平成21年4月度 『景況判断指数からみた傾向』

  • 平成21年4月度 『景況判断指数からみた傾向』
  • (戸建注文・分譲住宅と低層賃貸住宅の総計)
  • -実績-
    平成20年度第4四半期(平成21年1~3月)実績の景況判断指数は前年同期比で、総受注戸数マイナス79ポイント・総受注金額マイナス82ポイントと、ともに前期に比べ、さらにマイナス幅が大きく拡大する結果となった(前1月度総受注戸数・総受注金額ともにマイナス75)。
    総受注戸数・金額ともにすべての部門がマイナスで、四半期ごとにマイナス幅が拡大し、平成19年度第4四半期までの回復基調にブレーキがかかり、平成9年度の消費税の引き上げ時以来の大幅な落ち込みという結果になった。
    この実績に対するコメントは、「住宅ローン減税等により、顧客マインド回復傾向。」、との声もあるが、「景気後退の影響あり、全体的に苦戦。」、「受注の先行指標となる展示場、イベントの集客は対前年比並だが、雇用不安などから顧客の様子見状態が続いている。賃貸住宅の受注減は、融資環境の厳格化も影響している。」、「市場環境に未だ明確な改善の兆しは見られない。」、「この四半期も厳しい状況が続いた。建替え需要の減少が大きく響いている。」、「トータル的には非常に厳しい数値となっている。」、「情報数自体の落ち込みは少ないものの、契約までに時間がかかる。」、「「前年度比はダウンだが、月別推移は安定してきている。」といったマイナス基調の声が多く聞かれ、平成21年度税制改正大綱の大型減税効果が期待されていたが、予算成立まで時間がかかり、企業業績の急激な悪化による雇用不安、購買意欲の低下が住宅市場の更なる低迷に連動していることが推察される。
  • -見通し-
    平成22年度第1四半期(平成22年4~6月)見通しの景況判断指数は、総受注戸数・総受注金額ともにプラス35ポイントと、受注戸数・金額ともに、前期に続き大幅なプラスの見通しとなった(前1月度総受注戸数プラス54・金額プラス50)。
    この見通しについてのコメントは、「住宅版エコポイントが全部門に大きく影響、環境商品戦略に市場ニーズが合致。」、「エコポイントなど政策効果が見え始め改善してくる。」、「上期第1四半期もほぼ同様の傾向が続くものと考えている。」、「昨年9月より継続している増加傾向を維持していきたい。」、「リフォーム事業を伸ばしたい。」、「新商品の拡販効果に期待。」と、税制・金融を含めた経済対策に期待し、積極的に販売拡大を目指す声が多く聞かれ、戸建分譲住宅部門以外はプラス継続の見通しのため、全体的にプラスの受注見通しである。
  • (戸建注文住宅)
  • -実績-
    平成20年度第4四半期(平成21年1~3月)実績の景況判断指数は、前年同期比で受注戸数マイナス63ポイント・受注金額マイナス59ポイントと、2期続けて大幅なマイナスポイントとなった(前1月度受注戸数・受注金額ともにマイナス72)。
    コメントでは、「年明けより、展示場来場増加傾向。低価格商品販売好調。」、「状況が悪く言われている中で堅調に確保できている。」との声もあるが、「景気後退の影響あり、全体的に苦戦。」、「前期比、前年比共に、受注棟数増加・金額減少。」「建替え層の受注減少が続いているため、昨年9月からの減少傾向が続いている。」、「08年下半期からの金融危機により、棟数(戸数)、単価、金額ともに低下している。」、「情報数自体の落ち込みは少ないものの、契約までに時間がかかる。」、「第3四半期の流れが改善するどころか金融不安、株安等、資産の目減りが続いており、消費マインドは後退している。」、「例年期末2~3月は受注の盛り上がりが見られ、第3四半期の遅れの挽回を期待したがまったく無かった。」、「受注金額は増加するも、粗利が減少。」など、昨年10月以降、厳しさを感じさせるコメントが多く見られ、大幅なマイナスが継続している。
  • -見通し-
    平成21年度第1四半期(平成21年4~6月)の見通しは、受注戸数マイナス25ポイント・受注金額マイナス16ポイントと、受注戸数・受注金額ともに前期に引き続きマイナスの見通しとなった(前1月度受注戸数・受注金額ともにマイナス25)。
    コメントでは、「環境系商品投入により、前年並みの受注を見込む。」、「4月に販売拡大策を実施。」、「営業力を高め、建替需要の掘り起こしに全力を注ぎ対前年並みを維持したい。」、「年明けより、展示場来場増加傾向。低価格商品販売好調。」、「4月発売の新商品に期待。」、「政府の経済対策、特に住宅対策による効果を期待。」、「ゴールデンウイークに向けて、新商品の発売を企画し、集客と受注促進を実施。」、「紹介活動キャンペーンによる顧客確保対策。」といった新商品、キャンペーン等、受注の増大に向けた積極的な販売戦術と販売体制の強化などの前向きな姿勢も見えるが、「自営業の方、土地持ちの方を中心にローンがつきにくくなっている。」など、金融機関の貸し渋り不安などのコメントもあり、全体としてプラス回復は厳しいとの見通しを立てている。
  • (戸建分譲住宅)
  • -実績-
    平成20年度第4四半期(平成21年1~3月)実績の景況判断指数は、受注戸数マイナス73ポイント・受注金額マイナス62ポイントであった。今期に入っても、回復基調を継続して健闘していたが、受注戸数・金額とも大幅なマイナスに転落した(前1月度受注戸数マイナス81・受注金額マイナス77)。
    コメントでは、「保有不動産の販売価格改定により、前年比増の受注金額となった。」、「価格調整物件は動き出す。」と、年度末に向けた価格調整による動きもあるが、「前期比、前年比共に、受注棟数・金額減少。」、「縮小方針。」、「デベロッパーの事業意欲減少(売れ行き不振)。」と、全体として非常に厳しい環境で、平成19年度第2四半期からの回復基調から反転し、2期続けて大幅なマイナスに転落した。
  • -見通し-
    平成21年度第1四半期の見通しは、受注戸数・受注金額ともにマイナス42と、回復が期待できないとの見通しである(前1月度受注戸数マイナス42・金額マイナス46)。
    コメントでは、「引き続き保有不動産の販売価格改定により前年比増を見込む。」、「6月に分譲住宅キャンペーンを実施予定。」、「価格調整物件は動き出す。」、という積極的な声もあるが、「縮小方針。」といった、販売用土地の取得も減少傾向が見られる企業が多く、全体としても、ほとんどの企業が厳しい見通しである。
  • (低層賃貸住宅)
  • -実績-
    平成20年度第4四半期(平成21年1~3月)実績の景況判断指数は、受注戸数・受注金額ともにマイナス45ポイントと戸数・金額共に4期続けて二桁のマイナスポイントとなった(前1月度受注戸数マイナス68・受注金額マイナス59)。
    この実績に対するコメントは、「月別ではバラツキあるが、3月に大きく伸ばしトータルの増加に持っていけた。」、「育成事業ということで資源投下していることもあり、前年実績は大きく改善した。」」との声もあるが、「景気後退の影響あり、全体的に苦戦。」、「戸数・金額共に、対前年比微減。」など、マイナス基調の鮮明な企業も多く、全体としても大幅マイナスが継続した。
  • -見通し-
    平成21年度第1四半期の見通しの景況判断指数は受注戸数・金額ともにマイナス20ポイントと、引き続きマイナスの見通しとなった(前1月度受注戸数・金額ともにマイナス23)。
    コメントでは、「環境系賃貸商品導入により、昨年並みの受注を見込む。」、「前年水準が高くないので、増加傾向は維持できると考える。」、「当社内部体制強化により、伸びを見込む。」と、受注拡大にむけた意欲・期待感を表してはいるものの、「現状維持。」といった声もあり、全体的には弱気な見通しが多くなっている。
  • 新設住宅着工戸数の予測アンケート結果
  • 平成21年度の新設住宅着工戸数の予測については、回答15社の予測平均値が、総戸数100.7万戸(前1月度101.8万戸)と、前回調査から更に減少している。
     利用関係別では、持家が30.5万戸(前1月度31.1万戸)、分譲住宅26.4万戸(同27.4万戸)、賃貸住宅42.5万戸(同43.9万戸)と全部門減少である。
  • 平成21年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果
―回答数―15社―
【単位:万戸】
  総戸数 持 家 分譲住宅 賃貸住宅
平成19年度実績 103.6 31.2 28.3 43.1
平成20年度実績
(H.20.4月~H21.2月実績)
97.3 28.9 25.7 41.7
平成21年度予測
A社 110 35 28 46
B社 100 31 26 42
C社 100 30.5 25 44
D社 96 31 21 43
E社 95 26 24 44
F社 105 30 29 45
G社 100 30 28 41
H社 100 30 26 43
I社 105 32 26 46
J社 100 32 25 42
K社 100 31 26 42
L社 90.5 27 25 38
M社 105 35 30 39
N社 100 31 28 40
O社 103 30 27 45
P社 --- --- --- ---
平 均 100.7 30.5 26.4 42.5

(*)平均値については、それぞれ最大値及び最小値を除いて算出した。


  • 住宅メーカーの経営指標について
  • 向こう6カ月間の住宅メーカーの経営指標となる下記の項目について、
    各社の経営者にアンケートを行なった。その結果は次の通りである。
  増やす 変わらず 減らす
拠点展開
(展示場含む)
0 ( 0 ) 8 ( 10 ) 8 ( 6 )
生産設備
(工場を含む)
0 ( 0 ) 15( 16 ) 1 ( 0 )
新商品開発 5 ( 6 ) 10 ( 10 ) 1 ( 0 )
販売用土地
(分譲住宅用地含む)
2 ( 4 ) 6 ( 6 ) 8 ( 6 )
新規採用人数
(18年度下半期採用数)
1 ( 0 ) 5 ( 12 ) 10 ( 4 )
広告宣伝費 1 ( 2 ) 4 ( 10 ) 11 ( 4 )

( )内は、平成20年10月度調査時の数値である。
  • 指標の動向について
  • 1)「拠点展開」は、「増やす」が0社になり、8社が「変わらず」、と回答し、前回調査に比べると「減らす」が8社と更に増え、経費削減を睨んだ販売体制の見直しが感じられる。
  • 2)「生産設備」は、15社が「変わらず」と回答し、設備投資については、現状維持の姿勢。
  • 3)「新商品開発」は、「増やす」が5社と微減、「変わらず」が10社と横ばい、新商品投入による受注拡大の姿勢がやや後退気味である。
  • 4)「販売用土地」は、下期に向けて「増やす」が2社と減り、「減らす」が8社と増え、分譲住宅供給の意欲は減少傾向である。
  • 5)「新規採用人員」は、16社のうち「増やす」は1社、「変わらず」が5社に減り、「減らす」が10社と大きく増えており、採用増員の傾向は、ブレーキがかかってきている。
  • 6)「広告宣伝費」については、「変わらず」が4社と減少し、「減らす」が11社と大きく増え、経費削減を睨んだ販売支援体制の傾向が見られる。
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