・受注金額マイナス46と、回復が期待できないとの見通しである(前10月度受注戸数・金額ともにマイナス21)。
    コメントでは、「販売体制の強化により、前年並みの販売を見込む」、「住宅ローン減税効果などで、やや回復」、「ローン減税等や、補助金拡充施策にて期待できる」、「2、3月に全国一斉のキャンペーンを実施予定」という積極的な声もあるが、「少なくとも3月までは受注数は大きく回復しないのではないか」、「新たな土地仕入れ抑制のため、前年対比大幅減」と、市場の先行き不安を懸念している企業が多く、全体としても、良くて現状維持の弱気な見通しである。
  • (低層賃貸住宅)
  • -実績-
    平成20年度第3四半期(平成20年10~12月)実績の景況判断指数は、受注戸数マイナス68ポイント・受注金額マイナス59ポイントと戸数・金額共に3期続けて二桁のマイナスポイントとなった(前10月度受注戸数マイナス32・受注金額マイナス23)。
    この実績に対するコメントは、「戸建住宅に比べ比較的堅調」との声もあるが、「10,11月は前年受注金額を上回ったが、12月受注が落ち込んだ」、「前年比で微減」、「受注棟数の減少傾向が続いた」、「市場の低迷に連動」など、マイナス基調の鮮明な企業が多くなり、全体としてもマイナス幅が拡大した。
  • -見通し-
    平成20年度第4四半期の見通しの景況判断指数は受注戸数・金額ともにマイナス23ポイントと、前期に引き続きマイナスの見通しとなった(前10月度受注戸数プラス5・金額プラス9)。
    コメントでは、「戦略の落とし込みにより、前年並みの受注を見込む」、「戸建住宅に比べ、比較的堅調」、「1,2月に賃貸住宅経営セミナーを開催。3月に全国一斉キャンペーンを実施し新規顧客の獲得と受注拡大を図る」、「引き続き営業提案力の強化を図り、前年比増を目指す」、「引き続き営業提案力の強化を図り、増加傾向を維持する」、「変わらず」と、各社とも受注拡大にむけた意欲・期待感を表してはいるものの、全体的には、良くて現状維持との弱気な見通しが多くなっている。
  • 新設住宅着工戸数の予測アンケート結果
  • 平成20年度の新設住宅着工戸数の予測については、回答15社の予測平均値が、総戸数105.3万戸(前10月度106.4万戸)と、四半期ごとに減少傾向である。
    利用関係別では、持家が31.1万戸(前10月度32.3万戸)、分譲住宅27.5万戸(同28.1万戸)、賃貸住宅44.8万戸(同44.9万戸)と全部門減少である。
    平成21年度新設住宅着工戸数の見通しは総戸数101.8万戸で、持家31.1万戸、分譲住宅27.4万戸、賃貸住宅43.9万戸と、さらに厳しい見通しとなっている。
  • 平成20年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果
―回答数―15社―
【単位:万戸】
  総戸数 持 家 分譲住宅 賃貸住宅
平成18年度実績 129 36 38 54
平成19年度実績 103 31 28 43
平成22年度予測
A社 109 33 28 47
B社 107 31 30 45
C社 109 31 30 47
D社 102.5 31.5 21 49
E社 105 31 29 44
F社 110 30 30 50
G社 100 30 28 40
H社 105 31 28 45
I社 106 30 28 47
J社 105 30 26 48
K社 100 31 26 42
L社 102 31 27 43
M社 100 30 27 42
N社 100 30 27 42
O社 102 30 29 42
P社 --- --- --- ---
平 均 105.3 31.1 27.5 44.8

  • 平成21年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果
―回答数―15社―
【単位:万戸】
  総戸数 持 家 分譲住宅 賃貸住宅
平成18年度実績 129 36 38 54
平成19年度実績 103 31 28 43
平成20年度予測 105 31 28 45
平成21年度予測
A社 110 34 28 47
B社 110 31 31 47
C社 90 26 24 39
D社 98 31 19 47
E社 104 30 29 44
F社 110 30 30 50
G社 100 30 28 40
H社 100 30 24 45
I社 107 33 26 47
J社 110 32 27 50
K社 107 33 28 45
L社 100 30 26 43
M社 110 40 35 34
N社 100 30 27 42
O社 100 30 28 41
P社 --- --- --- ---
平 均 101.8 31.1 27.4 43.9

  • 住宅市場について
  • 向こう6カ月の住宅市場に関する指標について、各社の経営者にアンケートを行なった。
    その結果は次のとおりである。
  上がる 変わらず 下がる
所得の伸び 0 (1 ) 2 ( 13 ) 14 ( 2 )
家賃の動向 0 ( 0 ) 5 ( 14 ) 11 ( 1 )
金利の動向(市中金利) 0 ( 11 ) 10 ( 5 ) 6 ( 0 )
資材価格の動き 0 ( 16 ) 2 ( 0 ) 14 ( 0 )
建築の手間賃 0 ( 1 ) 13 ( 14 ) 3 ( 1 )

  上がる 安定化 下がる
地価の動向(住宅地) 0 ( 0 ) 2 ( 7 ) 14 ( 9 )

  増える 変わらず 減る
展示場来場者数 1 ( 0 ) 4 ( 6 ) 12 ( 11 )

  過剰 充足 不足
技能職人数(大工) 4 ( 1 ) 11 ( 13 ) 1 ( 2 )

( )内は、平成20年7月度調査時の数値である。
  • 指標の動向について
  • 1)「所得の伸び」では、「下がる」が14社に増え、2社が「変わらず」との判断で、下落傾向が表れている。
  • 2)「家賃の動向」は、「下がる」が11社、「変わらず」が5社と回答、家賃は下落傾向が鮮明になってきた。
  • 3)「金利の動向」では、「下がる」が6社、10社が「変わらず」と急増し、金利については、現状維持から下げ含みとの見方である。
  • 4)「資材価格の動き」では、14社が「下がる」、2社が「変わらず」と回答し、前回から一転して、資材価格の下落傾向を予測している。
  • 5)「建築の手間賃」は、「変わらず」が13社と大勢を占め、「下がる」との判断も3社あるが、ほぼ横ばい傾向が表れている。
  • 6)「地価の動向」では、「下がる」の回答が14社と前回調査から更に増加、「安定化」は2社と減少し、下落傾向が顕著に表れてきた。
  • 7)「展示場来場者数」は、「変わらず」が4社と微減、「減る」が12社に微増と、全国的には、減少傾向が表れている。
  • 8)「技能者人数(大工)」では、4社が「過剰」と判断、多くの企業は「充足」(11社)であり、「不足」の回答は1社と減少した。
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