平成22年7月度 『景況判断指数からみた傾向』
- 平成22年7月度 『景況判断指数からみた傾向』
- (戸建注文・分譲住宅と低層賃貸住宅の総計)
- -実績-
平成22年度第1四半期(平成22年4~6月)実績の景況判断指数は前年同期比で、総受注戸数プラス29ポイント・総受注金額プラス46ポイントと、総受注戸数は3期連続のプラス、総受注金額は前期に引き続きプラスという結果であった(前4月度総受注戸数・総受注金額ともにプラス15)。
戸建分譲住宅部門はマイナスが継続したが、戸建注文住宅はプラスを堅持し、賃貸住宅部門もプラス幅が拡大した。また、リフォーム部門も、前期に続き7割強の企業が大幅増という結果で、各種政策の支援効果が受注を下支えしていると思われる。
この実績に対するコメントでは、「前年同様」と横ばいの声もあるが、「環境配慮型商品が受注全体を牽引。エコポイント、太陽光発電、贈与税の非課税枠拡大が下支え」、「各種政策の効果が顕在化し、受注は好調に推移」、「各種政策の効果などもあり、2009年第4四半期から回復基調。上期計画をやや上回る進捗」、「4月、5月に大きく伸ばし増加傾向を続けた」、「持ち直し基調」と、全体的に政策効果が寄与したとの声が多く、回復基調に推移しているとの判断である。
- -見通し-
平成22年度第2四半期(平成22年7~9月)見通しの景況判断指数は、総受注戸数プラス36ポイント・総受注金額プラス50ポイントと、受注戸数・金額ともに、前期に続き大幅なプラスの見通しとなった(前4月度総受注戸数・総受注金額ともにプラス35)。
この見通しについてのコメントは、「6月に入り、株式市場低迷などの影響で景気先行き不安
から決断を先送りするケースも見られ、7月以降の市場環境は楽観視できる状況にはない」としながらも、「節目を迎え、新たな展開策を講じる事で受注全体の押し上げにも寄与」、「欧州の経済危機による景気の先行き不安により、伸び率はやや鈍化するものの、政策の効果が継続する」、「10カ月継続している増加傾向を維持したい」、「持ち直し基調」、「新商品で拡販」と、税制・金融を含めた経済対策に期待し、積極的に販売拡大を目指す声が多く聞かれ、戸建分譲住宅部門以外はプラス継続の見通しのため、全体的にプラスの受注見通しである。
- (戸建注文住宅)
- -実績-
平成22年度第1四半期(平成22年4~6月)実績の景況判断指数は、前年同期比で受注戸数プラス20ポイント・受注金額プラス36ポイントと、3期連続でプラスを堅持した(前4月度受注戸数プラス23・受注金額プラス17)。
コメントでは、「住宅エコポイント等の政策効果は見られるものの、販促イベント中止の影響が残る」、「前年同様」、「対前年比横ばいで低価格帯層の動きは増大しているが、建て替え層が取り込めていない。東京、神奈川が盛り上がりに欠け、土地手当てが容易な地方エリアが伸びる。受注金額は横ばいな分だけ面積が減少している」という声もあるが、「住宅版エコポイントが引き続き受注維持の好材料。太陽光発電搭載物件も2/3を占め好調」、「前年、前期比で棟数・金額ともに増加」、「4月、5月に大きく伸ばし増加傾向を続けた」、「ローコスト一辺倒から、中・高額層も動き出した」、「予定通り」、「20%の伸び」、などの、プラス基調が鮮明な企業が多く見られ、約8割の企業が回復基調という状況である。
- -見通し-
平成22年度第2四半期(平成22年7~9月)の見通しは、受注戸数プラス47ポイント・受注金額プラス46ポイントと、プラスが継続・拡大する見通しとなった(前4月度受注戸数・プラス43・受注金額プラス33)。
コメントでは、「景気、所得不安は払拭されてなく、住宅取得支援効果が消費者の購買意欲後押しが続く」、「建て替え層を中心に若干動きが出てきているものの、力強さに欠ける」といった不安な声もあるが、「環境商品、エコポイント等により受注増を維持」、「7月に新商品を発売開始。全国一斉のキャンペーンで手持ち顧客の掘り起こしを図る」、「都市部の3階建て、2世帯をさらに強化し、増加傾向を維持したい」、「エコ仕様付加し受注額アップ」、「新商品で拡販」、「年内竣工の要望多い」、「5~10%の伸び」、「長期優良住宅先導事業の採択により第2四半期は10%増の受注を図る」等、各種経済支援策を追い風に、新商品発売など受注の増大に向けた積極的な姿勢が見られ、消費者の購買意欲向上を期待し、プラス幅をさらに伸ばすとの見通しを立てている。
- (戸建分譲住宅)
- -実績-
平成22年度第1四半期(平成22年4~6月)実績の景況判断指数は、受注戸数マイナス5ポイント・受注金額マイナス25ポイントと、前期に続きマイナスが継続した(前4月度受注戸数マイナス8・受注金額マイナス13)。
コメントでは、「一部の不動産で動きが見られるが、全体の動きは鈍い、マンションは回復傾向にある」「前年比で棟数はほぼ横ばい・金額は減少、前期比で棟数・金額ともに増加」、「土地の仕入れが順調で販売も伸びる」、「デベロッパーが動きだしている」、「在庫販売から、厳選しながら土地購入も注力」と、在庫調整が一服し、土地取得等に前向きな企業も見られ、全体的にやや回復基調の声もあるが、全体では厳しい環境が継続しており、金額のマイナス幅が大きい。
- -見通し-
平成22年度第2四半期(平成22年7~9月)の見通しは、受注戸数・受注金額ともにマイナス10ポイントと、プラス回復は厳しいとの見通しである(前4月度受注戸数・受注金額ともにマイナス4)。
コメントでは、「大幅な回復はなく、前年割れの状況が続く」というマイナス基調の声もあるが、「地価に下げ止まりの兆候があり在庫土地の減少も捗り、新規取得を計画」、「優良な土地の取得を積極的に進めており販売拡大を図る」、「デベロッパーが動きだしている」、「回転率アップに注力」、「引き続き好調」といった、積極的に販売拡大を図るコメントの企業も見られる。全体としては、次期でのプラス回復は厳しいという見通しである。
- (低層賃貸住宅)
- -実績-
平成22年度第1四半期(平成22年4~6月)実績の景況判断指数は、受注戸数プラス35ポイント・受注金額プラス25ポイントとなり、戸数・金額共に2期続けてプラスを堅持した(前4月度受注戸数プラス5・受注金額プラス15)。
この実績に対するコメントは、「対前年比は微増ながらほぼ横ばい。都市圏を中心に回復するが地方は緩やか」、「ほぼ横ばいに推移」との声もあるが、「首都圏が好調」、「20%の伸び」、「雇用状況改善と住宅エコポイントにより前年比微増」など、プラス基調を感じさせる声が多くあり、全体としても、プラス幅が拡大する結果となった。
- -見通し-
平成22年度第2四半期(平成22年7~9月)の見通しの景況判断指数は、受注戸数プラス10ポイント・金額プラス25ポイントと、受注戸数・金額ともに、プラスが継続する見通しとなった(前4月度受注戸数プラス35・金額プラス40)。
コメントでは、「各種補助金や税制メリットの影響を受け、逓増を維持」、「雇用改善と住宅エコポイントが好材料となり、前年比微増と予測」、「競争の激化が予想されるが、提案力強化で維持したい」、「5~10%の伸び」、「情報数が増えてきており、増加傾向」といった、経済対策を追い風に、受注拡大にむけた意欲・期待感を表わす声が多く、プラス基調が継続する見通しとなっている。
- (リフォーム)
- -実績-
平成22年度第1四半期(平成22年4~6月)実績の景況判断指数は受注金額がプラス86ポイントと前期に引き続き前年比大幅増という結果であった(前4月度受注金額プラス86)。
コメントでは、「直近1年を通して前年比を上回り、順調。新築同様にエコポイント、環境対策が好調」、「対前年比35%の受注の拡大となった」、「自社のOB顧客向け営業体制を強化した効果が出ている」、「エコポイント効果で順調」、「人員減少ながら若干上向き」、「20%以上の伸び」、と、非常に好調で、回答いただいた11社のうち8社が10%以上良いと答えている。
- -見通し-
平成22年度第2四半期(平成22年7~9月)の見通しの景況判断指数は受注金額がプラス77ポイントと、更に好調が継続するという見通しである(前4月度受注金額プラス68)。
コメントでは、「自社独自のポイントをエコポイントに付与し、好材料が揃うため堅調」、「対前年比34%の拡大の見通し」、「4~6月に引き続き好調を見込む」、「新商品の追加投入」、「オーナー様のフォローと大型リフォームへの取り組み」、「5~10%の伸び」と、住宅エコポイント制度等の追い風を受け、プラス基調のコメントがほとんどである。
- 新設住宅着工戸数の予測アンケート結果
- 平成22年度の新設住宅着工戸数の予測については、回答14社の予測平均値が、総戸数82.6万戸(前4月度83.5万戸)と、前回調査を若干下回る結果となった。
利用関係別では、持家が30.2万戸(前4月度30.5万戸)、分譲住宅18.8万戸(同19.5万戸)、賃貸住宅32.3万戸(同32.6万戸)となっている。
- 平成22年度の新設住宅着工総戸数の予測アンケート結果
―回答数―14社―
【単位:万戸】
|
総戸数 |
持 家 |
分譲住宅 |
賃貸住宅 |
平成20年度実績 |
104 |
31 |
27 |
44 |
平成21年度実績 |
78 |
29 |
17 |
32 |
平成23年度予測 |
A社 |
85.5 |
31.5 |
18.3 |
34.2 |
B社 |
83 |
32 |
19 |
31 |
C社 |
80 |
29.9 |
17.9 |
31.2 |
D社 |
83.1 |
29.3 |
17.8 |
35 |
E社 |
80.5 |
30.1 |
16.8 |
32.7 |
F社 |
85 |
30 |
20 |
34 |
G社 |
83 |
30 |
19 |
33 |
H社 |
85 |
31.6 |
19 |
33 |
I社 |
83 |
30 |
20 |
32 |
J社 |
80 |
30 |
18 |
31 |
K社 |
80 |
29 |
21 |
29 |
L社 |
80 |
28 |
15 |
30 |
M社 |
84 |
30 |
20 |
33 |
N社 |
85 |
31 |
20 |
33 |
O社 |
--- |
--- |
--- |
--- |
平 均 |
82.6 |
30.2 |
18.8 |
32.3 |
- 向こう6ヶ月の住宅市場に関する指標について、各社の経営者にアンケートを行なった。
その結果は次のとおりである。
- 詳細グラフはこちら
|
上がる |
変わらず |
下がる |
所得の伸び |
0 ( 0 ) |
14 ( 7 ) |
1 ( 8 ) |
家賃の動向 |
0 ( 0 ) |
11 ( 6 ) |
4 ( 9 ) |
金利の動向(市中金利) |
0 ( 1 ) |
14 ( 11 ) |
1 ( 3 ) |
資材価格の動き |
9 ( 2 ) |
6 ( 8 ) |
0 ( 5 ) |
建築の手間賃 |
0 ( 0 ) |
13 ( 11 ) |
2 ( 4 ) |
|
上がる |
安定化 |
下がる |
地価の動向(住宅地) |
0 ( 0 ) |
11 ( 7 ) |
4 ( 8 ) |
|
増える |
変わらず |
減る |
展示場来場者数 |
6 ( 1 ) |
8 ( 11 ) |
1 ( 3 ) |
|
過剰 |
充足 |
不足 |
技能職人数(大工) |
1 ( 5 ) |
14 ( 10 ) |
0 ( 0 ) |
( )内は、平成22年1月度調査時の数値である。
- 指標の動向について
- 1)「所得の伸び」では、「下がる」が1社に減り、「変わらず」が14社と増え、下落傾向に歯止めがかかり、現状維持になった。
- 2)「家賃の動向」は、「下がる」が4社に減り、「変わらず」が11社に増加、下落傾向に歯止めがかかり、現状維持になった。
- 3)「金利の動向」では、「下がる」が1社に減り、「変わらず」が14社増えた。
金利については、現状維持が強くなったとの見方である。
- 4)「資材価格の動き」では、「上がる」が9社に増え、「変わらず」が6社、「下がる」は0社と減り、資材価格は上昇化傾向が表れている。
- 5)「建築の手間賃」は、「変わらず」が13社と大勢を占め、「下がる」との判断は2社に減った。現状維持傾向が表れている。
- 6)「地価の動向」では、「下がる」の回答が4社と減少、「安定化」は11社と増えており、下げ止まり感が表れている。
- 7)「展示場来場者数」は、「変わらず」が8社に減少し、「増える」が6社に増加しており、全国的には、やや増加傾向が現れてきている。
- 8)「技能者人数(大工)」では、多くの企業は「充足」(14社)であり、「過剰」は1社と減少、現状で充足しているとの判断である。