住宅業況調査報告

『令和元年度 第1回 住宅業況調査報告』

B 「低層賃貸住宅」

1. 対前四半期比 総受注戸数・金額の動向指数

【1】実績
 平成31年1~3月の受注実績指数は、平成30年10~12月(以下、前四半期)比で、前四半期見通し(受注戸数 +15ポイント、受注金額 +9ポイント)に対し、全国平均では
受注戸数 +39ポイント、受注金額は +32ポイント
となり、どちらも2度目の消費増税延期発表による受注減の直前(平成28年第2四半期実績)依頼2年半ぶりにプラスとなった。
 (前四半期の実績は、受注戸数 △21、受注金額 △14)
 大幅な駆け込み受注が発生した消費税率8%導入直前(平成25年度第2四半期)の指数は、受注棟数、受注金額共に +68ポイントであった。 エリア別の戸数指数は、関東の+59を筆頭に、九州は+46、近畿は+33、中部は+25、中国・四国は+20、東北は+14であった。
 エリア別の金額は、全エリアで『上がっている』の回答割合が増加し、『下がっている』の回答割合は減少した。変化が大きかったのは、関東の『上がっている』が21%→68%、九州も23%→63%、東北が22%→57%など、逆に『下がっている』は九州で53%→19%、近畿で39%→8%、関東で35%→11%と縮小し、受注金額も全国的に好転した。

【2】見通し
 平成31年4~6月の受注見通し指数は、平成31年1~3月の実績に対し、全国平均では
受注戸数 △30ポイント、受注金額 △28ポイント
と、消費税率8%増税(平成25年10月)直後の反動減以来の低い見通しとなっている。
 エリア別の戸数見通しも、関東が△38、中部と九州は△31、近畿は△29、東北は△20、中国・四国は△20と厳しい見通しとなっている。
 エリア別の金額見通しにおける回答割合は、前四半期には大半のエリアで40~60%が『上がりそう』と回答したが、今回は、逆に全エリアで40~60%の回答が『下がりそう』とし、『上がりそう』の回答は概ね10%程度に留まっている。

2. 一戸当り床面積(実績)の動向について

【1】実績
 平成31年1~3月の1戸あたりの床面積指数は、前四半期見通し(+4ポイント)に対し、全国平均で+14ポイントと、消費税率8%導入直前(平成25年度第2四半期)以来の高いポイントとなった。(前四半期の実績は△3ポイント)。
 エリア別の回答割合でも、関東の『広くなっている』が23%増の44%、東北は20%増の42%など全エリアで増加した。

総受注金額指数と1戸当り受注床面積指数
3. 低層賃貸住宅経営者の供給意欲

平成31年1~3月における、住宅供給側から見た顧客の賃貸住宅建築意欲度である。
 全国平均の回答割合では、『かなり強い・強い』の回答割合は12%→17%に微増したが、『弱い・やや弱い』は今回も37%あり、市況への厳しい見立てが継続している。
 エリア別でも、九州のみ『強い・やや強い』の回答(38%)が『弱い・やや弱い』(31%)を上回ったが、他のエリアでは今回も下回っている。

低層賃貸住宅経営者の供給意欲について
4.顧客動向、市場動向について

(1)見学会、イベント等への来場者数

 平成31年1~3月の実績は、前四半期と比べ、全国平均では『増加』の回答割合が8%→24%、『減少』は33%→21%となり来場者数は回復傾向となった。
 エリア別では、全エリアで『増加』の回答が増え、関東の9%→30%が最高であった。但し東北では、『増加』の回答14%に対し『減少』が71%%あり、中国・四国でも『減少』の回答が『増加』を上回った。

見学会、イベント等への来場者数

(2)引き合い件数

 平成31年1~3月の実績は、前四半期と比べ、全国平均では『増加』の回答割合が8%→27%に、『減少』は35%→26%となり、来場者数と同じく『増加』の回答数が上回る結果に転じた。
 エリア別では、来場者数と同じく東北は『減少』が57%、『増加』が0%と低調で、中部、中国・四国でも『減少』の回答割合が『増加』のそれを上回ったが、九州では『増加』が0%→38%、近畿は8%→42%、関東も11%→38%に上がるなど、エリアによって状況に変化が見られた。

全体の引き合い件数

(3)低層賃貸住宅市場の空室率

 平成31年1~3月の実績は、前四半期と比べ、全国平均では『減少』の回答割合が5%→12%%となったが、『増加』も7%→11%と、どちらも微増という結果であった。
 エリア別では、前回調査時に空室率の『減少』が0%であった近畿、中国・四国、九州がそれぞれ8%、20%、31%と回復した。中部は『増加』の回答が3四半期連続で0%と安定していた。

賃貸住宅市場の空室率

(4)金融機関の融資姿勢(積極性)

 平成31年1~3月の実績は、前四半期と比べ、全国平均では『増加』の回答割合が3%→5%、『減少』は51%→50%とほぼ変化は無く、融資姿勢に改善は見られない。
 エリア別では、北海道、関東、九州で『増加』の回答が微増はしたが、全国的に回答の半数は『減少』=悪化、残る半数もほぼ『横ばい』としている。中部と中国・四国では、積極性『増加』の回答割合が0%であった。

金融期間の融資姿勢(積極性)

以上
令和元年5月24日

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