平成28年1月度 『景況判断指数からみた傾向』

  • 平成28年1月度 『景況判断指数からみた傾向』
  • 総計
  • -実績-
    平成27年度第3四半期(平成27年10~12月)実績の景況判断指数は前年同期比で、総受注戸数マイナス3ポイント・総受注金額±0ポイントと、受注戸数はマイナスに転じ受注金額も減少した(前10月度総受注戸数±0・総受注金額プラス7)。
    この実績に対するコメントでは、「戸建回復で全般的に上向き」、「12月の受注は合計で前年同月比マイナス1%であったが10~12月の累計は前年比プラスで推移している」、「穏やかな改善基調が継続している」など前向きなコメントもあるなか「相続税増税前の駆け込みとなった前年に比してマイナスとなった」、「(お客様の検討水準も比較的高いが)まだじっくり検討しようとするお客様が多い」、「世界的な社会情勢不安に加えて消費増税前の様子見の面もあり消費者の検討期間が延びた」、「昨年比では増加傾向だが増税前には戻らない」、「個人消費は回復傾向ながら市場が大きく復調しているとは言えない。前年水準」など緩やかな改善、回復基調を感じながらも前10月度 同様 完全復調とは言えない状況が続いている。
  • -見通し-
    平成27年度第4四半期(平成28年1~3月)見通しの景況判断指数は、総受注戸数プラス43ポイント・総受注金額プラス39ポイントと、戸数・金額ともにプラスが継続する見通しとなった(前10月度総受注戸数プラス37・総受注金額プラス43)。
    この見通しについてのコメントでは、「穏やかに回復改善傾向が続く」、「徐々に改善して行くと想定している」、「低金利、贈与メリット、再増税の影響により受注は上昇の見通し」、「展示場来場者は増加傾向で内容の濃い商談も増えている」、「反動減からの回復傾向になった前年と同等に推移すると予想」、「企業部門に比べ、個人部門の消費増税反動からの回復は足踏み状態が続いているが住宅市場は、全体として改善に向かう」など前向きな声もあるが、「検討期間の長期化傾向は続き、消費増税前の駆け込みの動きもないのではないか」、「復活の決め手に欠ける」、「戸建注文の減少感が強い」など、完全復調には至らない状況を表わしたコメントも聞かれる。
  • (戸建注文住宅)
  • -実績-
    平成27年度第3四半期(平成27年10~12月)実績の景況判断指数は、受注戸数プラス6ポイント・受注金額プラス10ポイントと、受注戸数・金額ともプラスに回復し(前10月度受注戸数マイナス13・受注金額マイナス10)。
    コメントでは、「棟数は、ほぼ横ばいだが金額はプラス」、「展示場来場者数は回復傾向にあり少しずつ改善化、受注も前年並みを維持」、「前年からは大幅に回復」、「反動減から回復傾向にあった前年同様に推移」、「12月の展示場来場数は前年同月を上回り足元の先行指標には持ち直し感も見られる」、「富裕層は、比較的堅調」など 前向きなコメントもあるなか「海外経済の先行き不透明感や消費増税の様子見もあり、商談期間が長期化している」、「実績は微増に留まり今後の決め手に欠ける」、「秋以降急激に減少している」、「住宅市場は、依然として回復動向が掴みにくい状況である」とのコメントも寄せられた。
  • -見通し-
    平成27年度第4四半期(平成28年1~3月)見通しの景況判断指数は、受注戸数プラス47ポイント・受注金額プラス40ポイントと、戸数・金額ともにプラスが継続するとの見通しとなった(前10月度受注戸数プラス41・受注金額プラス40)。
    コメントでは「消費者マインドは引き続き緩やかに回復していく」、「堅調に回復が続く」、「反動減から回復傾向にあった前年と同様に推移する」、「展示場の来場も好調であり引き続き前年比プラスの見込み」、「集客、敷地調査依頼数がやや盛り返してきた印象」など前向きなコメントも多く聞かれるが、「消費税引き上げ(5%→8%)前に比べて回復していない」、「省エネ住宅ポイントやフラット35Sの金利優遇幅拡大の終了などのマイナス影響が想定される」など住宅市場は厳しい状況が続いているとの見解もある。
  • (戸建分譲住宅)
  • -実績-
    平成27年度第3四半期(平成27年10~12月)実績の景況判断指数は、受注戸数マイナス5ポイント・受注金額プラス10ポイントと、受注戸数は2四半期ぶりにマイナスに転じ、金額も減少する結果となった。(前10月度受注戸数・受注金額ともにプラス20)。
    コメントでは、「棟数、金額ともにマイナスであった」、「面談時間の長期化等もあり前年同期比マイナスとなった」、「不動産購入者は動き始めているが受注は伸ばせず」など厳しい声がある中、戸建分譲事業の強化を新たに図ることにより10%以上の伸びを示した企業もあったが、全体としての受注戸数はマイナスとなった。
  • -見通し-
    平成27年度第4四半期(平成28年1~3月)見通しの景況判断指数は、受注戸数プラス20ポイント・受注金額プラス15ポイントと、下降傾向ではあるがプラスを維持する見通しである(前10月度 受注戸数プラス40・受注金額プラス35)。
    コメントでは、「住宅地価は下げ止まり上昇局面に備えて一時取得者層が徐々に動く」また「引き続き安定的に分譲物件を確保し販売に努める」などがあった。
  • (低層賃貸住宅)
  • -実績-
    平成27年度第3四半期(平成27年10~12月)実績の景況判断指数は、受注戸数はマイナス8ポイント・受注金額もマイナス13ポイントとなり5四半期ぶりのマイナスとなった(前10月度受注戸数プラス17・受注金額プラス29)。
    コメントでは、「相続税増税前の駆け込みとなった前年に比してマイナスとなった」、「前年水準が高くマイナスとなったが堅調な範囲に収まる」など対前年との比較でマイナスを示す企業もあるが「1棟あたりの戸数が多い、比較的高単価の商品受注が増えた」、「12月累計では前期に対して2割増しで推移した」、「案件が増え活性化している」、「営業人員の充足および効率の改善により前期実績の水準まで回復した」、「多層階住宅やサ高住の伸びが堅調」などほとんどのコメントは前向きであった。
  • -見通し-
    平成27年度第4四半期(平成28年1~3月)見通しの景況判断指数は、受注戸数プラス38・受注金額プラス33と、戸数・金額ともにプラス継続の見通しとなった(前10月度受注戸数・受注金額ともにプラス27)。
    コメントでは、「相続税増税後に一段落となった前年に比して同等と予想」、「年初来の株下落により投資意欲は慎重、税制大綱の影響も少なく微増局面を迎える」、「相続税増税後に一段落となった前年に比して同等と予想」など慎重なコメントもあるが「案件は増加傾向にある」、「足元の好調な受注を維持する見通し」、「相続税対策が堅調で消費税前の駆け込みが徐々に増加する見込み」、「前年のハードルが高く前年同期比での大幅アップは見込めないが絶対額で見れば堅調に推移すると見ている」、「外構プラン等グループ部門との連携により独自の受注展開に注力していく」など、第3四半期 実績はマイナスを示したが、第4四半期は堅調に推移しプラスが継続するとの見通しである。
  • (リフォーム)
  • -実績-
    平成27年度第3四半期(平成27年10~12月)実績の景況判断指数は受注金額がプラス13ポイントと、下降気味ながらプラスを維持した(前10月度受注金額プラス20)。
    コメントでは、「反動減からの回復傾向加速によってプラスに推移」、「大規模リフォームの引き合い増加」、「大型リフォームが牽引し受注を押し上げた」、「12月単月は前年比マイナスであったが累計ではプラスを維持している」など前向きなコメントと「前年比5%の低い伸びで戸建リフォームの受注単価は、横ばいからやや下降気味」、「賃貸住宅リフォームの単価は、上昇してきたが太陽光発電の落ち込みを外装のリフォーム等でカバーしている状況」、「省エネ住宅ポイント終了の影響もあり受注が伸びなかった、若干のブレーキ」、「本格的なリノベーションはまだ活性化していない」など、やや厳しいコメントが混在したが、全体の判断指数としては、プラス維持という結果であった。
  • -見通し-
    平成27年度第4四半期(平成28年1~3月)見通しの景況判断指数は受注金額がプラス50ポイントと、引き続きプラスが継続するという見通しである(前10月度受注金額プラス57)。
    コメントでは、「検討期間の長期化傾向で大きな受注増は想定していない」など厳しい声も聞かれたが「引き続き個人住宅リフォーム、大型リノベーション等が受注を牽引する」、「小口のリフォーム受注が増加」、「増税前の水準達成を予想」など、前向きなコメントと「相談会、現場案内等で、前年比プラスを目指す」、「第3四半期末から導入の新商品によって前年比プラスの見込み」、「必要なメンテナンスやリフォーム需要を喚起することで5%程度の伸びは達成できる」など各企業のリフォーム事業に対する意気込みを感じるコメントが多くみられた。
  • 新設住宅着工戸数の予測アンケート結果
  • 平成27年度の新設住宅着工戸数の予測については、回答した16社の予測平均値が、総戸数91.2万戸(前10月度89.8万戸)という予測結果となった。
    利用関係別では、持家が29.2万戸(前10月度29.2万戸)、分譲住宅24.5 (同24.3万戸)、賃貸住宅36.8万戸(同35.7万戸)となっている。
    平成28年度新設住宅着工戸数の見通しは総戸数93.9万戸で、持家31.4万戸、分譲住宅25.9万戸、賃貸住宅36.4万戸と、前年比微増との予測となっている。
  • 平成27年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果
―回答数―16社―
【単位:万戸】
  総戸数 持 家 分譲住宅 賃貸住宅
平成25年度実績 98.7 35.3 25.9 37.0
平成26年度実績 88.0 27.8 23.6 35.8
平成27年度予測
A社 93 30 25 37
B社 92 29 25 37
C社 92 30 24.7 36.9
D社 88 28 22 37.4
E社 92.4 30.6 25.3 36.4
F社 92 29 25 37.5
G社 89 29 23.5 36
H社 92 31.5 23.5 36.5
I社 89 28 25 36
J社 90 28 24 37.5
K社 95 37 23 35
L社 91 28 25 37
M社 92 29 26 37
N社 90 30 25 34.5
O社 回答なし 回答なし 回答なし 回答なし
P社 90.9 28.5 24.2 37.6
Q社 91 28.5 24.1 37.7
R社 回答なし 回答なし 回答なし 回答なし
平 均 91.2 29.2 24.5 36.8


  • 平成28年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果
―回答数―16社―
【単位:万戸】
  総戸数 持 家 分譲住宅 賃貸住宅
平成26年度実績 88.0 27.8 23.6 35.8
平成27年度実績 91.2 29.2 24.5 36.8
平成27年度予測
A社 95 32.5 25 36.5
B社 95 31 26 37
C社 96 33 25.5 37
D社 90 29 21.5 38.5
E社 95.1 31.8 26.6 36.7
F社 96 32 25 38.5
G社 94 31 24.5 38
H社 95 33 24.5 37
I社 94 32 25 37
J社 91 30 36.4 24.1
K社 87 32.5 20 34
L社 100 30 30 40
M社 96 32 38 26
N社 93.5 32 26 35
O社 回答なし 回答なし 回答なし 回答なし
P社 93.8 30.1 23 40.1
Q社 90 26.3 24 39
R社 回答なし 回答なし 回答なし 回答なし
平 均 93.9 31.4 25.9 36.4


  • 住宅市場について
  • 向こう6カ月の住宅市場に関する指標について、各社の経営者にアンケートを行なった。
    その結果は次のとおりである。
  上がる 変わらず 下がる
所得の伸び 5 ( 6 ) 12 ( 12 ) 1 ( 0 )
家賃の動向 1 ( 3 ) 17 ( 15 ) 0 ( 0 )
金利の動向(市中金利) 2 ( 5 ) 16 ( 13 ) 0 ( 0 )
資材価格の動き 6 ( 9 ) 11 ( 9 ) 0 ( 0 )
建築の手間賃 6 ( 10 ) 12 ( 8 ) 0 ( 0 )

  上がる 安定化 下がる
地価の動向(住宅地) 6 ( 9 ) 11 ( 7 ) 1 ( 1 )

  増える 変わらず 減る
展示場来場者数 12 ( 6 ) 3 ( 9 ) 2 ( 2 )

  過剰 充足 不足
技能職人数(大工) 0 ( 0 ) 6 ( 6 ) 12 ( 12 )

( )内は、平成27年7月度調査時の数値である。
  • 指標の動向について
  • 1) 「所得の伸び」では、12社が「変わらず」と回答し、現状維持の傾向が継続している。
  • 2) 「家賃の動向」では、17社が「変わらず」と回答し、現状維持の傾向が継続している。
  • 3) 「金利の動向」では、「上がる」が2社と減少し、「変わらず」が16社に増加、金利は現状維持の傾向が強い。
  • 4) 「資材価格の動き」では、「上がる」が6社と減り、「変わらず」は11社に増加、資材価格は落ち着いてきたとの傾向が見られる。
  • 5) 「建築の手間賃」は、「上がる」が6社に減少、「変わらず」は12社に増加した。手間賃も上昇傾向がやや弱まってきたと見られる。
  • 6) 「地価の動向」では、「上がる」が6社と減少し、「安定化」は11社と増加した。地価は安定化傾向が続いている。
  • 7) 「展示場来場者数」は、「増える」が12社と増加し、「変わらず」が3社と減少した。
  • 8) 「技能者人数(大工)」では、「不足」が12社と横ばい、「充足」も6社で横ばいで、まだ職人数不足の傾向が続いている。
PAGE TOP