平成24年10月度 『景況判断指数からみた傾向』

  • 平成24年10月度 『景況判断指数からみた傾向』
  • (戸建注文・分譲住宅と低層賃貸住宅の総計)
  • -実績-
    平成24年度第2四半期(平成24年7~9月)実績の景況判断指数は前年同期比で、総受注戸数プラス50ポイント・総受注金額プラス61ポイントと、受注戸数は6期連続、受注金額は11期連続してプラスという結果であった(前7月度総受注戸数プラス19・総受注金額プラス22)。
    全部門で前年比二桁増で、プラス幅が拡大している。
    この実績に対するコメントでは、「先行き不透明感が残る。消費税増税に関しての動きもまだ顕著でない」という弱気な声もあるが、「環境型商品が好調。消費税増税の気配感により、市場の動きが活発化の傾向」、「4~6月で長期化していた商談が、7~9月に契約になった影響もあり、受注が上向いた」、「全体的に堅調に推移。受注単価は高水準を維持」、「全事業が前年比増」、「住宅需要層の動きが活発になりつつある」、「堅調に推移」、「好調」など、全体的には市場のプラス基調が継続しているとのコメントが多く見られた
  • -見通し-
    平成24年度第3四半期(平成24年10~12月)見通しの景況判断指数は、総受注戸数プラス54ポイント・総受注金額プラス61ポイントと、受注戸数・金額ともに引き続き大幅なプラスの見通しとなった(前7月度総受注戸数プラス53・総受注金額プラス50)。
    この見通しについてのコメントは、「基本的には傾向は変わらないと見ている。消費税増税に関しての動きも年明け以降とみている」、「補助金や住宅政策の後押しが少ないため、商品や販売力強化で受注増を図る」、「新発売商品や創立記念関連の各種キャンペーン等により受注改善を見込む」、「引き続き好調」、「増税対策に着手する」、「堅調に推移」、「上昇基調を見込む」、「前期同様、単価上昇傾向は継続。受注戸数については、前期同様に堅調に推移。なお、消費増税前の駆け込み需要は、国策確定後2014年1月以降に本格的に増加すると見込まれる」と、当面は堅調に推移するとの声が多く聞かれ、全部門の見通しがプラスのため、全体としてもプラスが継続・拡大する見通しである。
  • (戸建注文住宅)
  • -実績-
    平成24年度第2四半期(平成24年7~9月)実績の景況判断指数は、受注戸数プラス33・受注金額プラス40ポイントと、受注戸数は12期連続してプラスが継続している(前7月度受注戸数・受注金額ともにプラス3)。
    コメントでは、「前年比、前期比で棟数・金額ともに減少」、「商談長期化傾向により前年並み」とのマイナス基調の声もあるが、「商品・販売戦略等により前年同期比プラス」、「全国的に受注環境が改善」、「好調」、「多摩、神奈川エリアが好調」、「人員増強等の効果が寄与」、「第1Q後半からの好調をキープ」、「消費増税前の駆け込み需要はまだ顕在化していなく、市場環境が堅調に推移。一方、環境機器搭載率が上がり受注金額は増加」など、全体的にはプラス基調が継続しているとの声が多く、戸数・金額ともに大幅なプラスになった。
  • -見通し-
    平成24年度第3四半期(平成24年10~12月)見通しの景況判断指数は、受注戸数・受注金額ともにプラス50ポイントと、戸数・金額ともにプラスが継続・拡大するとの見通しとなった(前7月度受注戸数プラス47・受注金額プラス43)。
    コメントでは、「受注戸数は消費増税前の駆け込みの影響は少なく堅調に推移し、受注金額は環境意識の高まりにより引き続き増加する」、「大型イベント等による受注の押し上げに期待感強まる」、「10月リニューアルの企画商品効果で受注増」、「各種施策により好調を持続」、「消費税増税の情報収集でユーザーの動き活発に」といった新商品、イベントの開催等、受注の増大に向けた動きを活発化しているが、「消費税率の引き上げに伴う負担軽減策が未決定のため、様子見のお客様が多い。駆け込み需要に至るにはまだ時間がかかると思われる」、「対前年は超えそうだが、金利動向次第で楽観できない」、「増税対策を開始するが、成果は来年度に」、「7~9月の敷地調査依頼がプラス10%につき伸びる見通しを立てている。しかし経済状況の不透明感が強まってきているので不安は残るし、楽観できない」といった、今後の消費税増税の影響を懸念した不安の声もあり、全体としては当面プラス基調の継続・拡大を目指す見通しを立てている。
  • (戸建分譲住宅)
  • -実績-
    平成24年度第2四半期(平成24年7~9月)実績の景況判断指数は、受注戸数プラス38・受注金額プラス29ポイントと、プラスが継続した(前7月度受注戸数・受注金額ともにプラス19)。
    コメントでは、「昨年度下期以降の積極的な土地の仕入れにより受注増」、「前年比、前期比で棟数・金額ともに増加」、「前年同期比割れとなったが、単月では回復傾向もあり」などの声があり実績的には二極化しているが、前年比10%以上良い企業が多く、全体的な指数としてはプラスが継続という結果になった。
  • -見通し-
    平成24年度第3四半期(平成24年10~12月)見通しの景況判断指数は、受注戸数プラス42・受注金額プラス38ポイントと、プラスが継続するとの見通しである(前7月度受注戸数・受注金額ともにプラス42)。
    コメントでは、「新規仕入れ案件の回転が始まる」、「昨年度下期以降の積極的な土地の仕入れにより、受注増」、「人気のあるエリアの土地を取得して販売しているので、今後も伸びが期待できる」、「小規模分譲地から順次販売開始」など、再来年に実施される消費税率の引き上げを睨んで積極的に土地の仕入れを図るコメントの企業が多く見られ、全体としても、プラスが継続・拡大するとの見通しである。
  • (低層賃貸住宅)
  • -実績-
    平成24年度第2四半期(平成24年7~9月)実績の景況判断指数は、受注戸数プラス50ポイント・受注金額プラス54ポイントと、戸数・金額ともに8期連続し、大幅なプラスという結果となった(前7月度受注戸数プラス50・受注金額プラス54)。
    コメントでは、「戸建貸家の比率増の影響で戸数、金額とも減少」という声もあるが、「イベント等による受注増加で、好調を維持」、「3階建てが順調に増え受注に寄与」、「好調」、「アパートからサービス付き高齢者向き住宅へ」、「土地所有者の資産承継を動機とした土地活用ニーズは底堅い」、など、プラス基調を感じさせる声が多く、受注戸数・金額ともに10%以上良い企業が回答社の半分以上という実績で、戸数・金額ともにプラスが継続・拡大する結果となった。
  • -見通し-
    平成24年度第3四半期(平成24年10~12月)見通しの景況判断指数は、受注戸数・受注金額ともにプラス58ポイントと、戸数・金額ともにプラスが継続・拡大するとの見通しとなった(前7月度受注戸数プラス38・受注金額プラス42)。
    コメントでは、「戸建貸家比率増の影響が継続する見通し」、「対前年は超えそうだが、金利動向次第で楽観できない」といったやや弱気なコメントもあるが、「イベント開催・相続税増税対策により活況化の気配」、「イベント館への動員が好調、来場者からの受注獲得が見込まれる」、「新商品を投入」「サービス付き高齢者賃貸住宅の需要ますます高まる」といった、前向きなコメントが多く聞かれ、受注拡大にむけた意欲・期待感が強く表われている。
  • (リフォーム)
  • -実績-
    平成24年度第2四半期(平成24年7~9月)実績の景況判断指数は受注金額がプラス60ポイントと前期比大幅増が継続している(前7月度受注金額プラス50)。
    コメントでは、「再生可能エネの全量買い取りによる太陽光リフォームが好調」、「省エネ・創エネリフォーム需要により受注増」、「住宅の築20年以上の建物における設備の取替工事が増加。集合住宅リフォームも空室活用等の補助金制度、太陽光発電の設置で伸びた」、「LDKの全面改装なども増加」、「関西エリア、戸建ユーザーが好調」、「好調に増加」、「太陽光、耐震関連の受注が伸びた」、「リフォーム市場の拡大を受け営業増強」と、好調なコメントが多く見られ、回答いただいた15社中11社が5%以上良いという状況である。
  • -見通し-
    平成24年度第3四半期(平成24年10~12月)見通しの景況判断指数は受注金額がプラス67ポイントと、更に好調が継続するという見通しである(前7月度受注金額プラス68)。
    コメントでは、「太陽光リフォームによる受注押し上げの継続」、「7~9月に引き続き受注増を見込む」、「住宅の設備取替え、集合住宅の太陽光発電の設置が伸びると予想。集合住宅リフォームに空室活用等の補助金制度があり堅調に推移すると予想」、「大型改装工事、太陽光発電工事を中心に増加見込み」、「組織体制を変更し受注を促進」、「リフォーム事業強化策を維持」、「太陽光、耐震診断の需要さらに伸びる」、「今後も引き続き好調を見込む」など、体制強化、支援制度の効果やリフォーム工事の大型化を期待する声が多く聞かれ、プラス基調のコメントがほとんどである。
  • 新設住宅着工戸数の予測アンケート結果
  • 平成24年度の新設住宅着工戸数の予測については、回答した16社の予測平均値が、総戸数86.4万戸(前7月度86.1万戸)という前回から微増の予測結果となった。
     利用関係別では、持家が31.7万戸(前7月度31.5万戸)、分譲住宅24.6万戸(同24.5万戸)、賃貸住宅29.5万戸(同29.3万戸)となっている。
  • 平成23年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果
―回答数―16社―
【単位:万戸】
  総戸数 持 家 分譲住宅 賃貸住宅
平成21年度実績

78

29 16 31
平成22年度実績 82 31 21 29
平成23年度実績
(H23.4~H24.2)
84.1 31.5 22.9 28.8
平成24年度予測
A社 87 31 25 30
B社 85 32 24 28
C社 87 32 24.4 29.9
D社 86.9 31.9 24.2 30
E社 84.1 30.5 23.9 29
F社 88 31 26 32
G社 85 31 24 29.3
H社 89 34 25 29.4
I社 88 32 25 30
J社 86 32 25 28
K社        
L社 90.5 35 30 25
M社 86 31 24.2 30
N社 83 31 回答なし 回答なし
O社 回答なし 回答なし 回答なし 回答なし
P社 84.1 29.4 24.4 29.6
Q社 85.5 31 24 30
R社 88 33 24 30
平 均 86.4 31.7 24.6 29.5
(*)平均値については、それぞれ最大値及び最小値を除いて算出した。
  • 住宅メーカーの経営指標について
  • 向こう6カ月の住宅市場に関する指標について、各社の経営者にアンケートを行なった。
    その結果は次のとおりである。
  増やす 変わらず 減らす
拠点展開(展示場含む) 7 ( 9 ) 10 ( 8) 0 ( 0 )
生産設備(工場を含む) 2 ( 2 ) 15 ( 15 ) 0 ( 0 )
新商品開発 8 ( 8 ) 9 ( 9 ) 0 ( 0 )
販売用土地
(分譲住宅用地含む)
11 ( 11 ) 4 ( 5 ) 0 ( 1 )
新規採用人数
(24年度下半期採用数)
10 ( 10 ) 7 ( 7 ) 0 ( 0 )
広告宣伝費 4 ( 5 ) 13 ( 12 ) 0 ( 0 )

( )内は、平成24年4月度調査時の数値である。
  • 指標の動向について
  • 1)拠点展開」は、「変わらず」が10社に増え、「増やす」が7社と前回よりやや減少したが、拠点展開はまだ強気だと感じられる。
  • 2)生産設備」は、15社が「変わらず」と回答し、設備投資については、現状維持の姿勢。
  • 3)新商品開発」は、「増やす」が8社、「変わらず」が9社と変わらず、新商品開発の意欲は前向きの傾向である。
  • 4)「販売用土地」は、下期に向けて「増やす」が11社と変わらず、消費増税対策も睨んで、分譲住宅供給に向けた土地取得意欲が高まっている。
  • 5)「新規採用人員」は、17社のうち「増やす」10社、「変わらず」が7社と人員体制は、増加傾向が継続している。
  • 6)「広告宣伝費」については、「増やす」が4社と微減、「変わらず」は13社と微増、販売支援体制はやや現状維持の傾向が継続している。
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