平成21年10月度 『景況判断指数からみた傾向』
- 平成21年10月度 『景況判断指数からみた傾向』
- (戸建注文・分譲住宅と低層賃貸住宅の総計)
- -実績-
平成21年度第2四半期(平成21年7~9月)実績の景況判断指数は前年同期比で、総受注戸数マイナス58ポイント・総受注金額マイナス54ポイントと、2期続けてマイナス幅が減少する結果となった(前7月度総受注戸数マイナス65・総受注金額マイナス73)。
総受注戸数・金額ともにすべての部門でマイナスが継続しているが、賃貸住宅以外は3期続けてマイナス幅が減少しており、各政策の支援効果による回復のきざしを感じさせる結果となった。
この実績に対するコメントは、「厳しい市場環境は続くも、経済対策によりマイナス幅は減少しており、市場の底打ち感あり」、「まだ市場環境が明確に回復基調にあると言い切れないが、改善の兆しは見られる」、「6,7,8月と続いた減少傾向を9月で止めることができて良かった。四半期、半期でもほぼ前年比プラスマイナス0を維持」、「首都圏の受注が堅調であったが、全体としては横ばい」との底打ちを感じさせる声もあるが、「景気先行不安から決断を先送りしているお客様が依然としておられる」、「戸数の回復は見られるが、価格の低下傾向継続」、「雇用・所得不安などにより、厳しい市場環境が続く」、「昨年秋以降の景気悪化の影響継続」、「景気低迷や、所得・雇用環境の悪化の影響があり、前年同期比マイナスとなった」といった厳しい声も多く聞かれ、4割弱の企業が二桁以上のマイナスという業績である。雇用不安、購買意欲の低下など、住宅市場への影響が継続していることが推察される。 - -見通し-
平成21年度第3四半期(平成21年10~12月)見通しの景況判断指数は、総受注戸数プラス19ポイント・金額プラス17ポイントと、受注戸数・金額ともに、7四半期ぶりにプラス回復の見通しとなった(前7月度総受注戸数マイナス12・金額マイナス15)。
この見通しについてのコメントは、「各種経済対策の効果、景気改善による消費意欲の回復に期待し、前年比10%増を目指す」、「やや改善に向かう」、「まだ市場環境が明確に回復基調となるとは言えないが、前年比は若干プラスになると考える」、「従来同様に営業力、提案力の強化を継続し、建替え需要掘り起こしに注力していく」、「新商品による拡販に期待」という期待の声と、「世界経済には回復の兆しが見えるものの、国内住宅市場はむしろ厳しさを増しており、強気に見通して前年並み。」、「7~9月期と同様と思われる」、「景気の先行き不透明感強い。2番底になると、受注低迷もある」などの不安の声もある。戸建分譲住宅以外の部門がプラス回復の見通しのため、全体的にはプラス回復するとの受注見通しである。 - (戸建注文住宅)
- -実績-
平成21年度第2四半期(平成21年7~9月)実績の景況判断指数は、前年同期比で受注戸数マイナス33ポイント・受注金額マイナス32ポイントと、4期続けて大幅なマイナスポイントではあるが、マイナス幅は減少傾向が顕著となっている(前7月度受注戸数マイナス47・受注金額マイナス53)。
コメントでは、「各種政策や補助金制度により、太陽光発電システムを中心とした環境配慮型 住宅の受注が堅調。」、「9月はやや回復の兆しが見えた」、「前年同期比で棟数は微増、金額 は減少。前期比では棟数は微減、金額は増加」、「7,8月は微減で推移したが、9月に少し戻せた。建替え比率が依然減少している」、「減税等の政策効果や、長期優良住宅への積極的な取り組みが奏功し棟数は増加したものの、販売単価の低下から金額は横ばい。」、「長期優良住宅の引き合いが強い」、「景気悪化で、住宅需要の低迷が続く中、各月度ともに、同値程度の実績」、など、回復基調を感じさせるコメントもあるが、「顧客ニーズが低価格・高品質志向」、「7月に比べ8,9月の落ち込みが大きく、第一四半期の受注の流れを変えることができなかった」、「低価格傾向と土地価格の更なる低下の様子見が顕著」、「昨年秋以降の景気悪化の影響継続」、「景況感は底入れから上昇が見られるも、動きは鈍い」といった声もまだ多く見られ、厳しい受注環境が継続している。 - -見通し-
平成21年度第3四半期(平成21年10~12月)の見通しは、受注戸数プラス30・受注金額プラス29ポイントと、7四半期ぶりにプラスに回復する見通しとなった(前7月度受注戸数・受注金額ともにマイナス3)。
コメントでは、「各種政策を活用した環境系商品を中心に、更なる営業力の強化により受注増を見込む」、「新商品や、イベント効果によりやや改善」、「前年同期の落ち込みが大きいため、前年同期より増加する見通しだが、依然として顧客の建築意欲は低迷しており厳しい状況が続いている」、「営業力、提案力を強化し、建替え需要掘り起こしに注力したい。前年水準が低いため、対前年比増を期待」、「長期優良住宅の引き合いが続く」、「新商品による拡販に期待」、「7~9月期と同様と思われる」、「顧客ニーズが低価格・高品質志向継続」、「低価格商品の更なる対策」、「新政府の住宅対策継続の有無による効果の見極め、対応」、「政府の失業対策、雇用不安、収入低下等の早急な対策が必要」と、前年比プラス回復への期待、受注の増大に向けた販売戦術などの前向きな姿勢が見られ、全体の環境は厳しいが、低調であった前年を超えるとの見通しを立てている。 - (戸建分譲住宅)
- -実績-
平成21年度第2四半期(平成21年7~9月)実績の景況判断指数は、受注戸数マイナス33ポイント・受注金額マイナス36ポイントであった。4期連続のマイナスだが、マイナス幅は減少傾向が顕著となっている(前7月度受注戸数マイナス38・受注金額マイナス58)。
コメントでは、「実勢価格であれば動きだした」という明るい声もあるが、「保有不動産の販 売に注力し、在庫調整は進むも、消費者マインドは低迷が続き回復が遅れている。、「在庫物件販売に注力」、「土地購入を抑制している」、「前年比、前期比共に、受注棟数・金額が減少」、「公示価格、路線価ともにマイナスとなり、下落傾向が購買マインドに影響が大であった」と、全体的に厳しい環境との認識が多く、4割強の企業が二桁以上のマイナスという業績である。
在庫調整の優先により、受注金額のマイナス幅が影響を受けていると推察される。 - -見通し-
平成21年度第3四半期(平成21年10~12月)の見通しは、受注戸数マイナス13・受注金額マイナス23と、まだ回復が期待できないとの見通しである(前7月度受注戸数マイナス38・受注金額マイナス42)。
コメントでは、「実勢価格であれば動きだした」という期待の声もあるが、「販売体制を強化するも、新規投資は抑制体制にあるため、回復には時間がかかる」、「引き続き土地購入を抑制」「前年同期の落ち込みが大きいため、前年同期とほぼ横ばい状況」、「在庫物件販売に注力」、「7~9月期と同様と思われる」といった声が多く、販売用土地の取得を積極的に行う企業も少ないため、全体としてもプラス回復は厳しい見通しである。 - (低層賃貸住宅)
- -実績-
平成21年度第2四半期(平成21年7~9月)実績の景況判断指数は、受注戸数マイナス50・受注金額マイナス45ポイントと戸数・金額共に6期続けて二桁のマイナスポイントである。2期続けてマイナス幅が減少していたが、一転増加となった(前7月度受注戸数マイナス35・受注金額マイナス40)。
この実績に対するコメントは、「棟数は前年同期比で増加、金額は減少」、「7,8月は微増、9月に少し落とした。受注単価が少しながら増加」という声もあるが、「棟数は大きく変わらないが、1棟当たりの金額が小ぶり化」、「昨年と変わらず」、「昨秋以降の経済危機による影響が継続しており、苦戦が続く」、「融資環境が厳しい」、など、マイナス基調の鮮明な企業が多く、約半数が二桁以上のマイナスで、全体としてもマイナス幅が増加した。 - -見通し-
平成21年度第3四半期(平成21年10~12月)の見通しの景況判断指数は受注戸数18・金額プラス5ポイントと、受注戸数・金額ともに、7四半期ぶりにプラス回復の見通しとなった(前7月度受注戸数・金額ともにマイナス30)。
コメントでは、「環境系商品を武器に、潜在顧客層の新規掘り起こしに注力し、前年比増の受注を見込む」、「現在、重層が好調であり当面現状のまま推移する見通し」、「戸建注文住宅と同じく前年水準が低いため、対前年比増を期待したい」と、受注拡大にむけた意欲・期待感を表わす声と、「棟数は大きく変わらないが、1棟当たりの金額が小ぶり化」、「7~9月期と同様と思われる」、「厳しい融資環境が続く」といった声があり、全体的には厳しい環境であるがプラス回復への期待が大きい見通しとなっている。 - 新設住宅着工戸数の予測アンケート結果
- 平成21年度の新設住宅着工戸数の予測については、回答14社の予測平均値が、総戸数86.7万戸(前7月度97.2万戸)と、前回調査より更に大きく減少している。
利用関係別では、持家が29.1万戸(前7月度30.5万戸)、分譲住宅19.9万戸(同24.6万戸)、賃貸住宅36.5万戸(同41.6万戸)と全部門で減少である。
- 平成21年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果
―回答数―15社―
【単位:万戸】
【単位:万戸】
総戸数 | 持 家 | 分譲住宅 | 賃貸住宅 | |
平成19年度実績 | 103 | 31 | 28 | 43 |
平成20年度実績 | 104 | 31 | 27 | 44 |
平成21年度予測 | ||||
A社 | 82 | 30 | 20 | 31 |
B社 | 84 | 28 | 16 | 40 |
C社 | 90 | 30 | 21 | 38 |
D社 | 81 | 28.5 | 17.5 | 34 |
E社 | 80.3 | 29.9 | 16.9 | 32.5 |
F社 | 85 | 30 | 20 | 34 |
G社 | 85 | 28 | 21 | 35 |
H社 | 78 | 28 | 17 | 32 |
I社 | 95 | 30 | 25 | 40 |
J社 | 90 | 28 | 21 | 40 |
K社 | 90 | 30 | 21 | 38 |
L社 | 99 | 30 | 25 | 43 |
M社 | 85 | 28 | 21 | 35 |
N社 | 93 | 29 | 23 | 40 |
O社 | --- | --- | --- | --- |
平 均 | 86.7 | 29.1 | 19.9 | 36.5 |
- 住宅メーカーの経営指標について
- 向こう6カ月間の住宅メーカーの経営指標となる下記の項目について、
各社の経営者にアンケートを行なった。その結果は次の通りである。 - 詳細グラフはこちら
増やす | 変わらず | 減らす | |
拠点展開 (展示場含む) |
0 ( 0 ) | 9 ( 8 ) | 6( 8 ) |
生産設備 (工場を含む) |
0 ( 0 ) | 15 ( 15 ) | 0 ( 1 ) |
新商品開発 | 5 ( 0 ) | 10 ( 10 ) | 0 ( 1 ) |
販売用土地 (分譲住宅用地含む) |
2 ( 2 ) | 4 ( 6 ) | 9 ( 8 ) |
新規採用人数 (21年度下半期採用数) |
0 ( 1 ) | 9 ( 5 ) | 6 ( 10 ) |
広告宣伝費 | 2 ( 1 ) | 6 ( 4 ) | 7 ( 11 ) |
( )内は、平成21年4月度調査時の数値である。
- 指標の動向について
- 1)「拠点展開」は、9社が「変わらず」、と回答し、前回調査に比べると「減らす」が6社と減り、経費削減を睨んだ販売体制は、現状維持と感じられる。
- 2)「生産設備」は、全15社が「変わらず」と回答し、設備投資については、現状維持の姿勢。
- 3)「新商品開発」は、「増やす」が5社、「変わらず」が10社と横ばい、新商品投入による受注拡大の姿勢がやや感じられる。
- 4)「販売用土地」は、下期に向けて「増やす」が2社と横ばい、「減らす」が9社と増え、分譲住宅供給の意欲は減少傾向である。
- 5)「新規採用人員」は、15社のうち「増やす」は0社、「変わらず」が9社に増え、「減らす」が6社と減っており、人員体制は、現状維持の傾向である。
- 6)「広告宣伝費」については、「変わらず」が6社と増加し、「減らす」が7社と減っており、販売支援体制強化の傾向がやや見られる。