住宅業況調査報告

『令和2年度 第1回 住宅業況調査報告』

B 「低層賃貸住宅」

1. 対前四半期比 総受注戸数・金額の指数動向

【1】実績
 令和2年1~3月の受注実績指数は、令和元年10~12月(以下、前四半期)比で、前四半期見通し(受注戸数 +8ポイント、受注金額 +9ポイント)に対し、全国平均では
受注戸数 △10ポイント、受注金額は +13ポイントとなり、受注戸数ベースでは見通しに反してマイナスとなり消費増税以降4四半期連続でマイナスとなった。只、受注金額ベースでは平成31年1~3月以来1年ぶりにプラスに転じた。(前四半期の実績は、受注戸数 △18、受注金額 △13)
 エリア別の受注戸数指数は、東北の△30、中部の△25、中国・四国の△32がマイナスに、都市圏の関東が+2、近畿が+10でプラスに、九州が±0となり各エリアにより分かれた。
 エリア別の受注金額は、『上がった』の回答割合が『下がった』を上回るエリアがあり、近畿が『上がった』の60%に対し『下がった』は10%、関東でも同40%に対し23%など、東北・九州を除くエリアにおいて受注金額は、『上がった』の回答割合が多かった。

【2】見通し
 令和2年4~6月の受注見通し指数は、令和2年1~3月の実績に対し、全国平均では
受注戸数 △45ポイント、受注金額 △27ポイントと、戸建同様どちらも新型コロナ感染症の影響により大きなマイナスの予測となった。
 エリア別の戸数見通し指数では、関東で△58、中部で△66、九州で△57という大きなマイナスの見通しとなっている。
 エリア別金額見通しの回答は、受注戸数同様、『下がりそう』との見通しが、『上がりそう』を大きく上回っている。

2. 一戸当り床面積(実績)の指数動向

【1】実績
 令和2年1~3月の1戸あたりの床面積指数は、全国平均で前四半期見通し(+3ポイント)に対し  +5ポイントと見通しに準じ若干増であった。(前四半期の実績は+1ポイント)
 エリア別の回答割合では、全国的に60~70%が『変わらない』としたが、関東が『広くなった』が27%であったのに対し、『狭くなった』が14%、中部が『広くなった』25%『狭くなった』13%、中国・四国が『広くなった』21%『狭くなった』7%、となるなど、広くなった傾向にある。  

【2】見通し(予測)
 令和2年4~6月の見通し指数は、全国平均で△10ポイントとしている。
 令和2年1~3月実績レベルで+5ポイントであったが反転し見通しレベルでマイナスの指数値である。

総受注金額指数と1戸当り受注床面積指数
3. 低層賃貸住宅経営者の供給意欲

 令和2年1~3月における、住宅供給側から見た顧客の賃貸住宅建築意欲度である。
 全国平均の回答割合では、『強い・かなり強い』の回答割合は13%→7%、『弱い・やや弱い』は58%→64%と建築意欲度は後退しており引き続き市況の厳しさが反映されており、新型コロナ感染症の影響も大きいと見られる。
 エリア別の回答割合では、全国エリア満遍なく建築意欲度が『弱い・やや弱い』へシフトしている。

低層賃貸住宅経営者の供給意欲について
4.顧客動向、市場動向について

(1)見学会、イベント等への来場者数

 令和2年1~3月の実績は、前四半期と比べ、全国平均では『増加』の回答割合が4%→2%、『減少』は44%→74%となり、来場者数は前四半期に続き悪化した。
 エリア別では、『減少』の回答割合が、全エリアで50%~100%となり、残りは『変わらず』が20~40%程度、『増加』に至っては関東を除いて前回調査に続き0%であった。

見学会、イベント等への来場者数

(2)引き合い件数

 令和2年1~3月の実績は、前四半期と比べ、全国平均では『増加』の回答割合が4%→4%、『減少』は49%→62%となり、来場者数同様、引き合い件数も悪化傾向となった。
 エリア別では、関東が横ばいの割合が53%で相対的に高いが、残りのエリアにおいては『減少』の回答割合が、60%以上となっており厳しい市況が継続している。

全体の引き合い件数

(3)低層賃貸住宅市場の空室率

 令和2年1~3月の実績は、前四半期と比べ、全国平均では『増加』の回答割合が7%→2%、『減少』は11%→27%と、空室率は前四半期に比し減少傾向が顕著になっている。
 エリア別では全体的に横ばいが多い中、関東が43%、近畿が30%の減少、九州は減少29%あるものの増加も14%ある。

賃貸住宅市場の空室率

(4)金融機関の融資姿勢(積極性)

 令和2年1~3月の実績は、前四半期と比べ、全国平均では『増加』の回答割合が4%→1%、『減少』は54%→60%と、若干ではあるが、融資姿勢に厳しさが増した。
 エリア別の回答割合では、関東を除く各エリアにおいて、融資積極性の減少の割合が60%以上に上っている。関東エリアのみ『横ばい』が60%で『減少』が37%にとどまっている。依然厳しい状況は変わらない。

金融期間の融資姿勢(積極性)

以上
令和2年5月30日

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