平成23年7月度 『景況判断指数からみた傾向』

  • 平成23年7月度 『景況判断指数からみた傾向』
  • (戸建注文・分譲住宅と低層賃貸住宅の総計)
  • -実績-
    平成23年度第1四半期(平成23年4~6月)実績の景況判断指数は前年同期比で、総受注戸数プラス32ポイント・総受注金額プラス50ポイントと、受注戸数は前期に5期連続プラスからマイナスに転落したがプラスに回復、受注金額は6期連続してプラスという結果であった(前4月度総受注戸数マイナス4・総受注金額プラス15)。
    戸建分譲住宅部門が6期ぶりにプラスに回復し、戸建注文住宅部門、賃貸住宅部門、リフォーム部門を含めたすべての部門で二桁のプラスという結果が全体的な傾向を表している。
    この実績に対するコメントでは、「戸建分譲を除き全体は上向きだが、依然として予断許さぬ状況と言える」、「震災関連の特需が顕在化し始めた様子」、「4~6月は計画をやや上回った。東北、関東を中心に建替えが増加傾向」、「対前年レベルが高い中、微増ながら増加傾向を維持」、「復興需要が、全体受注を押し上げた形となった。被災地においては、二世帯住宅が増加傾向にあるなど、棟数のみならず単価も上昇傾向」、「回復基調である」、など、全体的に復興需要を取り込んで、プラス基調が継続しているとのコメントが多く、特に受注金額のプラス幅が拡大している。
  • -見通し-
    平成23年度第2四半期(平成23年7~9月)見通しの景況判断指数は、総受注戸数プラス54ポイント・総受注金額プラス61ポイントと、受注戸数・金額ともに、引き続き大幅なプラスとの見通しとなった。
    この見通しについてのコメントは、「景気先行きに不透明感が残り、楽観視できない」、「震災によるマイナス影響からは、分譲、リフォーム、戸建注文を中心に比較的早期に回復する予測。但し、原発問題、建築コスト上昇等の不確実要素も多い」としながらも、「直近3カ月と同様と予測、ポストエコポイントの政策的支援を期待」、「消費者マインドは想定していたよりも低下せず、被災地エリアでの受注増もあり、今後も受注戸数は微増で推移すると想定」、「引き続き対前年のレベルが高いが増加傾向を維持したい」、「1Q同様、単価上昇の傾向は継続。戸数に関しても引き続き堅調に推移すると見る」、「法人リフォーム(施設改修)の回復を期待したい」と、大震災からの復興対策の効果、復興需要に期待し、積極的に販売拡大を目指す声が多く聞かれ、戸建分譲住宅部門以外では大幅なプラスの見通しのため、全体としてもプラスが継続・拡大する見通しである。
  • (戸建注文住宅)
  • -実績-
    平成23年度第1四半期(平成23年4~6月)実績の景況判断指数は、前年同期比で受注戸数プラス22ポイント・受注金額プラス25ポイントと、受注戸数・金額ともに7期連続プラスという結果であった(前4月度受注戸数プラス3・受注金額プラス13)。
    コメントでは、「震災以降、見込み客の動き遅い」、「前年比は、棟数・金額ともに減少、前期比は棟数・金額ともに増加」、「神奈川方面鈍い」、という声もあるが、「制震住宅への購買意欲の高まりを受け受注増を維持、エコポイント終了の駆け込み注文もあり」、「特に、東北エリア、北関東で受注増」、「対前年レベルが高い中、微増ながら増加傾向を維持」、「4月は震災の影響を感じたが、5月以降は落ち着いてきた」、といったプラス基調が鮮明な企業が多く見られ、前年比マイナスという企業は16社中2社のみという状況である。
  • -見通し-
    平成23年度第2四半期(平成23年7~9月)の見通しは、受注戸数・受注金額ともにプラス56ポイントと、大幅なプラスが継続するとの見通しとなった。
    コメントでは、「住宅エコポイント終了に伴う消費者のマインド低下を危惧」、「厳しい状況は続く。より慎重になり、決断が長期化していくが住宅に対する優遇施策の前倒しなどで対象物件は増える」、「引き続き対前年のレベルが高いが増加傾向を維持したい」、「1Q同様、単価上昇の傾向は継続」、「千葉、茨城での伸びを期待」、「7月発売の新商品効果を見込む」、「全社的な販売拡大キャンペーン、各地区でも独自の販売促進策を実施」といった、各種の経済支援策の期限切れなどの懸念材料を踏まえつつ、新商品発売や、イベントの開催など受注の増大に向けた積極的な姿勢が見られ、プラス幅の更なる拡大を目指す見通しを立てている。
  • (戸建分譲住宅)
  • -実績-
    平成23年度第1四半期(平成23年4~6月)実績の景況判断指数は、受注戸数・受注金額ともにプラス18ポイントと、6期ぶりにプラス回復となった(前4月度受注戸数・受注金額ともにマイナス20)。
    コメントでは、「前年比・前期比で棟数・金額ともに増加」、「市場環境が厳しいながらも順調に販売」、「やや回復基調である」といった回復基調が鮮明な企業と、「分譲在庫減少により、受注戸数減」、「不動産の動きが低調のため伸びず」と、マイナス基調の企業が両極端に分かれている。全体的な指数としては前年比プラスという結果になった。
  • -見通し-
    平成23年度第2四半期(平成23年7~9月)の見通しは、受注戸数・受注金額ともにマイナス5ポイントと、マイナスに転落するとの見通しである。
    コメントでは、「競争激化ながらも底堅く推移」、「棟数を増やしたい」、「全社的な販売拡大キャンペーンを実施」といった、積極的に販売拡大を図るコメントの企業も見られるが、「回復の兆しは未だ見えず前年程度までくれば上々と予測」との、やや弱気なコメントが見られ全体としては、プラス基調とマイナス基調の企業が同数であるが、指数としてはマイナスの見通しである。
  • (低層賃貸住宅)
  • -実績-
    平成23年度第1四半期(平成23年4~6月)実績の景況判断指数は、受注戸数プラス23ポイント・受注金額プラス32ポイントと、戸数・金額ともに3期連続してプラスという結果となった(前4月度受注戸数プラス15・受注金額プラス20)。
    コメントでは、「前年並み」という声もあるが、「震災前のイベントによる引き合い増が寄与、3カ月通じて前年比増」、「4月は少し落ちたが5,6月と大きく伸ばした」、「土地所有者の資産承継を動機とした土地活用ニーズは底堅い」、「新商品が起爆剤となり、受注の押し上げに貢献」など、受注金額のプラス基調を感じさせる声が多くあり、前年比マイナスの企業は0社と、全体的にも、戸数・金額ともにプラスが継続する結果となった。
  • -見通し-
    平成23年度第2四半期(平成23年7~9月)の見通しの景況判断指数は、受注戸数プラス41ポイント・受注金額プラス36ポイントと、戸数・金額ともに、更にプラス幅が拡大するとの見通しとなった。
    コメントでは、「8月の受注がキーポイント、戸建注文同様にエコポイント後の投資意欲に注視」、「引き続きエリア密着営業体制を確立し、伸ばしていきたい」、「戸建賃貸・高齢者賃貸住宅の市場開拓」、「7月に防犯配慮仕様の内覧会、9月に現場見学会を行い販売促進を図る」といった、前向きなコメントが多く聞かれ、受注拡大にむけた意欲・期待感を表わしており、プラスが継続・拡大する見通しとなっている。
  • (リフォーム)
  • -実績-
    平成23年度第1四半期(平成23年4~6月)実績の景況判断指数は受注金額がプラス75ポイントと前期に引き続き大幅増という結果であった(前4月度受注金額プラス54)。
    コメントでは、「好調を維持、24か月連続前年比増」、「太陽光発電工事が好調で大幅増に」、「震災により損傷した建物のリフォームや、耐震リフォームが増」、「順調」、「リフォーム市場の拡大を受け、営業増強」、「太陽光、他省エネリフォームのニーズ高い」、「前年比18%増と大きく伸びた」と非常に好調で、回答いただいた14社のうち8社が10%以上良いと答えている。
  • -見通し-
    平成23年度第2四半期(平成23年7~9月)の見通しの景況判断指数は受注金額がプラス75ポイントと、更に好調が継続するという見通しである。
    コメントでは、「好調を維持させたい」、「今後も引き続き好調を見込む」、「太陽光発電工事の継続と改築・改装系工事のアップを目指す」、「引き続き耐震リフォームが増加し、受注は堅調に推移すると予想」、「引き続き好調を維持」、「太陽光、他省エネリフォームのニーズ更に高まる」、「前年比20%増の見通し」と、7月末で住宅エコポイント制度が終了するものの、プラス基調のコメントがほとんどである。
  • 新設住宅着工戸数の予測アンケート結果
  • 平成23年度の新設住宅着工戸数の予測については、回答した17社の予測平均値が、総戸数82.6万戸と、22年度比微増という予測結果となった。
    利用関係別では、持家が30.2万戸、分譲住宅18.8万戸、賃貸住宅32.3万戸となっている。
  • 平成23年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果
―回答数―17社―
【単位:万戸】
  総戸数 持 家 分譲住宅 賃貸住宅
平成21年度実績 77.5 28.7 16.4 31.1
平成22年度実績 81.9 30.9 21.2 29.2
平成23年度予測
A社 86 33 25 27
B社 83 31 20 31
C社 83 32 20 30
D社 84.2 30.9 21.3 31
E社 83 31.8 20.7 29.8
F社 85 31 20 33
G社 82 30.9 21.2 29.2
H社 84.5 32.3 23 29.6
I社 86 31 23 31
J社 84 32 21 30
K社 80 30.3 19.8 28.8
L社 81.5 31 25 25
M社 84 32 24 27
N社 80 30 回答なし 回答なし
O社 回答なし 回答なし 回答なし 回答なし
P社 77.4 27.4 23 26.2
Q社 82 30 21 30
R社 85 32 22 30
平 均 82.6 30.2 18.8 32.3


  • 住宅市場について
  • 向こう6ヶ月の住宅市場に関する指標について、各社の経営者にアンケートを行なった。
    その結果は次のとおりである。
  上がる 変わらず 下がる
所得の伸び 0 ( 1 ) 13 ( 13 ) 5 ( 1 )
家賃の動向 1 ( 1 ) 15 ( 10 ) 2 ( 4 )
金利の動向(市中金利) 0 ( 3 ) 18 ( 12 ) 0 ( 0 )
資材価格の動き 12 ( 13 ) 5 ( 2 ) 1 ( 0 )
建築の手間賃 3 ( 1 ) 13 ( 12 ) 2 ( 2 )

  上がる 安定化 下がる
地価の動向(住宅地) 2 ( 3 ) 10 ( 8 ) 6 ( 4 )

  増える 変わらず 減る
展示場来場者数 4 ( 3 ) 10 ( 11 ) 3 ( 1 )

  過剰 充足 不足
技能職人数(大工) 0 ( 1 ) 14 ( 13 ) 3 ( 1 )

( )内は、平成24年1月度調査時の数値である。
  • 指標の動向について
  • 1)「所得の伸び」では、「変わらず」が13社だが、「下がる」が5社に増え、現状維持から減少傾向が見られる。
  • 2)「家賃の動向」は、「変わらず」が15社に増加し、「下がる」が2社と減少しており、現状維持の傾向が強まった。
  • 3)「金利の動向」では、「変わらず」と18社すべてが回答しており、金利については、現状維持の傾向が強まった。
  • 4)「資材価格の動き」では、「上がる」が12社に微減、「変わらず」が5社、「下がる」は1社となった。資材価格は上昇傾向が継続している。
  • 5)「建築の手間賃」は、「変わらず」が13社と大勢を占め、「上がる」との判断は3社と微増したが、現状維持傾向が続いている。
  • 6)「地価の動向」では、「下がる」の回答が6社と増え、「上がる」が2社と微減、「安定化」は10社と微増しており、若干下落感が表れている。
  • 7)「展示場来場者数」は、「変わらず」が10社に微減、「増える」が4社、「減る」が3社と微増しており、全国的には、弱含みの横ばい傾向。
  • 8)「技能者人数(大工)」では、多くの企業は「充足」(14社)であり、「不足」は3社と微増だが、現状でほぼ充足しているとの判断である。
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