住宅業況調査報告

『令和元年度 第3回 住宅業況調査報告』

B 「低層賃貸住宅」

1. 対前四半期比 総受注戸数・金額の指数動向

【1】実績
 令和元年7~9月の受注実績指数は、同年4~6月(以下、前四半期)比で、前四半期見通し(受注戸数 △4ポイント、受注金額 △2ポイント)に対し、全国平均では
受注戸数 △9ポイント、受注金額は △9ポイントとなり、反動減を生じた前四半期から更に悪化した。(前四半期の実績は、受注戸数 △39、受注金額 △31)
 エリア別の戸数指数は、全エリアでマイナスとなった前四半期と比較し、エリアのよって温度差が見られ、中部、近畿、東北では、それぞれ+9、+8、+4と回復の兆しが見えた半面で、北海道では△51、九州と中国・四国で△17、関東で△15と更なる落ち込みを示した。
 エリア別の受注金額は、中部のみ『上がった』の回答割合(+33)が『下がった』(+22)を上回ったが、他の全エリアでは依然『下がった』が上回っている。とはいえ、前四半期からの変化では、『上がった』の回答割合が、東北で23%増え、北海道を除く他の全てのエリアでも増加した。『下がった』の回答割合は、北海道で±0、以下、東北、関東、中部、近畿、中国・四国、九州の順で3%減、8%減、13%減、17%減、19%減、28%減と西へ行くにしたがって大きく減少し、回復傾向となった。

【2】見通し
 令和元年10~12月の受注見通し指数は、同年7~9月の実績に対し、全国平均では
受注戸数 △7ポイント、受注金額 △7ポイントと、更にマイナスになるとの厳しい見通しとなっている。
 エリア別の戸数見通し指数には温度差があり、関東の△15を筆頭に、中部で△11、近畿で△3など、主に大都市圏で厳しい見通しとなる反面、中国・四国は+8となり、北海道、東北、九州でも±0とするなど下げ止まっている。
 エリア別金額見通しの回答割合は、前四半期同様、大半のエリアで概ね30%が『下がりそう』とし、『上がりそう』は20%程度、残り50%が『変わらず』としているが、関東のみ、金額の見通しも前四半期以上に悪化している。

2. 一戸当り床面積(実績)の指数動向

 令和元年7~9月の1戸あたりの床面積指数は、全国平均で前四半期見通し(+3ポイント)に対し △2ポイントと連続してマイナスとなった。(前四半期の実績は△4ポイント)
 エリア別の回答割合では、東北、近畿、中国・四国では『狭くなった』の回答数が『広くなった』を上回ったが、関東、中部、九州では逆となり、前四半期と反対の傾向となった。

総受注金額指数と1戸当り受注床面積指数
3. 低層賃貸住宅経営者の供給意欲

 令和元年7~9月における、住宅供給側から見た顧客の賃貸住宅建築意欲度である。
 全国平均の回答割合では、『強い・かなり強い』の回答割合は8%→8%と変わらなかったが、『弱い・やや弱い』は56%→45%に微減し、前四半期を上回る落ち込みにはならなかったものの、引き続き市況の厳しさと反動減の影響は大きいと見ている。
 エリア別では、中国・四国の『弱い・やや弱い』が76%→33%に、九州でも72%→43%となるなど、一部のエリアで回復傾向を示した。一方、関東と中部では、前四半期からの回復の兆しは見えなかった。

低層賃貸住宅経営者の供給意欲について
4.顧客動向、市場動向について

(1)見学会、イベント等への来場者数

 令和元年7~9月の実績は、前四半期と比べ、全国平均では『増加』の回答割合が5%→8%、『減少』は45%→34%となり、減少率は下がったものの来場者数の落ち込みが継続した。
 エリア別では、『減少』の回答割合が、近畿で39%減の6%となったのをはじめ、全エリアで『減少』の回答割合が下がったが、九州では依然『減少』の回答割合が52%、北海道、東北でも50%と高い値を示した他、中国・四国、九州では前四半期に続き『増加』の回答割合が0%となり、市況の冷え込みが続いている。

見学会、イベント等への来場者数

(2)引き合い件数

 令和元年7~9月の実績は、前四半期と比べ、全国平均では『増加』の回答割合が4%→10%、『減少』は52%→41%となり、来場者数同様、減少率は下がったものの落ち込みは継続した。
 エリア別では温度差が見られ、北海道と中部では『減少』の回答割合が微増したが、九州では『減少』の回答割合が33%減少し、近畿で28%減少、中国・四国も21%減少した。

全体の引き合い件数

(3)低層賃貸住宅市場の空室率

 令和元年7~9月の実績は、前四半期と比べ、全国平均では『増加』の回答割合が10%→12%、『減少』は9%→10%と、前四半期同様大きな変化はなかった。
 エリア別では温度差が見られ、増減の差を見ると、東北の『増加』が25%に対して『減少』は8%、中国・四国が17%に対して4%と悪化したのに反し、関東では『増加』の1%に対し『減少』が21%と好転した。  

賃貸住宅市場の空室率

(4)金融機関の融資姿勢(積極性)

 令和元年7~9月の実績は、前四半期と比べ、全国平均では『増加』の回答割合が1%→1%、『減少』は59%→58%とほぼ変化は無く、融資姿勢に改善は見られない。
 エリア別では、『増加』の回答割合は前四半期と同じく大半のエリアでゼロであった。『減少』の回答割合については、近畿で22%上昇し67%と悪化したが、東北では24%減少したのが顕著な変化であった。

金融期間の融資姿勢(積極性)

以上
令和元年12月5日

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