住宅業況調査報告

『令和元年度 第4回 住宅業況調査報告』

B 「低層賃貸住宅」

1. 対前四半期比 総受注戸数・金額の指数動向

【1】実績
 令和元年10~12月の受注実績指数は、同年7~9月(以下、前四半期)比で、前四半期見通し(受注戸数 △7ポイント、受注金額 △7ポイント)に対し、全国平均では
受注戸数 △18ポイント、受注金額は △13ポイントとなり、消費増税以降3四半期連続でマイナスとなった。(前四半期の実績は、受注戸数 △9、受注金額 △9)
 エリア別の戸数指数は、東北の△30、九州の△29を筆頭に、関東が△23、中部が△18、中国・四国が△5、近畿が△4となり、北海道(±0)を除く全エリアでマイナスとなったが、この内、関東、中国・四国、九州は3四半期連続のマイナスとなった。
 エリア別の受注金額も、全エリアで『下がった』の回答割合が『上がった』を上回り、東北では『下がった』の60%に対し『上がった』は10%、九州では同50%に対し8%などが顕著であった。一方、近畿、中国・四国では前四半期から『下がった』が20%程度、『上がった』も同程度を継続している。

【2】見通し
 令和2年1~3月の受注見通し指数は、令和元年10~12月の実績に対し、全国平均では
受注戸数 +8ポイント、受注金額 +9ポイントと、どちらも消費増税以来1年ぶりのプラス予測となった。
 エリア別の戸数見通し指数には若干の温度差があり、北海道で+51、東北で+25、九州、関東でもそれぞれ+13、+9としたが、近畿、中国・四国は±0、中部は△4という見通しとなっている。とはいえ、消費増税直後の令和元年第1四半期に大きく落ち込んだ見通しも、その後は全エリアで着実に右上がりとなっている。
 エリア別金額見通しの回答割合は、中部と中国・四国で『下がりそう』の割合が『上がりそう』を幾分上回ったが、北海道、東北、関東、近畿、九州エリアでは『上がりそう』の割合が大きく上回るなど、金額見通しにも回復への期待の兆しがみえる。

2. 一戸当り床面積(実績)の指数動向

 令和2年1~3月の1戸あたりの床面積指数は、全国平均で前四半期見通し(△1ポイント)に対し  +1ポイントと大きな変化は無かった。(前四半期の実績は△2ポイント)
 エリア別の回答割合では、全国的に70~90%が『変わらない』としたが、九州では、『広くなった』が0%であったのに対し、『狭くなった』が25%あり、関東では、『広くなった』『狭くなった』が共に22%となるなど、受注環境には変化が見られた。

総受注金額指数と1戸当り受注床面積指数
3. 低層賃貸住宅経営者の供給意欲

 令和元年10~12月における、住宅供給側から見た顧客の賃貸住宅建築意欲度である。
全国平均の回答割合では、『強い・かなり強い』の回答割合は8%→13%、『弱い・やや弱い』は45%から58%と双方増加したが、絶対数の違いを考慮すれば引き続き消費増税による市況の厳しさと反動減の影響は大きいと見ている。
  エリア別の回答割合では、九州の『弱い・やや弱い』が32ポイント増加(43%→75%)、近畿が27ポイント増加(34%→61%)、中国・四国が25ポイント増加(33%→58%)、中部も19ポイント増加(52%→71%)など西日本エリアで悪化傾向となった。逆に、東北のみ『強い・かなり強い』の回答割合が8%→30%に22ポイント上昇した。

低層賃貸住宅経営者の供給意欲について
4.顧客動向、市場動向について

(1)見学会、イベント等への来場者数

 令和元年10~12月の実績は、前四半期と比べ、全国平均では『増加』の回答割合が8%→4%、『減少』は34%→44%となり、来場者数は前四半期に続き悪化した。
 エリア別では、『減少』の回答割合が、全エリアで40~50%となり、残りは『変わらず』が50%前後、『増加』に至っては中部、中国・四国、九州で前回調査に続き0%であった。

見学会、イベント等への来場者数

(2)引き合い件数

 令和元年10~12月の実績は、前四半期と比べ、全国平均では『増加』の回答割合が10%→4%、『減少』は41%→49%となり、来場者数同様、引き合い件数も悪化傾向となった。
 エリア別では、『減少』の回答割合が、全エリアで40~60%となり、残りは『変わらず』が40%~50%前後。『増加』の回答割合は、来場者数に比例して九州で3四半期連続0%となったのに続き、東北、近畿、中国・四国でも0%となり、東北、関東でも下がるなど厳しい市況が継続している。

全体の引き合い件数

(3)低層賃貸住宅市場の空室率

 令和元年10~12月の実績は、前四半期と比べ、全国平均では『増加』の回答割合が12%→7%、『減少』は10%→11%と、前四半期同様大きな変化はなかった。
 エリア別でも大きな変化は見られず、全てのエリアにおいて『増加』、『減少』の回答割合が下がり、60~90%が『変わらず』と回答した。

賃貸住宅市場の空室率

(4)金融機関の融資姿勢(積極性)

 令和元年10~12月の実績は、前四半期と比べ、全国平均では『増加』の回答割合が1%→4%、『減少』は58%→54%と、ほぼ変化は無く、融資姿勢に改善は見られない。
 エリア別の回答割合では、近畿の『減少』が67%→23%に大きく下がった点が顕著な変化であった。『増加した』の回答割合は全国的に若干上昇するなど明るい兆しもみられるが、依然厳しい状況は変わらない。 

金融期間の融資姿勢(積極性)

以上
令和2年2月28日

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