平成22年1月度 『景況判断指数からみた傾向』

  • 平成22年1月度 『景況判断指数からみた傾向』
  • (戸建注文・分譲住宅と低層賃貸住宅の総計)
  • -実績-
    平成21年度第3四半期(平成21年10~12月)実績の景況判断指数は前年同期比で、総受注戸数プラス8ポイント・総受注金額マイナス8ポイントと、総受注戸数は7四半期ぶりにプラスに回復したが、総受注金額は浮上ならずという結果だった(前10月度総受注戸数マイナス58・総受注金額マイナス54)。
    賃貸住宅部門でマイナスが継続しているが、戸建注文住宅は7四半期ぶりのプラス回復、分譲住宅はプラスマイナス0となり、各種政策の支援効果が特に戸建住宅の受注を下支えし、底打ち感を感じさせる結果となった。
    この実績に対するコメントでは、「戸建分譲と低層賃貸の回復は遅れるもコア事業である戸建注文住宅は堅調に回復しており、最悪期は脱したと言える」、「11月から前年比プラス基調になった。建て替えの動きはまだ鈍い」、「全般的に増加傾向にはあるが、前年度の水準が低いため本格的回復とは言えない」との回復基調が表れた声もあるが、「所得、雇用不安が払しょくできない状況下で消費者マインドが低下。各種政策を様子見状態の顧客も増加し、対前年を下回った」、「景気悪化等の影響継続」、「雇用不安や、所得環境の悪化の中、住宅購入マインドが低下し若干減少した」といった厳しい声も多く聞かれ、4割弱の企業がマイナスという業績である。特に、受注金額は減少傾向が継続している。
  • -見通し-
    平成21年度第4四半期(平成22年1~3月)見通しの景況判断指数は、総受注戸数プラス54ポイント・金額プラス50ポイントと、受注戸数・金額ともに、大幅なプラスの見通しとなった(前10月度総受注戸数プラス19・金額プラス17)。
    この見通しについてのコメントは、「各種経済対策の効果、景気回復による消費者マインドの向上に加え、営業力の更なる強化により大幅な受注回復を見込む」、「市場環境に大きな改善は見られないが、住宅版エコポイント制度、フラット35、贈与税の非課税枠拡大などが追い風となりやや改善する見込み」、「景気先行き不安等によりペースは遅いが、徐々に改善に向かうと想定する」、「税制・住宅政策等のメリットを訴求して需要喚起に注力」、「贈与税の非課税枠拡大、フラット35S金利1%引き下げ、住宅版エコポイント制度創設等の追加経済対策効果に期待」、「営業強化策推進、ネット住宅拡販に期待」、「国策により若干の戸建て注文住宅の増加が見込まれる」と、税制・金融を含めた経済対策に期待し、積極的に販売拡大を目指す声が多く聞かれ、全部門がプラス回復の見通しのため、全体的にも大幅なプラスの受注見通しである。
  • (戸建注文住宅)
  • -実績-
    平成21年度第3四半期(平成21年10~12月)実績の景況判断指数は、前年同期比で受注戸数・受注金額ともにプラス10ポイントと、7四半期ぶりにプラスに回復した(前10月度受注戸数マイナス33・受注金額マイナス32)。
    コメントでは、「各種政策や補助金制度により太陽光発電システムや燃料電池を中心とした環境配慮住宅の受注が堅調」、「住宅ローン金利の低下や様々な政策効果で顧客に動きが出てきた。10月発売の新商品が好調」、「前年度の水準が低いためプラス傾向にある」、「予定通り」、等、プラス基調が鮮明な企業も多くあるが、「前年同期比で棟数・金額ともに増加。前期比では棟数・金額ともに減少」、「10月実績は前年を上回るも、11~12月は10%以上下回った。第3四半期全体では前年比▲10%弱の実績になった。受注金額は前年同期、前四半期と比べて大きな変化はない。しかし、価格の低下傾向が依然として続いている。」、「雇用不安や、所得環境の悪化の中、住宅購入マインドが低下し若干減少した」、「景気悪化等の影響継続」、「首都圏回復基調、地方は苦戦」、といったマイナス基調の声も多く、厳しい受注環境が継続している。
  • -見通し-
    平成21年度第4四半期(平成22年1~3月)の見通しは、受注戸数プラス43・受注金額プラス50ポイントと、プラスが継続・拡大する見通しとなった(前10月度受注戸数・プラス30・受注金額プラス29)。
    コメントでは、「各種優遇税制や補助金制度に加え住宅版エコポイントの創設による購入意欲の向上にも期待」、「贈与税の非課税枠の拡大や住宅エコポイント制度などの施策実施が見込まれるため顧客の購入意欲は高まる」、「新商品投入を契機に、都市部の三階建てエリアを中心に建替え需要掘り起こしを強化」、「営業強化策推進、ネット住宅拡販に期待」、「平成22年度の税制改正・住宅版エコポイント制度・フラット35Sの低金利により若干の増は見込まれる」、「首都圏回復基調、地方苦戦」、「景気の先行き不安が拭いきれず、依然厳しい状況が続くと考えられる。反面、住宅取得に関する支援政策(緊急経済対策)や、地価が下がっていることなどのメリットによって消費者の購買意欲が向上することに期待し、顕在顧客のフォローに注力する」と、各種経済支援策を追い風に、受注の増大に向けた積極的な姿勢が見られ、消費者の購買意欲向上を期待し、プラス幅をさらに伸ばすとの見通しを立てている。
  • (戸建分譲住宅)
  • -実績-
    平成21年度第3四半期(平成21年10~12月)実績の景況判断指数は、受注戸数・受注金額ともにプラスマイナス0ポイントであった。4期連続のマイナスから、前年並みを確保した(前10月度受注戸数マイナス33・受注金額マイナス36)。
    コメントでは、「保有不動産の販売に注力し、在庫調整は進むも本格回復には至っていない」、「前年同期比、前期比ともに減少」、「在庫物件の販売に注力」、「地価の下落傾向が長期化している状況下での買い控えが続いている」と、在庫調整を優先しているとのコメントが多いが、在庫物件の販売が好調な企業と苦戦している企業が半々ということを指標が表している。
    全体的には厳しい環境が継続しているとの認識が推察される。
  • -見通し-
    平成21年度第4四半期(平成22年1~3月)の見通しは、受注戸数・受注金額ともにプラス15ポイントと、プラス回復するとの見通しである(前10月度受注戸数マイナス13・受注金額マイナス23)。
    コメントでは、「販売体制を強化するも、新規物件の積極投資は引き続き抑制するため、回復には、今しばらく時間がかかる」、「住宅エコポイント等の施策で今後の着工物件については受注の伸びが見込めるが、既に着工済みの分譲物件については苦戦が予想される。よって、ほぼ横ばいの見込み」、「在庫物件販売に注力」「変化はないと思われる」、といった控えめなコメントが多いが、各種経済支援策を背景に分譲物件の販売に注力する企業も多く、全体としてプラス回復の見通しである。
  • (低層賃貸住宅)
  • -実績-
    平成21年度第3四半期(平成21年10~12月)実績の景況判断指数は、受注戸数・受注金額ともにマイナス14ポイントと戸数・金額共に7期続けて二桁のマイナスポイントであるが、マイナス幅は大幅に改善した(前10月度受注戸数マイナス50・受注金額マイナス45)。
    この実績に対するコメントは、「景気の先行き不透明感による購入者マインドの低迷が長引き、苦戦が続く」、「受注金額は減少」、「特に変化はなし」という声もあるが、「全般的に増加傾向を維持」、「人員増強が奏功し三大都市圏の受注が大きく伸びた」など、若干プラス基調を感じさせる回答の会社が50%強あり、全体としてもマイナス幅が大きく減少した。
  • -見通し-
    平成21年度第4四半期(平成22年1~3月)の見通しの景況判断指数は受注戸数・金額ともにプラス45ポイントと、受注戸数・金額ともに、8四半期ぶりにプラス回復するとの見通しとなった(前10月度プラス18・金額プラス5)。
    コメントでは、「特に変化はないと思われる」といった声もあるが、「環境系商品や新商品の積極投入により、新規掘り起こしに注力し、前年比で大幅な受注回復を見込む」、「新商品が好調、今後も横ばいで推移する見通し」、「引き続き都市部を中心に人員・営業力・提案力を強化」といった受注拡大にむけた意欲・期待感を表わす声が見られ、回答した会社の70%強がプラス回復の見通しを立てており、全体的には平成21年を底にプラス回復の見通しとなっている。
  • 新設住宅着工戸数の予測アンケート結果
  • 平成21年度の新設住宅着工戸数の予測については、回答14社の予測平均値が、総戸数76.6万戸(前10月度86.7万戸)と、昭和41年以来の100万戸割れの予測である。
     利用関係別では、持家が28.5万戸(前10月度29.1万戸)、分譲住宅17.4万戸(同19.9万戸)、賃貸住宅31.8万戸(同36.5万戸)と全部門で前回より減少である。
    平成22年度新設住宅着工戸数の見通しは総戸数85.5万戸で、持家30.5万戸、分譲住宅19.7万戸、賃貸住宅33.8万戸と、若干回復基調の見通しとなっている。
  • 平成22年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果
―回答数―15社―
【単位:万戸】
  総戸数 持 家 分譲住宅 賃貸住宅
平成19年度実績 103 31 28 43
平成20年度実績 104 31 27 44
平成21年度実績 77 29 17 32
平成22年度予測
A社 91 33 21 36
B社 83 32 18 32
C社 85 28 21 35
D社 85 31.5 19.5 33
E社 75 27 16 31
F社 85 30 20 34
G社 80 27 19 33
H社 85 31 32 21
I社 90 33 18 38
J社 78 28 15 34
K社 75 28 14 32
L社 90 27 23 39
M社 90 30 26 33
N社 90 35 20 34
O社 --- --- --- ---
平 均 85.5 30.5 19.7 33.8

  • 住宅市場について
  • 向こう6カ月の住宅市場に関する指標について、各社の経営者にアンケートを行なった。
    その結果は次のとおりである。
  上がる 変わらず 下がる
所得の伸び 0 ( 0 ) 7 ( 4 ) 8( 11 )
家賃の動向 0 ( 0 ) 6 ( 6 ) 9 ( 9 )
金利の動向(市中金利) 1 ( 2 ) 11 ( 13 ) 3 ( 0 )
資材価格の動き 2 ( 2 ) 8 ( 3 ) 5 ( 5 )
建築の手間賃 0 ( 0 ) 11 ( 13 ) 4 ( 2 )

  上がる 安定化 下がる
地価の動向(住宅地) 0 ( 0 ) 7 ( 4 ) 8( 11 )

  増える 変わらず 減る
展示場来場者数 1 ( 1 ) 11 ( 6 ) 3( 8 )

  過剰 充足 不足
技能職人数(大工) 5 ( 2 ) 10 ( 13 ) 0( 0 )

( )内は、平成21年7月度調査時の数値である。
  • 指標の動向について
  • 1)「所得の伸び」では、「下がる」が8社に減り、「変わらず」が7社と増えたが、下落傾向に歯止めはかかっていない。
  • 2)「家賃の動向」は、「下がる」が9社、「変わらず」が6社と回答、前回に引き続き家賃は下落傾向が継続している。
  • 3)「金利の動向」では、「下がる」が3社に増え、「変わらず」が11社と減った。金利については、現状維持が強いが、下げ含みとの見方である。
  • 4)「資材価格の動き」では、「上がる」が2社、「変わらず」が8社、「下がる」は5社と前回と変わらず、資材価格は安定化傾向が継続している。
  • 5)「建築の手間賃」は、「変わらず」が11社と大勢を占めているが、「下がる」との判断も4社あり、若干下落傾向が表れている。
  • 6)「地価の動向」では、「下がる」の回答が8社と減少、「安定化」は7社と増えており、若干安定化傾向が表れている。
  • 7)「展示場来場者数」は、「変わらず」が11社と増加、「減る」が3社に減少しており、全国的には、減少傾向に歯止めがかかってきている。
  • 8)「技能者人数(大工)」では、多くの企業は「充足」(10社)であるが、5社が「過剰」と判断しており、仕事量とのバランスで、職人余り現象も若干みられる。
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