平成23年10月度 『景況判断指数からみた傾向』

  • 平成23年10月度 『景況判断指数からみた傾向』
  • (戸建注文・分譲住宅と低層賃貸住宅の総計)
  • -実績-
    平成23年度第2四半期(平成23年7~9月)実績の景況判断指数は前年同期比で、総受注戸数プラス20ポイント・総受注金額プラス30ポイントと、受注戸数は前期に続きプラスを継続し、受注金額は7期連続してプラスという結果であった(前7月度総受注戸数プラス32・総受注金額プラス50)。
    戸建注文住宅部門のプラス幅が一桁に減少したが、前7月期に続いて全部門が前年同期比プラスという結果が全体的な傾向を表している。
    この実績に対するコメントでは、「7月度受注が芳しくなく、3カ月累計で伸びず。次期への足掛かり良く期待できる」、「それぞれにアップ要因なく、現状維持」、「対前年レベルが高い中、横ばいで推移」といった足踏みを感じさせる声もあるが、「東北エリアの受注増が寄与し、対前年を上回る」、「8~9月は前期を上回る水準だった。7月以降の急激な円高進行や、株価下落を背景とした景気先行き不安から、想定より消費マインドは低い」、「第1四半期同様、復興需要が、全体受注を押し上げた形となった。また、太陽光発電システム・エネファームの搭載比率は計画通りに推移しており、単価の上昇に寄与している」、「回復基調が見てとれる」、「需要が戻りつつある」、など、全体的に復興需要を取り込んで、プラス基調が継続しているとのコメントが多く見られた。
  • -見通し-
    平成23年度第3四半期(平成23年10~12月)見通しの景況判断指数は、総受注戸数プラス50ポイント・総受注金額プラス47ポイントと、受注戸数・金額ともに、引き続き大幅なプラスとの見通しとなった(前7月度総受注戸数プラス54・総受注金額プラス61)。
    この見通しについてのコメントは、「復興需要は継続するものの、住宅取得促進政策の終了・縮小、また、世界的な景気減速により、市場環境は楽観視できない状況」、「市況はしばらくこの傾向が続くものと考えられ、各種支援策の決定時期や内容により顧客のマインドは左右されると考える」としながらも、「市況の見通しが厳しいが、得意分野に注力し、地道に営業力を強化していく」、「各種イベント等の実施にも、気候良く、顧客が動くタイミング。エコポイント復活案にも期待」、「確実に目標をクリアしたい」、「フラット35Sが間に合った人や、年内の贈与特例を見越した受注が続く」、「エコポイント復活等による需要喚起による上昇基調を見込む」と、大震災からの復興対策の効果、復興需要に期待する声が多く聞かれ、全部門で大幅なプラスの見通しのため、全体としてもプラスが継続・拡大する見通しである。
  • (戸建注文住宅)
  • -実績-
    平成23年度第2四半期(平成23年7~9月)実績の景況判断指数は、前年同期比で受注戸数プラス9ポイント・受注金額プラス6ポイントと、受注戸数・金額ともにプラス幅が一桁に減少したが8期連続プラスを維持した(前7月度受注戸数プラス22・受注金額プラス25)。
    コメントでは、「単価が下がっている」、「震災以降の見込み客の動きまだ鈍い」という声や、「各種補助制度、エコポイント等の支援が終了し、受注は苦戦するが前年並みを維持」、「前年比は、棟数減少・金額増加。前期比は棟数・金額ともに増加」「対前年レベルが高い中、横ばいで推移」、「フラット35S金利優遇幅拡大の終了に伴う駆け込み需要の取り込みや、住宅の安全性・省エネに対する意識の高まりが受注を下支え」、「東北エリアの受注増加もあり、対前年を上回る」、「受注単価が伸びた」、といった現状維持やプラス基調の企業とのバラつきが見られ、若干足踏み感が表れている。
  • -見通し-
    平成23年度第3四半期(平成23年10~12月)見通しは、受注戸数・受注金額ともにプラス44ポイントと、プラス幅が拡大するとの見通しとなった(前7月度受注戸数・受注金額ともにプラス56)。
    コメントでは、「新商品等の施策浸透により受注増」、「各種政策の動向により、様子見の顧客が増加すると予想されるが、省エネ・耐震性へのニーズにより対前年5%程度の増加を予想」、「蓄電池を含めた建物の販売を開始。販売拡大キャンペーンを実施」、「市況の見通しが厳しいが、得意分野に注力し、地道に営業力を強化していく」、「復興需要が受注を下支えすると見込むが、被災地以外のエリアにおいても、前年並みの受注を見込む」、「受注単価を伸ばしたい」、「外的なアップ要因見込めず。独自の販促を推進」といった、新商品発売や、イベントの開催等受注の増大に向けた積極的な姿勢が見られ、プラス幅の更なる拡大を目指す見通しを立てている。
  • (戸建分譲住宅)
  • -実績-
    平成23年度第2四半期(平成23年7~9月)実績の景況判断指数は、受注戸数・受注金額ともにプラス21ポイントと、2期続けてプラス実績となった(前7月度受注戸数・受注金額ともにプラス18)。
    コメントでは、「土地購入者のマインド低下が続き回復気配は弱い」、「液状化の影響で、沿岸部の分譲地が販売苦戦」と、マイナス基調の企業と「前年比・前期比で棟数・金額ともに増加」、「市場回復基調である」といった回復基調が鮮明な企業が両極端に分かれているが、好調企業が多く見られ全体的な指数としては前年比プラスという結果になった。
  • -見通し-
    平成23年度第3四半期(平成23年10~12月)の見通しは、受注戸数プラス21ポイント・受注金額プラス13ポイントと、プラスが継続するとの見通しである(前7月度受注戸数・受注金額ともにマイナス5)。
    コメントでは、「回復まで、まだ少し時間がかかる見通し」という声もあるが、「各種政策の動向により、様子見の顧客が増加すると予想されるが、省エネ・耐震性へのニーズにより対前年5%程度の増加を予想」、「エリア管理を徹底して、ニーズの高いエリアでの土地取得を推進。戸建分譲は10月以降も順調に伸びる見通し」、「大手デベロッパーの供給増」といった、積極的に販売拡大を図るコメントの企業も見られ、全体としては、好調企業が牽引し指数としてもプラスの見通しである。
  • (低層賃貸住宅)
  • -実績-
    平成23年度第2四半期(平成23年7~9月)実績の景況判断指数は、受注戸数プラス18ポイント・受注金額プラス41ポイントと、戸数・金額ともに4期連続してプラスという結果となった(前7月度受注戸数プラス23・受注金額プラス32)。
    コメントでは、「7月度に前年を割り込み、7~9月トータルで戸数はマイナス」という声もあるが、「足元の9月は10%以上の伸び」、「新商品効果もあり、対前年を上回る」、「復興住宅の建設が上乗せとなり、前年比大幅増となった」、「全般的に増加傾向を維持」、「高専賃の需要が高まる」、「土地所有者の資産承継を動機とした土地活用ニーズは底堅い」など、プラス基調を感じさせる声が多くあり、全体的にも、戸数・金額ともにプラスが継続する結果となった。
  • -見通し-
    平成23年度第3四半期(平成23年10~12月)見通しの景況判断指数は、受注戸数・受注金額ともにプラス36ポイントと、戸数・金額ともにプラスが継続するとの見通しとなった(前7月度受注戸数プラス41・受注金額プラス36)。
    コメントでは、「上向きの傾向あり、増加予測」、「各種政策の動向により、様子見の顧客が増加すると予想されるが、省エネ・耐震性へのニーズにより対前年5%程度の増加を予想」、「9月末よりECO仕様を新たに追加、防犯仕様と両輪で販売拡大を図る」、「引き続きエリア密着営業体制を確立し、さらに伸ばしていく」、「高齢者賃貸住宅の需要ますます高まる」といった、前向きなコメントが多く聞かれ、受注拡大にむけた意欲・期待感が表われている。
  • (リフォーム)
  • -実績-
    平成23年度第2四半期(平成23年7~9月)実績の景況判断指数は受注金額がプラス54ポイントと前期に引き続き大幅増という結果であった(前7月度受注金額プラス75)。
    コメントでは、「震災以降の見込み客の動きまだ鈍い」との声もあるが、「金額ベースでは、2年ぶりに0成長となったが、件数は伸びており堅調を維持」、「好調に推移」、「リフォーム工事需要は底堅いものがあり、前年比約15%の伸びであった」、「太陽光発電工事が急増し、増加傾向を維持」、「リフォーム市場の拡大および営業増強により、引き続き好調を維持」、「大型物件が受注増」、「震災に関する引き合いが続いている」と好調に推移しており、回答いただいた14社のうちマイナス基調の企業は0社という状況である。
  • -見通し-
    平成23年度第3四半期(平成23年10~12月)見通しの景況判断指数は受注金額がプラス75ポイントと、更に好調が継続するという見通しである(前7月度受注金額プラス75)。
    コメントでは、「引き続き好調を維持」、「省エネ・耐震性リフォームを見込み対前年を上回る」、「リフォーム需要は当面旺盛で、前年比10%以上の伸びが予想される。当社では18~19%を想定している」、「リノベーション工事アップに注力し、さらに伸ばしていく」、「引き続き好調を見込む」、「耐震リフォーム市場に期待」、「暑さが和らぎ、季節が良くなってからの工事が増える」、「エコポイント復活による需要喚起期待」と、住宅エコポイント制度の復活への期待もあり、プラス基調のコメントがほとんどである。
  • 新設住宅着工戸数の予測アンケート結果
  • 平成23年度の新設住宅着工戸数の予測については、回答した17社の予測平均値が、総戸数84.2万戸(前7月度82.6万戸)という予測結果となった。
    利用関係別では、持家が31.5万戸(前7月度30.2万戸)、分譲住宅21.3万戸(同18.8万戸)、賃貸住宅29.7万戸(同32.3万戸)となっている。
  • 平成23年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果
―回答数―17社―
【単位:万戸】
  総戸数 持 家 分譲住宅 賃貸住宅
平成21年度実績 78 29 16 31
平成22年度実績 82 31 21 29
平成23年度予測
A社 87 32 27 27
B社 85 32 21 31
C社 86 33 12 30
D社 85.1 30.9 21.3 32
E社 83 31.8 11.8 29.8
F社 85 31 20 33
G社 82 30.9 21.2 29.2
H社 84.5 32 21 31
I社 88 32 24 31
J社 83 31 21 30
K社 86 33 23 29
L社 81.5 31 25 25
M社 84 32 23 28
N社 82 31 21 29
O社 回答なし 回答なし 回答なし 回答なし
P社 84.1 30.7 23.5 29.1
Q社 82 30 21 30
平 均 84.2 31.5 21.3 29.7
(*)平均値については、それぞれ最大値及び最小値を除いて算出した。
  • 住宅メーカーの経営指標について
  • 向こう6カ月の住宅市場に関する指標について、各社の経営者にアンケートを行なった。
    その結果は次のとおりである。
  増やす 変わらず 減らす
拠点展開(展示場含む) 7 ( 5 ) 11 ( 13 ) 0 ( 0 )
生産設備(工場を含む) 1 ( 0 ) 17 ( 11 ) 0 ( 0 )
新商品開発 10 ( 10 ) 8 ( 8 ) 0 ( 0 )
販売用土地
(分譲住宅用地含む)
10 ( 10 ) 6 ( 6 ) 1 ( 1 )
新規採用人数
(18年度下半期採用数)
10 ( 11 ) 8 ( 7 ) 0 ( 0 )
広告宣伝費 6 ( 6 ) 12 ( 12 ) 0 ( 0 )

( )内は、平成23年4月度調査時の数値である。
  • 指標の動向について
  • 1)「拠点展開」は、11社が「変わらず」、と回答したが、「増やす」が7社と増えており、販売体制の強化に積極性が感じられる。
  • 2)「生産設備」は、17社が「変わらず」と回答し、設備投資については、現状維持の姿勢。
  • 3)「新商品開発」は、「増やす」が10社「変わらず」が8社と前回と変わらず、新商品開発の意欲は積極的である。
  • 4)「販売用土地」は、下期に向けて「増やす」が10社と増え、「変わらず」も6社だが、分譲住宅供給の意欲が高まっている。
  • 5)「新規採用人員」は、18社のうち「増やす」10社と微減、「変わらず」が8社と微増、人員体制は、増加傾向が継続している。
  • 6)「広告宣伝費」については、「増やす」が6社、「変わらず」も12社と、前回と変わらず、販売支援体制はやや現状維持の傾向が継続している。
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