調査結果の公表
- 令和元年度 第3回 『景況感指数からみた実績と見通し』
- 総計
- -実績-
令和元年度第2四半期(令和元年7~9月)の景況感指数は、対前年同期比で前回(7月)予測(総受注戸数 △36ポイント、総受注金額 △35ポイント)に対し、
総受注戸数は △80ポイント、総受注金額は △50ポイント となり、前回に続き大きくマイナスとなった。
(前4~6月度実績 総受注戸数 △86、総受注金額 △75)
コメントでは、
「戸建ての集客減が棟数、金額とも影響している。」
「賃貸住宅の回復傾向と分譲が好調であったが、戸建て注文の回復の遅れが大きく影響した。」
「全体的に受注減」
「消費税増税の反動減の影響もあり、前年比マイナスとなった。」 他、同様のコメント1件。
「好調だった昨年に比して棟数では若干下回ったものの、単価上昇の影響で、金額は昨年並みとなった。」
「防災意識の高まりによる蓄電池など、スマートハウス系オプション搭載比率向上が、受注単価アップに寄与した。」
「低層賃貸住宅部門の受注増進によって全体が上向き傾向。」
今回調査の比較対象となる昨年度(平成30年度)は、増税直前の1年であったため受注は回復傾向にあった。この分ハードルが高くなった今回の調査結果は、全回答10社中7社が「10程度・以上悪い」としたが、企業によっては好調な事業も存在した。 - -見通し-
令和元年度第3四半期(令和元年10~12月)見通しの景況感指数は、
総受注戸数は △55ポイント、総受注金額 △33ポイント
コメントでは、
「戸建ての集客減はまだ復調の兆しが見えず、引き続き棟数や金額に影響すると見ている。」
「戸建の受注減を賃貸の受注回復で下支えするが、やや減少が予測される。」
「引き続き反動減の影響はあるものの、一部顧客層は回復傾向が見られ、マイナス幅は縮小する見通し。」
「提案力の強化などで好調だった前年並みを見込む。」
「戸建、賃貸住宅がけん引し、前年並み。」
「好調な賃貸福祉事業で、全体金額は押し上げできるものと予測。」
「防災意識の高まりによる蓄電池など、スマートハウス系オプション搭載比率の向上が受注単価アップに寄与すると予測。」
実績同様、昨年の第3四半期の受注が良いため、見通し指数そのものは低いが、コメントは前向きな内容が過半数を占める。 - (戸建注文住宅)
- -実績-
令和元年度第2四半期(令和元年7~9月)の景況感指数は、対前年同期比で前回(7月)予測(受注戸数 △32ポイント、受注金額 △27ポイント)に対し、
受注戸数 △73ポイント、受注金額 △58ポイント となり、総数同様大きくマイナスとなった。
(前4~6月度実績 受注戸数 △93、受注金額 △69)
コメントでは、
「引合いは一定量あるものの消費増税タイミング後から消費マインドの回復が進んでおらず 受注に影響した。展示場来場数も若干減少している。」 他、同様のコメント1件。
「好調だった前年と比較してマイナスとなった。」 他、同様のコメント2件。
「エリアによってバラツキはあるが、期初より低調が続いている。」
「先行き不安等により、商談の長期化、先延ばしが目立った。」 他、同様のコメント2件。
「展示場集客大幅減で棟数が落ち込んだ。単価は上昇傾向。」
「ファーストバイヤー向け木造系商品が好調を維持し増分寄与した。」
前年との比較もあるが、増税にともなうマインドの低下で展示場来場数が減少、かつ商談の結論が先延ばしされているとのコメントが多かった。 - -見通し-
令和元年度第3四半期(令和元年10~12月)見通しの景況感指数は、
受注戸数 △46ポイント、受注金額 △42ポイント
コメントでは、
「受注減が継続」
「回復のための起爆剤が見たらない。」
「前年ハードルは低いが、決め手に欠き、厳しい状況が続く。」
「9月のイベントからのクロージング、ランクアップにより改善が見込まれるが、昨年同月(10~12月)の受注が良好だったため横ばいかやや減少が想定される。」
「消費税増税にかかる影響は不明瞭だが、展示場の集客減は引き続き影響すると見ている。」
「10月からの本格的な消費増税により、手控え感から慎重になると思われる。」
「消費税率引き上げ後の負担軽減施策をきっかけにお客様の動きが活性化することを期待しているが、景気の先行き不透明感が増していることから、状況は厳しい見通し。」
「反動減の影響で前年比マイナスは続くが、一時取得者層を中心に回復傾向にあり、マイナス幅は縮小する見通し。」
「消費増税反動減対策による需要増で前年並み。」
「提案力の強化などで好調だった前年並みを見込む。」 他、同様のコメント1件。
増税後の市況の手控え感や景気の不透明感もあり、受注見通しについては各社「かわらず」~「10%程度・以上悪い」まで様々な予測となっている。 - (戸建分譲住宅)
- -実績-
令和元年度第2四半期(令和元年7~9月)の景況感指数は、対前年同期比で前回(7月)予測(受注戸数 +6ポイント、受注金額 ±0ポイント)に対し、
受注戸数 +13ポイント、受注金額は ±0ポイント と若干の回復を示した。
(前4~6月度実績 受注戸数 △6、受注金額 △13 )
コメントでは、
「棟数、金額ともに前年比で大きく伸ばしている。」
「堅調に推移する分譲住宅市場を背景に前年比プラスとなった。」他、同様のコメント1件。
「エリアによって差はあるが、概ね前年並み。」
「消費税の影響で前年割れ。」 他、同様のコメント1件。
増税の影響による受注減を指摘するコメントもあるが、他のセグメントに比べ、増税前後の駆け込みや反動減が小さい。今回の調査では、唯一プラス指数となったセグメントだが、回答は戸数・金額共に「10%以上良い」から「10%以上悪い」まで分かれ、今回も各社の受注環境に違いが見られた。 - -見通し-
令和元年度第3四半期(令和元年10~12月)見通しの景況感指数は、
受注戸数 △13ポイント、受注金額 △19ポイント となっている。
見通し指数がマイナスとなるのは平成26年7月調査時以来。
コメントでは、
「消費増税の影響を受けるためやや減少が予測される。」
「前年ハードルが高く、前年割れ。」
「消費税率引き上げ後の負担軽減施策をきっかけにお客様の動きが活性化することを期待しているが、景気の先行き不透明感が増していることから、状況は厳しい見通し。」
「政府の住宅取得支援策もあり、大きな動きはないと思われる。」
「土地販売在庫仕込みも順調に推移」
最多数の回答は「かわらず」だが、他の回答は全て「5%程度悪くなる」としており、実績の回復に反して、見通しの指数は他のセグメント同様に増税以降低下し続けている。 - (低層賃貸住宅)
- -実績-
令和元年度第2四半期(令和元年7~9月)の景況感指数は、対前年同期比で前回(7月)予測(受注戸数 △29ポイント、受注金額 △29ポイント)に対し
受注戸数 △25ポイント、 受注金額 ±0ポイント
(前4月~6月度実績 受注戸数 △38、受注金額 △42)
「反動減による案件数の減少により、前年比マイナスとなった。」
「多層階物件が寄与して単価は上昇傾向だが、前年割れ。」
「前年比で落ちているが、市況ほどの落ち込みは無く、2,3階建は検討している。」
「都市部での好調を維持している。」
「付加価値型賃貸を中心に前年比プラスとなった。」
「減少トレンドは一巡した。」
「7月まで消費税増税の反動減が出ていたが、8月以降は棟数が回復し始め、単価も上昇傾向。」
「増税タイミング後に受注減はやや見られたが、販売戦略でカバーし徐々に持ち直してきた。」
「新規顧客を獲得すべく、建替え契約に特化した建替え専任部署を設置。市場のシェアー拡大を図る。」
回答そのものは「10%程度・以上良い」から「10%程度・以上悪い」まで幅広く、各社の受注環境に与えた増税の影響には温度差が出てきている。 - -見通し-
令和元年度第3四半期(令和元年10~12月)見通しの景況感指数は、
受注戸数 △13ポイント、受注金額 △8ポイント となり、未だマイナスではあるものの回復基調となっている。
コメントでは、
「好調を記録した昨年に比してマイナスを予想。」
「景気の急速な回復は望めない。消費増税の様子見もあり、前期比微減と見込んでいる。」
「反動減の影響で前年比マイナスは続くが、都市部を中心とした底堅い土地活用の需要を見込み、マイナス幅は縮小する見通し。」
「消費税増税の反動減から復調傾向にあると見ているが、前年実績が好調であったため、前年並みと予想。」
「第2四半期からの挽回傾向継続で、前年並み。」
「減少トレンドは一巡した。」
「受注の回復傾向が見られており、9月のイベント効果と建物大型化と全社での戦略推進により受注金額の増加が見込まれる。」
「都市部は、好調を維持できるものと想定。」
「新規顧客開拓に向け、事業物件専任部署を設置して営業体制の更なる強化を図る。」
マイナス幅は縮小に向かうものの、依然反動減の影響が続くと見る企業が多い。一方、市場や販売戦略によっては増税如何にかかわらず堅調な受注が見込める ともしている。 - (リフォーム)
- -実績-
令和元年度第2四半期(令和元年7~9月)の景況感指数は、対前年同期比で前回(7月)予測(受注金額 +33ポイント)に対し、
受注金額は △41ポイント となり、10四半期ぶりにマイナスとなった。
(前4~6月度実績 受注金額 +13)
コメントでは、
「反動減により大口案件が減少し、前年比でマイナスとなった。」 他、同様のコメント1件。
「増税期限内での工事完了が間に合わない大型リフォームの減少の影響がこの3か月出ており、金額が伸び悩んだ。」
「環境設備系は伸びたものの、改装系が減ったことが影響してマイナスとなった。」
「前年に西日本豪雨による受注増があり、その反動減が出ている。」
「前年のハードルが高く、前年割れ」
「消費税UPは全く関係なく、全体的に低調な動きが続く。」
「一部の首都圏で、他社賃貸建物に特化したリフォームの施行を開始。」
「アフターFIT(蓄電、買取制度)の取り組みを強化した。」
前回(7月)の報告では『受注規模や工期の面から見て、消費増税前の第2四半期に再度駆け込みがある』との見通しもあったが、指数(受注)は前回を大きく下回った。昨年同期の受注が良かった点も理由に挙げられるが、規模の大きなリフォームでは新築同様の先延ばし(反動減)が見られたとしている。 - -見通し-
令和元年度第3四半期(令和元年10~12月)見通しの景況感指数は、
受注金額 △18ポイント となっている。リフォームの見通し指数がマイナスとなるのは、消費税率8%導入にともなう反動減(平成26年7月調査時)以来。
コメントでは、
「消費増税の影響が多少続くのと、昨年同月(10~12)の受注が好調のため横ばいかやや減少が予測される。」
「引き続き改装系受注に注力していくものの、昨年の高い実績と比して若干のマイナスを予想。」
「前年は、関西での災害対応需要があり、その分今年度は落ち込む。」
「前年の災害対応需要(西日本豪雨など)に対する反動減が続くと思われる。」 他、同様のコメント1件。
「前年のハードルが高く、前年割れ。」
「引き続き、家賃下落防止及びオーナー様収支改善を強化。」
「受注単価は回復傾向にあり、マイナス幅は縮小する見通し。」
「次世代住宅ポイント制度を活用し、底上げを図る。」
消費増税前、または災害復興需要など前年同期の受注が良かったこともあり、見通し指数はプラスには届かない。 - 新設住宅着工戸数の予測
- 令和元年度の新設住宅着工戸数の予測については、前回(7月)調査時の予測と比較し下記の通り。
総戸数 92.0万戸(7月調査時) → 91.0万戸(今回) 1万戸マイナス
持家 28.0万戸( 〃 ) → 28.0万戸( 〃 ) 変化なし
分譲住宅 25.2万戸( 〃 ) → 25.4万戸( 〃 ) 2千戸プラス
賃貸住宅 38.3万戸( 〃 ) → 37.0万戸( 〃 ) 1.3万戸マイナス
給与住宅 0.5万戸( 〃 ) → 0.6万戸( 〃 ) 1千戸プラス
- 令和元年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果
―回答数―15社―
【単位:万戸】
【単位:万戸】
総戸数 | 持 家 | 分譲住宅 | 賃貸住宅 | 給与住宅戸数 | |
平成29年度実績 | 94.6 | 28.2 | 24.8 | 41.0 | 0.5 |
平成30年度実績 | 95.3 | 28.8 | 26.7 | 39.0 | 0.8 |
令和元年度予測 | 91.0 | 28.0 | 25.4 | 37.0 | 0.6 |
令和元年度予測 | |||||
A社 | 94.0 | 30.0 | 25.5 | 38.0 | 0.5 |
B社 | 92.5 | 28.0 | 25.0 | 39.0 | 0.5 |
C社 | 91.1 | 27.0 | 30.1 | 33.0 | 1.0 |
D社 | 92.8 | 28.0 | 25.2 | 39.0 | 0.6 |
E社 | 86.3 | 27.8 | 23.8 | 34.1 | 0.6 |
F社 | 89.5 | 28.5 | 26.5 | 34.0 | 0.5 |
G社 | 89.0 | 27.3 | 23.4 | 37.8 | 0.5 |
H社 | 92.0 | 29.0 | 25.5 | 37.0 | 0.5 |
I社 | 95.3 | 28.5 | 26.0 | 40.0 | 0.8 |
J社 | |||||
K社 | |||||
L社 | 90.0 | 26.5 | 25.0 | 38.0 | 0.5 |
M社 | 89.1 | 28.4 | 25.0 | 34.9 | 0.8 |
N社 | 91.5 | 27.6 | 25.3 | 38.0 | 0.6 |
O社 | |||||
P社 | |||||
Q社 | 39.0 | ||||
R社 | 92.8 | 27.5 | |||
S社 | 92.5 | 28.0 | 27.0 | 37.0 | 0.5 |
平 均 | 91.0 | 28.0 | 25.4 | 37.0 | 0.6 |
- 経営指標について
- 向こう6ケ月間の経営指標となる下記の項目について、アンケートを行った。その結果は次の通りである。
- 詳細グラフはこちら
増やす | 変わらず | 減らす | |
拠点展開(展示場含む) | 2(3) | 10 (10) | 3(2) |
生産設備(工場を含む) | 0 (0) | 14 (14) | 0 (1) |
新商品開発 | 3 (4) | 12 (11) | 0 (0) |
販売用土地(分譲住宅用地含む) | 3 (3) | 8 (9) | 3 (1) |
広告宣伝費 | 2 (3) | 10 (9) | 3 (3) |
( )内は、平成31年4月度調査時の数値。
- 指標の動向について
- 全般的に回答は「変わらず」が大半を占めるが、拠点展開・販売用土地・広告宣伝費において3社が「減らす」と回答した。