平成22年10月度 『景況判断指数からみた傾向』

  • 平成22年10月度 『景況判断指数からみた傾向』
  • (戸建注文・分譲住宅と低層賃貸住宅の総計)
  • -実績-
    平成22年度第2四半期(平成22年7~9月)実績の景況判断指数は前年同期比で、総受注戸数・総受注金額ともにプラス46ポイントと、受注戸数は4期連続、受注金額は3期連続してプラスという結果であった(前7月度総受注戸数プラス29・総受注金額プラス46)。
    戸建注文住宅はプラス幅を拡大し、リフォーム部門も前期に引き続き約7割の企業が10%以上良いとの実績で全体を牽引した。一方、戸建分譲住宅部門はマイナスが継続し、賃貸住宅部門もマイナスに転落したが、全体としてプラスが継続・拡大する結果となった。
    この実績に対するコメントでは、「環境配慮型商品が受注全体を牽引。補助金、エコポイントが一定の購買意欲を下支え」、「伸び率は鈍化したが、各種政策の効果により好調」、「株式市場低迷や政局混迷などからくる先行き不安から契約先送りも一部見られたものの、各種政策の効果などにより、お客様の検討水準は高い」、「今が建てどきと認識し、決断するケースが多かった」、「7月、8月に大きく伸ばし9月も増加傾向を維持。全体として大幅増を実現できた」、「リフォームが好調」と、全体的に政策効果が寄与したとのコメントが多く、プラス基調が継続しているとの判断である。
  • -見通し-
    平成22年度第3四半期(平成22年10~12月)見通しの景況判断指数は、総受注戸数プラス50ポイント・総受注金額プラス54ポイントと、受注戸数・金額ともに、前期に続き大幅なプラスの見通しとなった(前7月度総受注戸数プラス36・総受注金額プラス50)。
    この見通しについてのコメントは、「新商品やイベントの効果が成果として出始める頃合い。時節も良く増加の見通し」、「景気の不透明感があり、大きな伸び率は期待できないが目立った悪材料もなく政策の効果が継続する。」、「今のところ、上期から特段のマイナスとなりうる要素は見られない」、「1年間前年増を継続してきたため、このまま継続していくことは容易ではないが、勢いのある営業力で乗り切りたい」、「やや増加」と、税制・金融を含めた経済対策の効果に期待し、積極的に販売拡大を目指す声が多く聞かれ、全部門でプラスの見通しのため、全体としてもプラスが継続する見通しである。
  • (戸建注文住宅)
  • -実績-
    平成22年度第2四半期(平成22年7~9月)実績の景況判断指数は、前年同期比で受注戸数・受注金額ともにプラス50ポイントと、4期プラスが継続し、プラス幅が拡大している(前7月度受注戸数プラス20・受注金額プラス36)
    コメントでは、「住宅エコポイント等の政策効果は見られるものの、前年同期の水準高く、結果として実績前期並み」という声もあるが、「前年比5%増と堅調に確保。木造が好調」、「前年、 前期比で棟数・金額ともに増加」、「7月、8月に大きく伸ばし増加傾向を継続」、「新商品が順 調に増える」、「棟数横ばいだが単価が増加」、「春先からの引き合いが受注に結び付いている」、 「対前年比受注は5%弱の伸びをしているが、東京、神奈川エリアの伸びが他エリアからすると 低い」、「長期優良住宅先導事業採択物件及び、エコポイントキャンペーン展開による受注10% 以上を目指すが下回る。東京、神奈川エリアの土地取得を計画するが思うように取得できず」、といったプラス基調が鮮明な企業が多く見られ、7割以上の企業が前年比プラスという状況である。
  • -見通し-
    平成22年度第3四半期(平成22年10~12月)の見通しは、受注戸数プラス47ポイント・受注金額プラス43ポイントと、プラスが継続する見通しとなった(前7月度受注戸数・プラス43・受注金額プラス46)。
    コメントでは、「住宅エコポイント・フラット35S金利引き下げの延長が決まるが、円高等の影響による経済の先行き不透明感により、見通しは前期並み」、「横ばい」、「円高による経済不安から引き合いが減少」、「景気、雇用に下振れの懸念が予想され、10月より消費者購買意欲が低下する」といった不安な声もあるが、「新商品投入により増加の見通し」、「10月から全国一斉のキャンペーンを実施、手持ち顧客の掘り起こしを図る」、「都市部の3階建て、2世帯が好調。増加傾向の継続は可能と考える」、「営業力アップによる拡販」、「下期対策としてエコキャンペーンを実施し受注増を図る。低価格帯層向けの商品の販売積極化」といった、各種の経済支援策を追い風に、新商品発売など受注の増大に向けた積極的な姿勢が見られ、消費者の購買意欲向上を期待し、プラス基調を継続するとの見通しを立てている。
  • (戸建分譲住宅)
  • -実績-
    平成22年度第2四半期(平成22年7~9月)実績の景況判断指数は、受注戸数マイナス5ポイント・受注金額マイナス9ポイントと、3期連続でマイナスとなった(前7月度受注戸数マイナス5・受注金額マイナス25)。
    コメントでは、「土地の動きは鈍いがマンション好調」、「前年比で棟数・金額ともに増加。前期比は棟数・金額ともに減少」、「在庫販売から、厳選しながら土地購入も注力」、「横ばい」と、在庫調整が一服し、土地取得等に前向きな声もあり、回復基調の企業も見られるが、全体としては厳しい環境が継続しており、マイナスとの判断である。
  • -見通し-
    平成22年度第3四半期(平成22年10~12月)の見通しは、受注戸数・受注金額ともにプラス18ポイントと、1年ぶりにプラス回復するとの見通しである(前7月度受注戸数・受注金額ともにマイナス10)。
    コメントでは、「前年割れの低調で推移」、「横ばい」というマイナス基調の声もあるが、「優良な分譲住宅の建築と優良な土地の取得を積極的に進めており販売拡大を図る」、「回転率アップに注力」といった、積極的に販売拡大を図るコメントの企業も見られる。全体としては、プラス基調の企業が増え、プラス回復する見通しである。
  • (低層賃貸住宅)
  • -実績-
    平成22年度第2四半期(平成22年7~9月)実績の景況判断指数は、受注戸数マイナス30ポイント・受注金額マイナス25ポイントとなり、戸数・金額共に3期ぶりにマイナスに転落した(前7月度受注戸数プラス35・受注金額プラス25)。
    この実績に対するコメントは、「前年並みだが、下降の兆し、高層は良い」、「戸数はほぼ横ばい、金額は増加」、「7月、8月は伸ばしたが9月にダウン。全体としては横ばい」、「4~6月好調であった首都圏が減速」など、マイナス基調を感じさせる声が多くあり、全体としても、 5割以上の企業が前年比悪いと答えており、マイナスに転落する結果となった。
  • -見通し-
    平成22年度第3四半期(平成22年10~12月)の見通しの景況判断指数は、受注戸数・受注金額ともにプラス25ポイントと、戸数・金額ともに、プラスに回復するする見通しとなった(前7月度受注戸数プラス10・金額プラス25)。
    コメントでは、「前年比増5~10%まで回復」、「防犯配慮型賃貸住宅が好調、金額・戸数とも横ばいから微増を見込む」、「10~12月は厳しい季節だが、営業力強化で前年比増を目指す」、「情報数が増えており、前期並みに回復」といった、前向きなコメントが多く、受注拡大にむけた意欲・期待感を表わしており、プラス回復する見通しとなっている。
  • (リフォーム)
  • -実績-
    平成22年度第2四半期(平成22年7~9月)実績の景況判断指数は受注金額がプラス81ポイントと前期に引き続き前年比大幅増という結果であった(前7月度受注金額プラス86)。
    コメントでは、「前年比20%増を維持し好調」、「住宅版エコポイント制度、太陽光発電補助金制度が追い風となって、対前年比28%の伸びとなった」、「拠点拡大が奏功し受注増加。特に自社のOB顧客からの受注が好調」、「物件の大型化進む」、「人員減少ながら上向き」と、非常に好調で、回答いただいた13社のうち9社が10%以上良いと答えている。
  • -見通し-
    平成22年度第3四半期(平成22年10~12月)の見通しの景況判断指数は受注金額がプラス77ポイントと、更に好調が継続するという見通しである(前7月度受注金額プラス77)。
    コメントでは、「エコポイント等の好材料により堅調」、「エコポイントの拡大延長によりリフォームの増加を期待」、「住宅版エコポイント制度の延長、対象工事のメニュー追加(予定)で、リフォーム需要の喚起による伸びが期待できる」、「今後も引き続き好調を見込む」、「増加」、「外売りへの積極的取り組み」と、住宅エコポイント制度等の追い風を受け、プラス基調のコメントがほとんどである。
  • 新設住宅着工戸数の予測アンケート結果
  • 平成22年度の新設住宅着工戸数の予測については、回答14社の予測平均値が、総戸数82.9万戸(前7月度82.6万戸)と、前回調査からほぼ横ばいという結果となった。
    利用関係別では、持家が30.6万戸(前7月度30.2万戸)、分譲住宅18.7万戸(同18.8万戸)、賃貸住宅31.7万戸(同32.3万戸)となっている。
  • 平成22年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果
―回答数―15社―
【単位:万戸】
  総戸数 持 家 分譲住宅 賃貸住宅
平成20年度実績 104 31 27 44
平成21年度実績 77 29 17 32
平成23年度予測
A社 83.5 32 18.5 32.2
B社 83 32 19 31
C社 80 30 17.5 31.5
D社 81.5 30 18.5 32
E社 80.5 30.1 16.8 32.7
F社 85 32 22 30
G社 83 30 19 33
H社 85 31.6 19 33
I社 83 31 18 33
J社 80 30 18 31
K社 81.3 29.9 19.6 30.4
L社 90 30 17 30
M社 84 30 20 33
N社 85 31 20 33
O社 --- --- --- ---
平 均 82.9 30.6 18.7 31.7
(*)平均値については、それぞれ最大値及び最小値を除いて算出した。
  • 住宅メーカーの経営指標について
  • 向こう6カ月間の住宅メーカーの経営指標となる下記の項目について、
    各社の経営者にアンケートを行なった。その結果は次の通りである。
  増やす 変わらず 減らす
拠点展開(展示場含む) 1 ( 1 ) 12 ( 12 ) 2 ( 2 )
生産設備(工場を含む) 1 ( 0 ) 14 ( 15 ) 0 ( 0 )
新商品開発 8 ( 6 ) 7 ( 9 ) 0 ( 0 )
販売用土地
(分譲住宅用地含む)
7 ( 5 ) 7 ( 7 ) 1 ( 3 )
新規採用人数
(18年度下半期採用数)
4 ( 3 ) 11 ( 11 ) 0 ( 1 )
広告宣伝費 5 ( 6 ) 10 ( 8 ) 0 ( 1 )

( )内は、平成22年4月度調査時の数値である。
  • 指標の動向について
  • 1)「拠点展開」は、12社が「変わらず」、と回答し、前回調査と変わらず、販売体制は、現状維持と感じられる。
  • 2)「生産設備」は、14社が「変わらず」,1社が「増やす」と回答し、設備投資については、現状維持の姿勢。
  • 3)「新商品開発」は、「増やす」が8社に増加、「変わらず」が7社と減少、新商品投入による受注拡大の姿勢が感じられる。
  • 4)「販売用土地」は、下期に向けて「増やす」が7社と増え、「減らす」が1社と減少、分譲住宅供給の意欲が増加している。
  • 5)「新規採用人員」は、15社のうち「増やす」4社、「変わらず」11社で、「減らす」は0社となり、人員体制は、増加に転じている。
  • 6)「広告宣伝費」については、「増やす」が5社と微減したが、「減らす」は0社になり、販売支援体制は強化の傾向が見られる。
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