平成21年7月度 『景況判断指数からみた傾向』

  • 平成21年7月度 『景況判断指数からみた傾向』
  • (戸建注文・分譲住宅と低層賃貸住宅の総計)
  • -実績-
    平成21年度第1四半期(平成21年4~6月)実績の景況判断指数は前年同期比で、総受注戸数マイナス65ポイント・総受注金額マイナス73ポイントと、マイナス幅が減少する結果となった(前4月度総受注戸数マイナス79・総受注金額マイナス82)。
    総受注戸数・金額ともにすべての部門でマイナスが継続しているが、前期よりマイナス幅が減少しており、各政策の支援効果からか、若干底打ち感を感じさせる結果となった。
    この実績に対するコメントは、「住宅ローン減税等により、顧客マインド回復傾向」、「前下期は前年を大きく下回ったが、ローン減税等の政策効果もあり前年並みに持ち直す」、「この四半期は小幅な増減で推移。全体的にはプラスマイナスゼロ。建替え比率減少が響いている」、との声もあるが、「景気後退、雇用不安、消費の低迷などの影響により、全体的に苦戦」、「景気の不透明感などにより、様子見の顧客が多い」、「4月時点での想定より市場回復は遅れている」、「昨年秋以降の経済危機の影響継続」、「大幅な新設着工戸数の減少が続いており、当社もその影響大」といったマイナス基調の声が多く聞かれ、6割強の企業が二桁以上のマイナスという業績である。雇用不安、購買意欲の低下など、住宅市場への影響が継続していることが推察される。
  • -見通し-
    平成21年度第2四半期(平成21年7~9月)見通しの景況判断指数は、総受注戸数マイナス12ポイント・金額マイナス15ポイントと、受注戸数・金額ともに、前期に引き続きマイナスの見通しだが、マイナス幅は縮小する結果となった(前4月度総受注戸数・金額ともにマイナス29)。
    この見通しについてのコメントは、「景況感の下げ止まり、ローン減税、長期優良住宅等、政策効果に期待するが、不透明感拭えず」という声もあるが、「景気改善、経済政策の効果、環境系商品の拡販により前年並みの受注を見込む」、「各種政策がユーザーに浸透し、9月頃から上向いてくるものと予測」、「今しばらく厳しい市場環境が続くと思われる。太陽光補助金に対する反応は良く、ローン減税等、他の政策と併せ底上げを期待したい」「主力である戸建注文住宅の建替えを増加させ、対前年比増を実現したい。危機感を持って、営業力強化に引き続き取り組みたい」、「追加経済対策の効果に期待」、「新商品投入効果に期待、ネット住宅拡販に注力」、「政府の景気対策により住宅市場は底を打ち、上昇すると思われる」など、各社とも、大型のローン減税、融資制度拡大、補助などの効果に期待を持っておりマイナス幅が改善するとの受注見通しを立てている。
  • (戸建注文住宅)
  • -実績-
    平成21年度第1四半期(平成21年4~6月)実績の景況判断指数は、前年同期比で受注戸数マイナス47ポイント・受注金額マイナス53ポイントと、3期続けて大幅なマイナスポイントではあるが、マイナス幅は減少傾向が顕著となっている(前4月度受注戸数マイナス63・受注金額マイナス59)。
    コメントでは、「景気の先行き不透明感により、買い控え傾向が顕著なため苦戦」、「雇用、収入不安が払拭できず、消費者マインドが依然低下した状態」、「景気の先行き不安等から決断を先送りしているケースが多く、特に建替え層の動きが鈍い」、「昨年秋以降の経済危機の影響継続」、「昨秋以降、住宅市場の低迷が続いており前年比マイナス10%以上の実績」など、まだまだ、厳しさを感じさせるコメントもあるが、「低価格商品販売好調」、「時期変動少なくまんべんなく受注」、「4,5月は微増で推移したが6月に少し減少した。建替え比率が減少している」、「4,5月の受注が二桁近い減少から6月は前年を大幅に上回ったが累計では前年に届かず」、「受注の流れとして6月は明らかに底打ち傾向が見られ、価格的割安感があるものについては動きが顕著」、「政府の経済対策の効果が後半に現れる」、「前年同期比で棟数・金額ともに減少、前期比では棟数・金額ともに増加」との回復基調の声も多く見られ、底打ち感と、マイナス幅の改善傾向があらわれている。
  • -見通し-
    平成21年度第2四半期(平成21年7~9月)の見通しは、受注戸数マイナス・受注金額ともにマイナス3ポイントと、大幅にマイナス幅が減少する見通しとなった(前4月度受注戸数マイナス25・受注金額マイナス16)。
    コメントでは、「低価格帯に対しては動機付けできるが、厳しい状況は続く」としながらも、「各種政策を活用した環境系商品の積極投入、販売促進により、前年比増の受注を見込む」、「各種政策により底を打ち、9月頃から回復」、「7月より、キャンペーン、新商品など販売拡大策を実施」、「営業力を強化、新商品投入等で建替え需要の掘り起こしに注力したい」、「新商品投入効果に期待、ネット住宅拡販に注力」、「プラスの傾向が続く」、「住宅ローン減税や、贈与税軽減等、住宅取得推進策により販売増を見込む」、「減税及び補助金対象商品の販売を重点に受注促進を実施」、「夏場対策としてキャンペーンを企画し、9,10月対策実施」といった新商品、キャンペーンなど、受注の増大に向けた積極的な販売戦術の前向きな姿勢が見られ、全体としてプラス回復は厳しいが、ほぼ前年並みまで回復するとの見通しを立てている。
  • (戸建分譲住宅)
  • -実績-
    平成21年度第1四半期(平成21年4~6月)実績の景況判断指数は、受注戸数マイナス38ポイント・受注金額マイナス58ポイントであった。3期連続のマイナスだが、受注戸数はマイナス幅が半減した(前4月度受注戸数マイナス73・受注金額マイナス62)。
    コメントでは、「保有不動産の販売価格改定効果により復調傾向あるも、前年実績に及ばず」、「雇用、収入不安が払拭できず、消費者マインドが依然低下した状態。特に主力購買層が団塊ジュニア世代となるため、回復が遅れている」、「前期比、前年比共に、受注棟数・金額減少」、「在庫物件の販売に特化」、「戸建注文同様、市場の低迷に連動」と、全体としては厳しい環境が続いており、戸数と金額の関係では分譲価格のディスカウントによる販売が、受注金額のマイナス幅に影響をしていると推察される。
  • -見通し-
    平成21年度第2四半期(平成21年7~9月)の見通しは、受注戸数マイナス38・受注金額マイナス42と、回復が期待できないとの見通しである(前4月度受注戸数・受注金額ともにマイナス42)。
    コメントでは、「販売体制の強化により前年比増の受注を見込む」、「分譲住宅キャンペーンを実施予定」、という積極的な声もあるが、「在庫物件の販売に特化、不動産市況勘案し抑制方針」、「土地の仕入れを抑制していることもあり、対前年比減」、「土地価格の下落が続く中、市場回復には時間がかかると思われる」といった、販売用土地の取得も減少傾向が見られる企業が多く、全体としても、ほとんどの企業が厳しい見通しである。
  • (低層賃貸住宅)
  • -実績-
    平成21年度第1四半期(平成21年4~6月)実績の景況判断指数は、受注戸数マイナス35・受注金額マイナス40ポイントと戸数・金額共に5期続けて二桁のマイナスポイントだが、マイナス幅は減少した(前4月度受注戸数・受注金額ともにマイナス45)。
    この実績に対するコメントは、「4月は減少したが、5、6月に大きく増加し、今年1月からの増加傾向を維持」、「今期より人員を増強した効果が出ている」、「戸数はほぼ横ばい、金額は微減」、「昨年と変わらず」という声もあるが、「昨秋からの世界同時不況に伴う景気後退により引き続き苦戦」、「融資の厳格化などにより、様子見の顧客が多い」など、マイナス基調の鮮明な企業も多く、全体としてもマイナスが継続した。
  • -見通し-
    平成21年度第2四半期(平成21年7~9月)の見通しの景況判断指数は受注戸数・金額ともにマイナス30ポイントと、引き続きマイナスの見通しとなった(前1月度受注戸数・金額ともにマイナス20)。
    コメントでは、「グループ内関連企業とのより一層の連携により前年レベルの受注を目指す」、「増加傾向を維持できるよう努力」と、受注拡大にむけた意欲・期待感を表してはいるものの、「融資の厳格化などにより、回復は厳しい」、「現状維持」、「大きな変化は無いと思われる」といった声があり、全体的にはマイナス幅が減少するも厳しい見通しとなっている。
  • 新設住宅着工戸数の予測アンケート結果
  • 平成21年度の新設住宅着工戸数の予測については、回答15社の予測平均値が、総戸数97.2万戸(前4月度100.7万戸)と、前回調査から更に減少している。
    利用関係別では、持家が30.5万戸(前4月度30.5万戸)、分譲住宅24.6万戸(同26.4万戸)、賃貸住宅41.6万戸(同42.5万戸)と持家以外は減少である。
  • 平成21年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果
―回答数―15社―
【単位:万戸】
  総戸数 持 家 分譲住宅 賃貸住宅
平成19年度実績 103 31 28 43
平成20年度実績 104 31 27 44
平成23年度予測
A社 96 35 25 35
B社 84 28 18 40
C社 100 30.5 24.8 43.7
D社 91 30 19 41
E社 95 29 24 41
F社 105 30 29 45
G社 98 30 25 42
H社 95 28 27 39
I社 105 32 26 46
J社 90 28 21 40
K社 98 30 25 41
L社 --- --- --- ---
M社 107 33 28 44
N社 90 28 23 38
O社 103 30 27 45
P社 --- --- --- ---
平 均 97.2 30.5 24.6 41.6


  • 住宅市場について
  • 向こう6ヶ月の住宅市場に関する指標について、各社の経営者にアンケートを行なった。
    その結果は次のとおりである。
  上がる 変わらず 下がる
所得の伸び 0 ( 0 ) 4 ( 2 ) 11( 14 )
家賃の動向 0 ( 0 ) 6 ( 5 ) 9 ( 11 )
金利の動向(市中金利) 2 ( 0 ) 13 ( 10 ) 0 ( 6 )
資材価格の動き 2 ( 0 ) 8 ( 2 ) 5 ( 14 )
建築の手間賃 0 ( 0 ) 13 ( 13 ) 2 ( 3 )

  上がる 安定化 下がる
地価の動向(住宅地) 0 ( 0 ) 4 ( 2 ) 11( 14 )

  増える 変わらず 減る
展示場来場者数 1 ( 1 ) 6 ( 4 ) 8( 12 )

  過剰 充足 不足
技能職人数(大工) 2 ( 4 ) 13 ( 11 ) 0 ( 1 )

( )内は、平成22年1月度調査時の数値である。
  • 指標の動向について
  • 1)「所得の伸び」では、「下がる」が11社、4社が「変わらず」との判断で、下落傾向が継続している。
  • 2)「家賃の動向」は、「下がる」が9社、「変わらず」が6社と回答、家賃は下落傾向が継続している。
  • 3)「金利の動向」では、「上がる」が2社、「変わらず」が13社と増え、金利については、現状維持が強いが若干上げ含みとの見方である。
  • 4)「資材価格の動き」では、「上がる」が2社、「変わらず」が8社と増え、「下がる」は5社と減少し、資材価格は安定化している傾向が表れている。
  • 5)「建築の手間賃」は、「変わらず」が13社と大勢を占め、「下がる」との判断も2社あるが、ほぼ横ばい傾向が表れている。
  • 6)「地価の動向」では、「下がる」の回答が11社と若干減少、「安定化」は4社と増えたが、下落傾向が継続している。
  • 7)「展示場来場者数」は、「変わらず」が6社と微増、「減る」が8社に減少したが、全国的には、減少傾向が表れている。
  • 8)「技能者人数(大工)」では、2社が「過剰」と判断、多くの企業は「充足」(13社)であり、現状では充足しているとの判断である。
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