平成23年1月度 『景況判断指数からみた傾向』

  • 平成23年1月度 『景況判断指数からみた傾向』
  • (戸建注文・分譲住宅と低層賃貸住宅の総計)
  • -実績-
    平成22年度第3四半期(平成22年10~12月)実績の景況判断指数は前年同期比で、総受注戸数プラス29ポイント・総受注金額プラス54ポイントと、受注戸数は5期連続、受注金額は4期連続してプラスという結果であった(前10月度総受注戸数・総受注金額ともにプラス46)。
    戸建注文住宅部門はプラスを継続し賃貸住宅部門も前期のマイナスから回復、リフォーム部門も前期に引き続き6割強の企業が10%以上良いとの実績で全体を牽引した。一方、戸建分譲住宅部門はマイナスが継続したが、全体としてプラスが継続する結果となった。
    この実績に対するコメントでは、「戸建分譲の苦戦が続くが、持家、貸家ともに、注文住宅が好調」、「比較的好調。来場者数もほぼ前年並み」、「市場環境は低迷だが、各種政策の効果などにより集客数は前年同期を上回っている。上半期と同様な市場環境が続いている」、「10月、12月に大きく伸ばし全体として増加傾向を継続」、「ほぼ計画通りの進捗」、「今年度新商品の販売が順調」、「政策面での需要後押し効果」と、全体的に増加傾向が継続しているとのコメントが多く、特に受注金額のプラス幅が拡大している。
  • -見通し-
    平成22年度第4四半期(平成23年1~3月)見通しの景況判断指数は、総受注戸数プラス36ポイント・総受注金額プラス50ポイントと、受注戸数・金額ともに、前期に続き大幅なプラスの見通しとなった(前10月度総受注戸数プラス50・総受注金額プラス54)。
    この見通しについてのコメントは、「各種補助金制度が一定レベルの受注を下支え。一昨年度からの回復後の実績にどれだけ上積みできるかが正念場」、「雇用不安が完全に払しょくできないが、大きなマイナス要素はなく、好調に推移すると思われる」、「1月から3月にかけても前期とほぼ同様の傾向が続くと思われる」、「これまで継続してきている増加傾向を継続したい」、「対前年を上回る」、「営業力強化により拡販の継続」、「政策面での需要後押しを期待」と、税制・金融を含めた経済対策の効果に期待し、積極的に販売拡大を目指す声が多く聞かれ、全部門でプラスの見通しのため、全体としてもプラスが継続・拡大する見通しである。
  • (戸建注文住宅)
  • -実績-
    平成22年度第3四半期(平成22年10~12月)実績の景況判断指数は、前年同期比で受注戸数プラス27ポイント・受注金額プラス53ポイントと、5期プラスが継続し、特に、受注金額はプラス幅が拡大している(前10月度受注戸数・受注金額ともにプラス50)。
    コメントでは、「前年比は、棟数ほぼ横ばい・金額増加、前期比は棟数・金額ともに減少」という声もあるが、「戸建新商品が寄与し、直近3カ月では10%強増、年間を通して全月で対前年比プラスとなった」、「増加傾向が継続」、「政策効果により、太陽光発電搭載住宅の比率が増え受注金額が増加」、「棟数は減少だが、単価の上昇が顕著」、「今年度の新商品の販売が順調」、「エコポイント、住宅ローン金利優遇により需要喚起効果」、「受注戸数は対前年比ほぼ横ばいで上半期から伸びが鈍化傾向。関東、中部エリアが前年対比微増で、東北・北海道が4%減少、その他は横ばい。受注金額はほぼ横ばいだが、大型物件が多く獲得できている」、といったプラス基調が鮮明な企業が多く見られ、特に、受注金額の増加傾向が顕著という状況である。
  • -見通し-
    平成22年度第4四半期(平成23年1~3月)の見通しは、受注戸数プラス47ポイント・受注金額プラス53ポイントと、大幅なプラスが継続する見通しとなった(前10月度受注戸数・プラス47・受注金額プラス43)。
    コメントでは、「住宅エコポイント延長によりプラスを維持」、「1月の新春キャンペーン、2月の全国一斉キャンペーン、新商品発売開始で新規顧客の獲得と手持ち顧客の掘り起こしを行う」、「引き続き都市部の3階建て・2世帯に注力し、増加傾向を維持したい」、「3大都市圏での大型住まい博を2年ぶり開催し受注増を見込む」、「対前年を上回る」、「営業力強化により拡販の継続」、「エコポイント拡充、住宅ローン金利優遇の継続による期待」、「エネルギーゼロ住宅キャンペーンにて受注金額増を図る。期間限定商品発売にて売り上げ5%増を見込む。土地の取得をエリア別に行い受注増に繋げる」といった、各種の経済支援策を追い風に、新商品発売や、イベントの開催などの受注の増大に向けた積極的な姿勢が見られ、プラス基調の継続とプラス幅の更なる拡大を目指す見通しを立てている。
  • (戸建分譲住宅)
  • -実績-
    平成22年度第3四半期(平成22年10~12月)実績の景況判断指数は、受注戸数・受注金額ともにマイナス9ポイントと、4期連続でマイナスとなった(前10月度受注戸数マイナス5・受注金額マイナス9)。
    コメントでは、「前年比・前期比で棟数・金額ともに増加」、「数字はやや苦しいが、見通し通り」といった回復基調の企業も見られるが、「戸建分譲の落ち込みは、昨年度の土地の仕入れの遅れによるもの」、「土地売買の動きが鈍く低調。年間を通しても全月で対前年比マイナスとなった」と、マイナス基調の企業が多くを占め、厳しい環境が継続しており、プラスに回復とはならなかった。
  • -見通し-
    平成22年度第4四半期(平成23年1~3月)の見通しは、受注戸数・受注金額ともにプラス5ポイントと、プラス回復するとの見通しである(前10月度受注戸数・受注金額ともにプラス18)。
    コメントでは、「回復の兆しはまだ見えず低調と予測するが、前年度同等水準と思われる」、「前年並み」というほぼ横ばいとの声もあるが、「優良な土地の取得を積極的に行う。販売実績は順調に推移しており更なる販売拡大を図る」といった、積極的に販売拡大を図るコメントの企業も見られる。全体としては、プラス基調とマイナス基調の企業が同数であるが、指数としてはプラス回復する見通しである。
  • (低層賃貸住宅)
  • -実績-
    平成22年度第3四半期(平成22年10~12月)実績の景況判断指数は、受注戸数・受注金額ともにプラス25ポイントとなり、戸数・金額ともに前期のマイナスから回復した(前10月度受注戸数マイナス30・受注金額マイナス25)。
    コメントでは、「足下3カ月の受注は堅調。年間を通しても、9月を除いて対前年比プラスとなった」、「戸数はやや減少、金額は増加」、「10月は伸ばしたが全体としては受注金額は微増に留まる」、「戸数はほぼ前期並みだが、戸当たり床面積が増え、受注金額は増加」など、受注金額のプラス基調を感じさせる声が多くあり、全体としても、4~5割の企業が前年比5%以上良いと答えており、戸数・金額ともにプラスに回復する結果となった。
  • -見通し-
    平成22年度第4四半期(平成23年1~3月)の見通しの景況判断指数は、受注戸数プラス15ポイント・受注金額プラス20ポイントと、戸数・金額ともに、プラスが継続する見通しとなった(前10月度受注戸数・金額ともにプラス25)。
    コメントでは、「住宅エコポイント延長によりプラスを維持。税制改正に伴う動きもプラス要因」、「1~2月にかけて、防犯配慮型賃貸住宅実例見学会及び、経営セミナーを実施。新規顧客の確保と受注拡大を図る」、「エリア密着営業体制の確立と、営業提案力強化で増加傾向を維持したい」、「アパートについても住まい博効果を見込む」「高齢者向け賃貸住宅市場の活性化」といった、前向きなコメントが多く聞かれ、受注拡大にむけた意欲・期待感を表わしており、プラスが継続する見通しとなっている。
  • (リフォーム)
  • -実績-
    平成22年度第3四半期(平成22年10~12月)実績の景況判断指数は受注金額がプラス75ポイントと前期に引き続き大幅増という結果であった(前10月度受注金額プラス81)。
    コメントでは、「受注堅調。対前年比は件数・金額ともに10%強増」、「受注高は前年比25.4%増と大きく伸びた。住宅エコポイント、太陽光発電などの補助金制度も大いに寄与している」、「自社の持家顧客からの受注が好調」、「10%以上良い」、「対前年5%程度上昇」、「昨年比約1割アップ」、「エコポイント、住宅ローン金利優遇により需要喚起効果」、「一般リフォーム強化により拡販」、「改築・改装工事が好調に推移」と非常に好調で、回答いただいた14社のうち9社が10%以上良いと答えている。
  • -見通し-
    平成22年度第4四半期(平成23年1~3月)の見通しの景況判断指数は受注金額がプラス89ポイントと、更に好調が継続するという見通しである(前10月度受注金額プラス77)。
    コメントでは、「国土交通省の賃貸リフォーム補助金等により受注増を予測」、「第4四半期も堅調に推移し前年比30%増の見通しである。エコポイント制度における節水型便器、高断熱浴槽の追加が、工事額の増加につながると考えられる」、「今後も引き続き好調を見込む」、「10%以上良くなりそう」、「対前年を上回る」、「エコポイント拡充、住宅ローン金利優遇の継続による期待」、「改築・改装系の伸びを中心にさらに伸ばしていきたい」と、住宅エコポイント制度等の追い風を受け、プラス基調のコメントがほとんどである。
  • 新設住宅着工戸数の予測アンケート結果
  • 平成22年度の新設住宅着工戸数の予測については、回答14社の予測平均値が、総戸数82.5万戸(前10月度82.9万戸)と、前回調査から微減という結果となった。
    利用関係別では、持家が31.1万戸(前10月度30.6万戸)、分譲住宅19.8万戸(同18.7万戸)、賃貸住宅30.7万戸(同31.7万戸)となっている。
    平成23年度新設住宅着工戸数の見通しは総戸数85.7万戸で、持家32.2万戸、分譲住宅20.6万戸、賃貸住宅31.8万戸と、若干回復基調の見通しとなっている。
  • 平成22年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果
―回答数―14社―
【単位:万戸】
  総戸数 持 家 分譲住宅 賃貸住宅
平成20年度実績 104 31 27 44
平成21年度実績 78 29 16 31
平成22年度予測
A社 82 31 20.5 30
B社 83 32 19 31
C社 81.8 37.8 19 30.1
D社 82 32 18 31
E社 81.1 30.7 19.1 30.3
F社 85 32 22 30
G社 83 31 20 31
H社 83 31 20 31
I社 83 30 20 32
J社 82 30 20 31
K社 83.6 31.3 19.1 31.7
L社 80 30 20 31.1
M社 84 32 21 30
N社 81 30 20 30
O社 --- --- --- ---
平 均 82.5 31.1 19.8 30.7


  • 平成23年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果
―回答数―14社―
【単位:万戸】
  総戸数 持 家 分譲住宅 賃貸住宅
平成20年度実績 104 31 27 44
平成21年度実績 77.5 28.7 16.4 31.1
平成22年度実績
(22.4月~11月)
55.2 21.4 13.5 19.8
平成23年度予測
A社 88 34 20 33
B社 85 32 21 31
C社 86 32 20 33
D社 86 32 21 32
E社 85.3 32.3 20.3 31.7
F社 88 33 23 31
G社 86 32 20 33
H社 88 33 21 33
I社 85 31 21 32
J社 88 33 21 33
K社 81.4 29.9 19.2 30.9
L社 85 35 20 31.1
M社 85 32 22 30
N社 80 30 20 29
O社 --- --- --- ---
平 均 85.7 32.2 20.6 31.8

(*)平均値については、それぞれ最大値及び最小値を除いて算出した。


  • 住宅市場について
  • 向こう6カ月の住宅市場に関する指標について、各社の経営者にアンケートを行なった。
    その結果は次のとおりである。
  上がる 変わらず 下がる
所得の伸び 1 ( 0 ) 13 ( 14 ) 1 ( 1 )
家賃の動向 1 ( 0 ) 10 ( 11 ) 4 ( 4 )
金利の動向(市中金利) 3 ( 0 ) 12 ( 14 ) 0 ( 1 )
資材価格の動き 13 ( 9 ) 2 ( 6 ) 0 ( 0 )
建築の手間賃 1 ( 0 ) 12 ( 13 ) 2 ( 2 )

  上がる 安定化 下がる
地価の動向(住宅地) 3 ( 0 ) 8 ( 11 ) 4 ( 4 )

  増える 変わらず 減る
展示場来場者数 3 ( 6 ) 11 ( 8 ) 1 ( 1 )

  過剰 充足 不足
技能職人数(大工) 0 ( 0 ) 10 ( 14 ) 8 ( 3 )

( )内は、平成22年7月度調査時の数値である。
  • 指標の動向について
  • 1)「所得の伸び」では、「上がる」、「下がる」がともに1社、「変わらず」が13社と、現状維持の傾向が続いている。
  • 2)「家賃の動向」は、「下がる」が4社と横ばい、「変わらず」が10社に微減、どちらかと言えば現状維持の傾向が続いている。
  • 3)「金利の動向」では、「上がる」が3社に増え、「変わらず」が12社に減少。
    金利については、若干上昇傾向が表れてきている。
  • 4)「資材価格の動き」では、「上がる」が13社に増え、「変わらず」が2社、「下がる」は0社となった。資材価格は上昇傾向が顕著に表れている。
  • 5)「建築の手間賃」は、「変わらず」が12社と大勢を占め、「下がる」との判断は2社と変わらず。現状維持傾向が続いている。
  • 6)「地価の動向」では、「下がる」の回答が4社と変わらないが「上がる」が3社と増え、「安定化」は8社と減少、若干上昇化感が表れている。
  • 7)「展示場来場者数」は、「変わらず」が11社に増加し、「増える」が3社に減少しており、全国的には、横ばい傾向が現れてきている。
  • 8)「技能者人数(大工)」では、多くの企業は「充足」(13社)であり、「過剰」、「不足」はともに1社と、現状でほぼ充足しているとの判断である。
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