平成20年10月度 『景況判断指数からみた傾向』

  • 平成20年10月度 『景況判断指数からみた傾向』
  • (戸建注文・分譲住宅と低層賃貸住宅の総計)
  • -実績-
    平成20年度第2四半期(平成20年7~9月)実績の景況判断指数は前年同期比で、総受注戸数マイナス14ポイント・総受注金額マイナス11ポイントと、ともに前期に続きマイナスの結果となった(前7月度総受注戸数・総受注金額ともにマイナス13)。
    総受注戸数では、戸建分譲住宅以外の部門がマイナスで、今年度になって、2期続けてマイナスポイント。総受注金額でも、戸建分譲住宅以外の部門がマイナスで、総受注戸数・金額共に、平成19年度第4四半期までの回復基調にブレーキがかかる結果になった。
    この実績に対するコメントは、「前年実績を若干上回る」、「受注金額は、ほぼ前年並みに踏みとどまる」との声もあるが、「4月の出遅れを7,8月の増加で取り戻せたが全体として厳しい状況が続いている」「景気動向の不透明さもあり来場数、記名数も減ってきており、これが受注減に繋がっている。競合も含め、少ないパイを奪い合う状況が続いており厳しい戦いを強いられている。」、「戸建注文住宅の落ち込みを分譲住宅でカバーできず」といったマイナス基調の声が多く聞かれ、厳しい状況が続いているとの判断である。
    原油や原材料の高騰、株価の下落、生活必需品の値上がりなどで、個人の家計への負担が増大しており、消費者マインドの低下、さらに購買意欲が低下し、今後の住宅の市場は非常に厳しいと判断していることが推察される。
  • -見通し-
    平成20年度第3四半期(平成20年10~12月)見通しの景況判断指数は、総受注戸数マイナス18ポイント・金額マイナス14ポイントと、受注戸数は、平成13年第3四半期以来の、マイナスの見通しとなった(前7月度総受注戸数・金額ともにプラス9)。
     この見通しについてのコメントは、「戸建注文住宅、賃貸住宅の牽引により前年比受注金額増を見込む」、「当社のベース技術が認められ、大きなチャンスと捉えている」、「前年並みの受注確保を見込む」との声もあるが、「欧米諸国の金融破綻の連鎖が、株価下落に繋がっており、消費者マインドも低下していることから、購入意欲もより一層冷え込むものと思われる」、「事業環境は厳しいが、営業力強化などの地道な努力を続けるしかない」、「金融不安、景気先行き不安等、市場環境は今後も楽観視できる状況に無い」、「大変厳しい状況です」、「戸建分譲住宅が下支えし、対前年5%マイナス」という声もあり、各社とも、受注増に向けての期待を持ちつつも、現状認識を踏まえて厳しい見通しを立てている。
  • (戸建注文住宅)
  • -実績-
    平成20年度第2四半期(平成20年7~9月)実績の景況判断指数は、前年同期比で受注戸数マイナス3ポイント・受注金額マイナス13ポイントと、2期続けてマイナスポイントとなった(前7月度受注戸数マイナス9・受注金額マイナス6)。
    コメントでは、「前年の落ち込みが大きかったため、二桁アップも実態としてあまり無い。4~6月の前年対比減少をこの期で挽回」、「高性能訴求が奏功し、戸建住宅が堅調だった」、「確認の混乱は今期は収まった」、「国交省モデル事業の超長期モデルが9月度完売、契約確保に貢献」との声もあるが、「消費マインドの低下により、建替え需要を掘り起こせず、低迷」、「前年同期比、前期比で受注戸数・金額ともに減少」、「7,8月増加傾向を示したが、9月伸び悩んだ」、「展示場来場5%減の状況を受けて受注も減」、「市場の冷え込みあり、やや苦戦」、「4月以降の新商品の投入効果、受注単価は低下傾向」、などの、現状の厳しさを感じさせるコメントが多く見られ、マイナス基調が表れている。
  • -見通し-
    平成20年度第3四半期(平成20年10~12月)の見通しは、受注戸数・受注金額ともにマイナス3ポイントと、受注戸数は、平成9年第3四半期以来の、マイナスの見通しとなった(前7月度受注戸数・受注金額ともにプラス16)。
    コメントでは、「営業体制の強化により、前年比増を見込む」、「暮れにかけて確定客の折衝が続き、フル回転となっている」、「「省CO2モデル」も評価高く、期待している」、「資材の高騰、金融不安、株安はあるが、注文住宅については前年並みを維持可能と考える」、「10月発売の新商品効果により、やや回復」、「10月に新商品発売フェア、11月、12月に全国一斉キャンペーンを予定しているが、景気不安から様子見の顧客が増える見込み」、「従来どおり、建替え層の取り込みに全力を尽くす。更なる営業力強化が必要となる」、「景気後退懸念による住宅購入意欲減退を加味」、「今後、この金融危機が長引くと企業業績の悪化が下押しし、雇用環境が厳しく、更なる消費マインドを冷やすことで、後半受注戸数の減少もありえる」、「受注が厳しくなると、粗利金額の低下が避けられない。政府の住宅取得促進税制対策の前倒し、追加が必要不可欠」といった新商品、キャンペーン等、受注の増大に向けた積極的な販売戦術と販売体制の強化とともに、政府の景気対策への期待も感じられる。
  • (戸建分譲住宅)
  • -実績-
    平成20年度第2四半期(平成20年7~9月)実績の景況判断指数は、受注戸数プラス8ポイント・受注金額プラス4ポイントであった。受注戸数・受注金額ともに、回復基調が4四半期継続しており、微増ではあるが2期続けて棟数・金額ともプラスの結果になった(前7月度受注戸数・受注金額ともにプラス13)。
    コメントでは、「前年同期比、前期比で受注戸数・金額ともに増加」、「団塊世代JR向けのコストパフォーマンスが高い商品が好調」、との声もあるが、「市場の冷え込みあり、依然苦戦」、「集客数が対前年50%減、動いている顧客も低予算化で苦しい」、「在庫物件の減少」と、企業によって取り組みにばらつきはあるが、全体として平成19年度第2四半期からの回復基調が継続している。
  • -見通し-
    平成20年度第3四半期の見通しは、受注戸数・金額共にマイナス21と、大きく反落するとの見通しである(前7月度受注戸数・金額共にプラス13)。
    コメントでは、「団塊Jr向け商品が引き続き好調」、「販売イベント等により、前年並みの受注を見込む」という声もあるが、「不況感強まる中、好材料なし」、「11月に全国一斉のキャンペーンを予定しているが、景気不安から様子見の顧客が増える見込み」と先行き不安を懸念している企業が多く、全体として悲観的な見通しである。
  • (低層賃貸住宅)
  • -実績-
    平成20年度第2四半期(平成20年7~9月)実績の景況判断指数は、受注戸数マイナス32ポイント・受注金額マイナス23ポイントと戸数・金額共に2期続けて二桁のマイナスポイントとなった(前7月度受注戸数マイナス15・受注金額マイナス25)。
    この実績に対するコメントは、「受注金額は堅調に推移している」、「微増だが、増加傾向となる(4~6月の減少傾向より回復の兆しが見える)」、「3階建て工業化商品が受注を下支えし、前年比同程度を維持」との声もあるが、「見込客の計画先送り、苦戦続く」、「昨年、戸建貸家が販売好調であったため、その反動で低迷」など、マイナス基調の鮮明な企業が多く、全体としてもマイナスとなった。
  • -見通し-
    平成20年度第3四半期の見通しの景況判断指数は受注戸数プラス5ポイント・金額プラス9ポイントと、プラス回復を見込んでいる(前7月度受注戸数プラス15・金額プラス25)。
    コメントでは、「昨年好調であった反動もあり低迷」との声もあるが、「戦略の落とし込みにより、前年比増の受注金額を見込む」、「法人ルート開拓等、抜本的対策展開」、「引き続き3階建工業化商品に注力し、受注増を図る」、「引き続き営業提案力の強化を図り、増加傾向を維持する」、と、全体的には、前向きでプラス回復にむけた意欲・期待感が表れている。
  • 新設住宅着工戸数の予測アンケート結果
  • 平成20年度の新設住宅着工戸数の予測については、回答15社の予測平均値が、総戸数 106.4万戸(前7月度109.1万戸)と、前回より更に厳しい予測をしている。  利用関係別では、持家が32.3万戸(前7月度33.0万戸)、分譲住宅28.1万戸(同29.9万戸)、賃貸住宅44.9万戸(同45.3万戸)と全部門減少である。
  • 平成20年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果
―回答数―16社―
【単位:万戸】
  総戸数 持 家 分譲住宅 賃貸住宅
平成18年度実績 129 36 38 54
平成19年度実績 103 31 28 43
平成21年度予測
A社 109 33 28 47
B社 117 33 34 50
C社 112 33 31 47
D社 105 31.5 23.5 49
E社 104 31 27 45
F社 115 35 32 47
G社 109 33 30 45
H社 108 32 30 45
I社 110 33 28 48
J社 105 32 28 44
K社 98 31 26 40
L社 100 30 25 42
M社 100 30 27 42
N社 100 30 27 42
O社 98 30 26 41
P社 --- --- --- ---
平 均 106.4 32.3 28.1 44.9
(*)平均値については、それぞれ最大値及び最小値を除いて算出した。
  • 住宅メーカーの経営指標について
  • 向こう6カ月間の住宅メーカーの経営指標となる下記の項目について、
    各社の経営者にアンケートを行なった。その結果は次の通りである。
  増やす 変わらず 減らす
拠点展開(展示場含む) 0 ( 3 ) 10 ( 8 ) 6 ( 5 )
生産設備(工場を含む) 0 ( 0 ) 16 ( 16 ) 0 ( 0 )
新商品開発 6 ( 8 ) 10 ( 8 ) 0 ( 0 )
販売用土地
(分譲住宅用地含む)
4 ( 5 ) 6 ( 7 ) 6 ( 4 )
新規採用人数
(18年度下半期採用数)
0 ( 1 ) 12 ( 11 ) 4 ( 4 )
広告宣伝費 2 ( 2 ) 10 ( 12 ) 4 ( 2 )

( )内は、平成20年4月度調査時の数値である。
  • 指標の動向について
  • 1)「拠点展開」は、「増やす」が0社になり、10社が「変わらず」、と回答し、前回調査に比べると「減らす」が6社と更に増え、販売体制の積極的な姿勢が、後退していると感じられる。
  • 2)「生産設備」は、回答した全16社が「変わらず」と回答し、設備投資については、現状維持の姿勢。
  • 3)「新商品開発」は、「増やす」が6社と減少、「変わらず」が10社と増加し、新商品投入による受注拡大の姿勢がやや後退気味である。
  • 4)「販売用土地」は、下期に向けて「増やす」が4社と減り、「減らす」が6社と増え、分譲住宅供給の意欲はやや減少している。
  • 5)「新規採用人員」は、16社のうち「増やす」は0社になり、「変わらず」が12社、「減らす」が4社と横ばいで、採用増員の傾向に、ブレーキがかかってきたと思われる。
  • 6)「広告宣伝費」については、「減らす」が4社と増え、「変わらず」が10社と微減、販売支援体制は、若干減少傾向が見られる。
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