平成27年7月度 『景況判断指数からみた傾向』
- 平成27年7月度 『景況判断指数からみた傾向』
- 総計
- -実績-
平成27年度第1四半期(平成27年4~6月)実績の景況判断指数は前年同期比で、総受注戸数プラス47ポイント・総受注金額プラス53ポイントと、受注戸数・受注金額ともに3四半期連続で大幅なプラスとなった(前4月度総受注戸数プラス43・総受注金額プラス46)。
この実績に対するコメントでは、「顧客の商談が長期化した影響もあり、注文住宅の受注は予想以上に厳しかった」、「前年度下期から市場環境に大きな変化はない。依然、お客様は決断を急がず慎重に検討しようとする傾向が強い。集客は前年並みになってきており総じて検討度合いが高いお客様も多くなってきている」、「下降気味」としながらも、「イベント・セミナー等の引き合いが受注に繋がった。市場の受注環境・顧客の消費マインドの回復は厳しさが続いているが、大型物件の受注で金額を伸ばした」、「昨年の消費税増税後の反動減と比較して回復」、「消費税増税以降の反動減の底打ち感があり、市況は徐々に回復している模様」、「新築をリフォームがカバー」、「反動減からの回復、自社の各種施策効果が出てきた」、「昨年比では増加傾向だが、増税前には戻らない」、など、全体的に回復基調が明確だが、まだ本格的な回復とは言えないとのコメントが多く見られた。
- -見通し-
平成27年度第2四半期(平成27年7~9月)見通しの景況判断指数は、総受注戸数プラス57ポイント・総受注金額プラス60ポイントと、戸数・金額ともにプラスが継続・拡大する見通しとなった(前4月度総受注戸数プラス50・総受注金額プラス56)。
この見通しについてのコメントでは、「昨年比では増加傾向だが、増税前には戻らない」、「特別な増加は見込めない」、「新築をリフォームがカバーする構図は変わらず」といった声もあるが、「各セグメントとも比較的堅調に推移する予定。新商品・大型受注など、内部政策が功を奏する」、「低金利の住宅ローンや政府の住宅取得支援策、ZEH補助金など、建て時であることに変わりはない。販促活動を強化し受注につなげていきたい」、「前四半期に続き消費税増税以降の反動減の底打ち感があり、市況は徐々に回復している模様」、「昨年の消費税増税後の反動減と比較して回復」、「もうしばらくこの傾向が続くと考えられるが徐々に回復に向かう」、など、回復基調が継続しているとのコメントが多く聞かれ、今後更なる回復を期待している。
- (戸建注文住宅)
- -実績-
平成27年度第1四半期(平成27年4~6月)実績の景況判断指数は、受注戸数プラス28ポイント・受注金額プラス38ポイントと、受注戸数・金額ともに前四半期に続きプラスが継続した(前4月度受注戸数プラス19・受注金額プラス30)。
コメントでは、「顧客の商談が長期化した影響もあり、注文住宅の受注は予想以上に厳しかった」、「集客は回復基調だが、受注には結びついていない」、「少し減少気味」、「受注対象の顧客を決めきれず前年微増にとどまった」という声や、「イベント等が成果につながった。ZEH補助金が寄与」、「棟数・金額ともにプラス」、「昨年の消費税増税後の反動減と比較して回復」、「消費税増税以降は回復の判断をしづらい状況が続いていたが、増税に伴う駆け込み需要前と比較しても、プラスの水準となっていることから底打ち感が見られる」、「反動減からの回復、キャンペーンによる効果」、「見込顧客が増え回復傾向にある」など、各社の反応はばらついており、昨年の反動減との比較でプラスではあるが、まだ本格的な回復とは言えないのではないかとの声が聞かれる。
- -見通し-
平成27年度第2四半期(平成27年7~9月)見通しの景況判断指数は、受注戸数プラス56ポイント・受注金額プラス59ポイントと、戸数・金額ともにプラスが継続・拡大するとの見通しとなった(前4月度受注戸数プラス56・受注金額プラス60)。
コメントでは、「大きな回復は期待できない」、「増税前には戻らず、しばらく横ばいの見込み」、「10%減少予想」という声もあるが、「低金利、フラット35S、ZEH補助金などを訴求し、前年を上回る受注を目指す」、「消費税増税の反動は依然としてあるが、政府の負担軽減策、住宅ローンの低金利、株価の上昇等のプラス要素が多くなっていることから、前向きに検討を始めるお客様が増えてくると考える」、「昨年の消費税増税後の反動減と比較して回復」、「前四半期から市況は回復の兆しが見られ、前年度のハードルも低いことから大幅プラスとなる見込み」、「展示場記名、敷地調査などの先行指標は徐々に上向いてきている」、「新しい商品や技術要素等の投入により、成長期待」など、前年の反動減との対比でもあり、回答した企業のほとんどが5%以上良くなりそうと答えており、受注拡大に向けたコメントが多く聞かれる。
- (戸建分譲住宅)
- -実績-
平成27年度第1四半期(平成27年4~6月)実績の景況判断指数は、受注戸数プラス50ポイント・受注金額プラス59ポイントと、受注戸数・金額ともに1年ぶりにプラスに回復した(前4月度受注戸数マイナス9・受注金額マイナス5)。
コメントでは、「分譲物件数を確保していたこともあり、計画通り推移した」、「物件の回転が始まり、プラスに転じた」、「棟数・金額ともにプラス」、「キャンペーンによる効果」など、全体的に回復基調が鮮明で前向きな声が聞かれた。
- -見通し-
平成27年度第2四半期(平成27年7~9月)見通しの景況判断指数は、受注戸数・受注金額ともにプラス46ポイントと、プラスが継続するとの見通しである(前1月度 受注戸数・受注金額ともにプラス18)。
コメントでは、「消費税増税の反動は依然としてあるが、政府の負担軽減策、住宅ローンの低金利、株価の上昇等のプラス要素が多くなっていることから、前向きに検討を始めるお客様が増えてくると考える」、「在庫物件の回転や新規案件により伸長を維持」、「引き続き、安定的に分譲物件を確保し販売に努める」など、受注拡大に向けた前向きな声が多く聞かれ、全体的な指数としてもプラスが継続するとの見通しである。
- (低層賃貸住宅)
- -実績-
平成27年度第1四半期(平成27年4~6月)実績の景況判断指数は、受注戸数プラス54ポイント・受注金額プラス63ポイントと、受注戸数・受注金額ともに3四半期続けて大幅なプラスが継続するという結果となった(前4月度受注戸数プラス50・受注金額プラス58)。
コメントでは、「賃上げの影響により、一時的に受注が落ち込む」という声もあるが、「引き続き堅調。相続対策・低金利・株高等好調要因が後押し」、「引き続き、相続対策としての賃貸住宅の建設需要が根強かった」、「低金利と相続税対策で好調に推移」、「前年度の増税後の反動減があったことに加えて相続税の改正を受けて市況は良く、前年比は大幅プラス」、「戸数・金額ともにプラス」、「見込顧客が増え回復傾向にある」、など、相続対策、低金利などの要因でプラス基調のコメントが多く、受注戸数・受注金額ともに大幅なプラスが継続している。
- -見通し-
平成27年度第2四半期(平成27年7~9月)見通しの景況判断指数は、受注戸数・受注金額ともにプラス54ポイントと、戸数・金額ともに好調にプラスが継続するとの見通しである(前4月度受注戸数プラス50・受注金額プラス54)。
コメントでは、「景況感良く、投資意欲が高水準で推移する予定」、「引き続き相続対策としての賃貸住宅建設を訴求していく」、「空き家の固定資産税軽減解除と相続税対策が引き続き需要を底堅くけん引する見込み」、「引き続き低金利を背景として好調を予想」、「相続税改正を受けて市場は良く、前年度の反動減も大きいため、前年比は大きくプラスとなる見込み」、「受注さらに上向き予想」など、相続税対策としての投資需要、低金利の継続などを背景とした景況感が良く、大幅なプラスが継続するとの見通しである。
- (リフォーム)
- -実績-
平成27年度第1四半期(平成27年4~6月)実績の景況判断指数は受注金額がプラス63ポイントと、前四半期に続きプラスが継続した(前4月度受注金額プラス36)。
コメントでは、「省エネ住宅ポイントなどの支援策が後押しとなり、堅調に推移した」、「昨年度第4四半期を底に本年度は回復傾向が見られ、4月、5月、6月と上昇傾向にある。築年数20年以上の建物におけるリフォームが顕著に回復している」、「大型受注で金額が伸びた」、「昨年の消費税増税後の反動減から回復が始まった」、「前年度の経過措置後の反動減が大きく、前年比はプラス」、「イベント等での集客好調」、「堅調に推移」、「各種補助金による後押しが受注を押し上げる」、「大型物件多くなった」など、リフォーム支援策を背景に、回復基調が顕著に見られプラスが継続した。
- -見通し-
平成27年度第2四半期(平成27年7~9月)見通しの景況判断指数は受注金額がプラス60ポイントと、プラスが継続するという見通しである(前4月度受注金額プラス64)。
コメントでは、「現状の勢いを維持」、「単価アップの商材無く、横ばいの見通し」、「特別な増加は見込めない」としながらも、「省エネ住宅ポイントを中心に、引き続き顧客へ訴求し前年比プラスを目指す」、「足元の回復傾向が継続、大型リフォームが金額に寄与」、「景気上昇機運のなか、中・高年齢者の高額リフォームの案件が増加傾向。省エネ製品設備機器の採用等単価アップとともに10%以上の上昇が期待される」、「昨年の消費税増税後の反動減と比較して回復」、「前年度のハードルが低いため、前年比はプラスとなる」など、前向きな声が多く聞かれ、プラスが継続・拡大する見通しとなっている。
- 新設住宅着工戸数の予測アンケート結果
- 平成27年度の新設住宅着工戸数の予測については、回答した16社の予測平均値が、総戸数89.6万戸(前4月度88.9万戸)という予測結果となった。
利用関係別では、持家が29.0万戸(前4月度29.5万戸)、分譲住宅24.3万戸(同23.6万戸)、賃貸住宅35.3万戸(同34.7万戸)となっている。
- 平成27年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果
―回答数―16社―
【単位:万戸】
|
総戸数 |
持 家 |
分譲住宅 |
賃貸住宅 |
平成25年度実績 |
98.7 |
35.3 |
25.9 |
37.0 |
平成26年度実績 |
88.0 |
27.8 |
23.6 |
35.8 |
平成27年度予測 |
A社 |
93 |
30 |
25 |
37 |
B社 |
91 |
28.5 |
26 |
36 |
C社 |
89 |
31 |
23.8 |
33.5 |
D社 |
86 |
29 |
21 |
36 |
E社 |
92.4 |
31.4 |
26.6 |
33.7 |
F社 |
91 |
27.5 |
26 |
37 |
G社 |
89 |
29 |
23.5 |
36 |
H社 |
92 |
31.5 |
23.5 |
36.5 |
I社 |
93 |
34 |
25 |
34 |
J社 |
89 |
28 |
24 |
36.5 |
K社 |
75 |
24.5 |
20 |
30 |
L社 |
91 |
28 |
25 |
37 |
M社 |
88.2 |
28 |
23.7 |
35.7 |
N社 |
92.9 |
33.2 |
25 |
34 |
O社 |
記載なし |
記載なし |
記載なし |
記載なし |
P社 |
84.5 |
26 |
23.9 |
33.9 |
Q社 |
85 |
24 |
25 |
35 |
R社 |
記載なし |
記載なし |
記載なし |
記載なし |
平 均 |
89.6 |
29.0 |
24.3 |
35.3 |
- 向こう6カ月間の住宅メーカーの経営指標となる下記の項目について、各社の経営者にアンケートを行なった。その結果は次の通りである。
- 詳細グラフはこちら
|
上がる |
変わらず |
下がる |
所得の伸び |
6 ( 5 ) |
12 ( 12 ) |
0 ( 0 ) |
家賃の動向 |
3 ( 3 ) |
15 ( 14 ) |
0 ( 1 ) |
金利の動向(市中金利) |
5 ( 1 ) |
13 ( 11 ) |
0 ( 6 ) |
資材価格の動き |
9 ( 14 ) |
9 ( 4 ) |
0 ( 0 ) |
建築の手間賃 |
10 ( 14 ) |
8 ( 4 ) |
0 ( 0 ) |
|
上がる |
安定化 |
下がる |
地価の動向(住宅地) |
9 ( 10 ) |
7 ( 7 ) |
1 ( 0 ) |
|
増える |
変わらず |
減る |
展示場来場者数 |
6 ( 8 ) |
9 ( 7 ) |
2 ( 2 ) |
|
過剰 |
充足 |
不足 |
技能職人数(大工) |
0 ( 0 ) |
6 ( 4 ) |
12 ( 14 ) |
( )内は、平成27年1月度調査時の数値である。
- 指標の動向について
- 1) 「所得の伸び」では、12社が「変わらず」と回答し、現状維持の傾向が継続している。
- 2) 「家賃の動向」では、15社が「変わらず」と回答し、現状維持の傾向が継続している。
- 3) 「金利の動向」では、「上がる」が5社、「変わらず」が13社とともに増加、金利は現状維持が強いが、上がるとの見方も表れてきた。
- 4) 「資材価格の動き」では、「上がる」が11社と減り、「変わらず」は9社に増加、資材価格は落ち着いてきたとの傾向が見られる。
- 5) 「建築の手間賃」は、「上がる」が10社に減少、「変わらず」は8社に増加した。手間賃も上昇傾向がやや弱まってきたと見られる。
- 6) 「地価の動向」では、「上がる」9社と微減し、「安定化」は7社と横ばい。地価は安定化傾向が続いている。
- 7) 「展示場来場者数」は、「増える」が6社と減少し、「変わらず」が9社と増加した。横ばい傾向が表れている。
- 8) 「技能者人数(大工)」では、「不足」が12社と減少し、「充足」は6社と増えたが、まだ職人数不足の傾向が続いている。