住宅業況調査報告

『平成30年度 第3回 住宅業況調査報告』

B 「低層賃貸住宅」

1. 対前四半期比 総受注戸数・金額の動向指数

【1】実績
 平成30年7~9月の受注実績指数は、平成30年4~6月(以下、前四半期)比で、前四半期見通し(受注戸数 +3ポイント、受注金額 +1ポイント)に対し、全国平均では
受注戸数 △2ポイント、受注金額は △1ポイント
と、どちらも8四半期連続でマイナスと なったが、その値は4四半期連続で±0へ近づいている。(前四半期の実績は、受注戸数 △3、受注金額 △6)
 エリア別の戸数指数は、中部が2四半期連続でプラスとなったが、前回7四半期ぶりにプラスとなった関東をはじめ、他のエリアは連続してマイナスとなった。
 エリア別の金額では、東北の『-10%以上下がっている』の回答割合が前回の10%→40%に大幅上昇し、中国・四国では、逆に『+10%以上上がっている』が6%→26%に上がるなど、受注環境はエリアごとに変化が見られた。

【2】見通し
 平成30年10~12月の見通し指数は、平成30年7~9月の実績に対し、全国平均では
受注戸数 △7ポイント、受注金額 △4ポイント
と、戸数、金額共に3四半期ぶりにマイナス見通しに転じた。
 エリア別の戸数見通し指数でプラスとしたのは、関東(+4)だけで、他の全てのエリアは±0~マイナス見通しとしている。この内、中部の△27、東北の△15の値が大きい。
 エリア別の金額見通しでは、実績と同じく見通しでも東北の『下がりそう』の回答割合が0%→50%と悪化している。

2. 一戸当り床面積(実績)の動向について

【1】実績
 平成30年7~9月の1戸あたりの床面積指数は、前四半期見通し(+8ポイント)に対し、全国平均で+4ポイントとなり、9四半期連続の微増となった(前四半期実績は+1ポイント)。
 エリア別では、九州のみ『広くなっている』の回答割合が17%→14%に微減したが、他の全てのエリアでは増加し、『狭くなっている』の回答割合を上回った。

総受注金額指数と1戸当り受注床面積指数
3. 低層賃貸住宅経営者の供給意欲

 平成30年7~9月における、住宅供給側から見た顧客の賃貸住宅建築意欲度である。 全国平均では、『かなり強い・強い』の回答割合11%に対し、『弱い・やや弱い』は半数近い45%となっており、厳しい市況が継続している。
 エリア別では、『弱い・やや弱い』の回答割合が、九州で65%、中国・四国で63%、東北で60%と非常に高く、全国平均を下回ったのは近畿と関東のみ。

低層賃貸住宅経営者の供給意欲について
4.顧客動向、市場動向について

(1)見学会、イベント等への来場者数

 平成30年7~9月の実績は、前四半期に比べ、全国平均では『増加』の回答割合が7%→6%、『減少』は35%→34%となり、今回もほぼ変化は無かった。回答の1/3強が5四半期連続で、『減少した』と回答した。
 エリア別でも増加、減少の回答比率に大きな差はない。

見学会、イベント等への来場者数

(2)全体の引き合い件数

 平成30年7~9月の実績は、前四半期に比べ、全国平均では『増加』の回答割合が10%→ 5%に、『減少』は48%→41%となり、今回も厳しい状況が継続している。
 エリア別でも『減少』の回答割合は、北海道で100%、九州で64%、東北で50%と高く、全国平均を下回ったのは近畿と関東のみ。戸建注文住宅と比較し、今回も低層賃貸の来場者数、引き合い件数は厳しい。

全体の引き合い件数

(3)低層賃貸住宅市場の空室率

 平成30年7~9月の実績は、前四半期に比べ、全国平均では『減少』の回答割合が7%→ 11%、『増加』は13%→10%となり、空室率はわずかながら回復した。   エリア別では、近畿の『減少』だけが10%→35%と、全国平均を大きく上回った。逆に、東北では、『増加』が10%→40%と唯一大きく悪化した。

賃貸住宅市場の空室率

(4)金融機関の融資姿勢(積極性)

 平成30年7~9月の実績は、前四半期に比べて、全国平均では『増加』の回答割合が5%→4%、『減少』は44%→55%となり、融資姿勢は悪化したと感じている。   エリア別でも、ほぼ全てのエリアで融資の積極性は減少したとの回答割合が、前回を上回る40~60%となったが、ここでも近畿だけは全国平均より少なかった。また、今回は『増加した』の回答も、東北、中部、近畿、九州でわずかながら増える結果となった。

金融期間の融資姿勢(積極性)

以上
平成30年11月9日

PAGE TOP